「え?」





「なんで犯人言っちゃうんですか!?」





「すみません!もう読み終えているものだと思って。」





「酷いです!最悪です!最悪の気分です!」





「な、何かお詫びをします!どうしたら、機嫌直してくれますか?」





「・・・本屋に連れて行ってください。」





「本屋ですか。」





「安室さんに犯人をバラされたイライラを解消するのに本を爆買いします。本を沢山買うので帰りが大変です、送ってください。」





「・・・わかりました、それで貴方の気がすむなら。」





安室さんは会計をしてくる私の代わりに荷物を全て持って店の外で待っていてくれた。外見がイケメンだからなのか他の女たちがコソコソと噂しているのがムカつく。こいつは楽しく推理しながら読んでいた推理小説の犯人をサラッとバラしてしまうような極悪非道な男なのだ、何が「かっこいい」「イケメン」「優しそう」なんだかわからない。





ベリスリー唯一の推理小説の犯人をバラされた私は安室さんに連れられて彼の運転する車で本屋に向かった。絶対に許さない。





「普段はどんな本を買っているんですか?」





「目に付いた面白そうなタイトルの本を買います。」





「バクチ買いですね。」





「でも、当たった時嬉しいですよ。」





近くにあるショッピングモールに入っている一番大きな本屋に連れてきてもらった私は安室さんに買い物かごをもたせてその中に次々と本を入れていく。普段の買い方通り目に付いた面白そうなタイトルの本をどんどん入れていくと、さすがにどうかと思ったのか声をかけてきた安室さんに二つ返事で返しまた買い物を続ける。





「あ、新刊出てる。」





「由野誠ですか。」





「面白いですよ、由野誠。普通は第三者視点野話が多いですけど、この人は自分視点で全て位書いているので。」





「なるほど、オススメはありますか?」





「《天星のオレンジ》がオススメです《聖櫃の紫》もいいですけど。」





「今度買ってみます。」





「ぜひ。」





袋いっぱいの本を買い安室さんに車で送ってもらって家になんとか買った本を全て運ぶ。もちろん安室さんとはマンションの前でお別れ。家にあげるなんてことはしない。今は部屋が散らかっているし、部屋が散らかっていなくたってあげないんだから。





たくさん本を買ったはいいがしまう場所がないことに気がつくのが少し遅すぎたらしい。安室さんに連れって行ってもらった先で買った本たちは自分がしまわれる場所も用意されていいなかったなんて考えてもみなかっただろう。仕方がない、床に寝ていてもらうしかない。





帰り際に赤井さんからメールが入っていてあることについて調べて欲しいとのことだった。メールをもらうのは嬉しいのだがそういった内容のメールが欲しいわけではない。なんだか上手いように利用されているだけではないかと思えてしまう。





まぁ、頼まれた仕事はこなしますけど。


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