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かなり昔の映画の内容が今ここで起きていることを呪ってやりたい衝動に狩られる。映画やドラマ、小説といった娯楽系のものは大概が見ている人に対し最初と最後がより鮮明に残るように作られている。それはこの物語の映画然り、ほぼ全ての作品に言えることだ。
私が言いたいのは、この映画の内容あまり覚えていない
ここで一つ私は考えた。過去の作品を気にするのはやめよう。この物語りはどうあるべきだとか、この人物はこうあるべきだとか、机上の空論に囚われていては今を生きてなんて行けない。
私はこの世界に生きていて、今私の周りには、ある意味有名所が顔を合わせているが、この人たちにとってはこれが当たり前であって、何も異常な光景では微塵もないのである。
「蜂谷さん、考え事ですか?」
「沖矢さん。」
各々部屋に分かれ船旅を楽しんでいる中、私は沖矢さんの部屋にお邪魔していた。
「なにやら思いつめたような顔をしていましたので。」
「・・・大丈夫、何でもないです。」
「私でよければ何でも聴きますよ。」
「・・・私はなぜこの世界に来たのだろうと思って。」
「この世界にですか?」
「別に前の世界に嫌悪感を抱いていたとかはないんです、他の世界に行きたいと思ったことはありますが、でもなんで?」
「私が言うのも何ですが、あなたは今蜂谷誄としてここにいるのです。今を生きることが何より大切なことだと思いますよ。」
「・・・そうですね。」
「はい。」
「やっぱり30代の方は言うことが違いますね!」
「喧嘩を売られているのでしょうか?」
沖矢昴さんにそうは言われたもののと考え込んでしまうのはトリップしてきた人間にとっては当たり前のことなのだろう。この世界で生きることにもう迷いはないにしても、一体なぜこの世界なのか。
この世界ではならなかったのか。
考えていても答えが出るはずもなくなにやらさっきからゴソゴソと忙しそうにしている沖矢昴に声をかける。
「沖矢さん?」
「なんでしょう?」
「何をやっているんですか?」
「先ほど香坂さんの靴に仕掛けをしましたので、それの確認を。」
「犯罪ですよ、盗聴は。」
「他人のパソコンにお邪魔するのも、同じですよ。片方聴きますか。」
「ありがとうございます。」
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