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私を引き寄せた赤井さんは先ほどまでお風呂に入っていたせいかとても暖かかった。だんだんとその熱が私にも流れているようで身体の底から暖かくなるようなそんな感覚に陥っている。
頭の上から水滴が垂れてきていることに気がつき上を向くと、赤井さんと目が合い何だか恥ずかしくなる。
「あ、赤井さん髪ビチョビチョですよ。風邪引いてしまうので早く拭いてください。」
「何もされていないか?」
「はい、大丈夫です。」
「お前の大丈夫は信用できないからな。」
「ははは。」
赤井さんをソファに座らせて首にかかっていたタオルで髪を拭いていると赤井さんが急に振り向いてきた。
「そういえば、船の時の返事を聞いていなかったな。」
今、それ今言いますか。
忘れていると思ってしめしめ沖矢さんと思っていたのにこの男、ばっちり全てを覚えていたようで。返事を催促してきやがる。
「返事をくれないか?」
「あ、えっと。でも私何もできないし赤井さんにも色々と迷惑をかけているし。」
「俺はどこぞのコソドロのようにお前の情報処理能力が欲しいわけではない。」
「へ?」
「俺は、誄だから欲しい。」
「あ、えと。」
間近に赤井さんの顔がある。水も滴るいい男とはこのことで。水滴が首筋を伝っていったり、鍛え上げられた腕とかが月明かりに照らされて影を作っているのがとても綺麗で。
何度も守ってもらって。
心配してもらって。
声に出してまで助けを請うたのは私だ。
いつの間にこんな感情を抱くようになったのだろうか。
「誄?」
「赤井さん。」
「なんだ?」
「ほ・・・保留じゃダメですか?」
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