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平穏無事に人生を生きていけることがどんなに美しいことだろう。私は、彼の有名なベリスリーの言葉を借りて今置かれているこの状況を高らかに叫ぼう。
あぁ、なんと嘆かわしいことだ。自分自身を満たす平和という名の甘いキャンディを僕はどこに捨ててきてしまったのだろうか、それとも。あれはもう僕の口の中を通り溶けていってしまったのだろうか。吐き出すことができないのならば僕はそれをもう一度手に入れたい、どんな手段を使おうとも。
ちなみにベリスリーとは有名な作家である、私の中では。
「僕と話をしているのに、どうして本を読んでいるんですか?」
「別に、安室さんとお茶したいなんて。私、言ったことないですけど。」
現状を説明しよう。
目の前には活字文庫、カフェオレ、それを支えるおしゃれなテーブル。そして安室透。
「なんでここにいるんですか?」
「たまたまあなたを見つけまして、一緒にお茶でもと。」
「相手が許可していないのにですか?」
「赤井とは食事に行くのに、僕とはお茶もしてくれないんですか?」
「え?」
「コナンくんが教えてくれました。」
このくだらないお茶会が終わったらコナンくんを呼び出してぶん殴ってやろう。そうしよう。よりにもよってどうしてこの男に話してしまうのだろうかコナンくん。
「あなた、赤井とはどういう関係なんですか?」
「関係と言いますと?」
「質問に質問で返すのはいただけませんね。」
「安室さんの質問の意図が分かりかねますので。」
「友達、という間柄ではないでしょう。相手はあの赤井ですから。」
「友達ですよ、それ以上でも以下でもないです。」
言っていて悲しいがFBI捜査官を「友達」というカテゴリーにくくってしまえるほど私の心は大きく成長しているのだろう。
「本当にそうですか?」
私から本を取り上げてペラペラとページをめくっていく。その本私のなんですけど、なんで言おうものならすぐに言葉をかぶせてやろうという目をしている。
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