27




沖矢さんの家まで帰り、今日はそこに泊めてもらうことになった。お風呂を借りて赤井さんの用意してくれたシャツに袖を通す。ズボンはまぁ、裾とか絞ればなんとかなるが上はどうもぶかぶかしい。



「お風呂ありがとうございます、お先にいただきました。」



「あぁ。」



「赤井さん?」



私の両手を引いてソファに座る自分の前に立たせるとしたから見上げるように言ってくる赤井さんの顔なんて見られるはずもなく目を逸らした。



「腕は痛むか?」



「あぁ、これですか。全然大丈夫ですよ。」



「そうか、そのくらいの怪我で済んで良かった。」



「ご心配をおかけしました。」



「本当に、心配ばかりかける。」



「あんな炎の中よく気づかれずにスコープ覗きましたね。」



「ん?」



「だって炎が揺れてるし反射しそうじゃないですか?」



「気づかれないよう、スコープはギリギリまで使わない。」



「そうなんですか、勉強になります。」



赤井さんの手が怪我をした腕に伸びてきて、もう熱は引いたはずなのに包帯の上も、下も全てが熱い。



「・・・あ、ありがとうございます。」



「?」



「スコーピオン、その。守っていただいて。」



「名前を呼ばれたからな、守らないわけにはいかない。」



「迷惑でしたか?」



「いや。」



赤井さんのとなりに座り、お風呂に入る前に入れたコーヒーに口をつけるが当然もう冷めていて冷たかった。



「赤井さん、お風呂が冷める前にどうぞ。」



「あぁ、では行ってくる。」



「はい。」



赤井さんに触られた両手が熱くて、何だか不思議な気お持ちになる。赤井さんといると落ち着くし、香ってくるタバコの臭いも嫌いではない。寧ろ好き香りだ。



「ショー{emj_ip_0857}*ホープ。」



お父さんとお兄ちゃんが吸っていたタバコだ。私が学校とか会社とかの休みの日は、工場で二人にお弁当を届けに行くのが私の仕事でお昼頃になるとお母さんの作ったお弁当と冷やした水筒と、自分のお弁当を持って工場へ行く。二人はいつもそのぐらいの時間になるとタバコを吸っていた。その臭いが香る中を私は走っている。



「そんなに思い詰めた顔をして、どうしたのかな?お嬢さん。」



「え?」



窓が開き、白い姿の男性が立っている。



死んだと言われていたあの人物が。


- 39 -

*前次#


ページ:



ALICE+