降谷零編


降谷零編




鈴木財閥の船の中で殺人事件が起きたのは知っていた。コナンくんから電話があり、組織でスコーピオンと名乗っている幹部はいるかと話があったからだ。そんな名前は聞いた事がないと告げると有無をいわせず電話が切られたので、コナンくんがそんなに焦る事件とはいったいどんな事件なのだろう、きっとコナンくんがいるのだから、毛利先生もいるはずだと、風見に言伝をして、警視庁の刑事が乗るヘリに「毛利先生に呼ばれた」といい同乗させてもらう事にした。





船に着くと、なぜここに沖矢昴がいるのかと、疑問を持ちながらも沖矢昴の後ろに隠れる女性目がいった。彼女は確か、俺が沖矢昴が赤井秀一だと証明しようと工藤宅を訪れた際にいたはず。なんでここに?





声をかけてみるとビクッと肩を揺らしてこちらを見た、小動物みたいだ。そういえば風見だったか、他のやつだったかがいっていた。





「降谷さん見てくださいよこの写真。」

「ハムスターか?かわいいな。」




「最近飼い始めたんです。」




「珍しいな、動物はちょっとって言っていたと思ったが、心境の変化か?」




「毎日の仕事のストレスがこの子を見ただけでパァって消えるんです。僕の癒しです。」




「ホォ、仕事のストレス?」




「あ、いや、降谷さんあのぉ。」




「お前が溜め込んでいるストレスとやら、俺に話してもらおうか。」




「勘弁してくださいよ、降谷さぁぁあああん!」





なんてことがあった。
小動物は癒しだと彼は言っていたがなんとなくそう言っていた理由がわかるような気がする。まぁ、ハムスターというよりは、猫に近いが。





だのに、香坂さんの所有する城が燃えているというのに彼女はコナンくんと一緒に犯人と対峙していた。俺が行った時はもう、犯人は気絶していたがもう一つ気にくわないことがある。どうして彼女は赤井と一緒にいる。





馴れ馴れしく名前を呼んで手をつないで。どうやらあなたは僕をイラつかせるのが相当お好きなようだ。





覚悟しておいてください、この借りは必ず。





事件後、職場に戻ると部下たちに「降谷さん、なんであの時あの船に行ったんですか?」なんて聞かれ返す言葉もなく、その時放った書類が束になって俺を待ち構えていたのは言うまでもない。



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