バイクの運転が決してうまいとは言わないが、人生2回目ともなると1回目では経験したことがないことをしてみたくなる。大きなバイクを乗り回したい。これも一つの願望であった、今それが最悪の状況下で叶っていることに大手を振って喜べばいいやら、落胆して落ち込めばいいやら。




犯人に次いで米花駅の方へ右折すると、歩道橋をバイクで登っていく犯人がいた。




「僕は走って追いかける、お姉さんは反対側にいて。」




「オッケー。」




コナンくんに言われた通り歩道橋の犯人が登っている反対側で待機をする。犯人は人を押しのけて階段さえもバイクを乗りながら降りてきている。バイクで階段を下りる最中、一人のお年寄りがバイクと体を掠めたのか声をあげて寄ろめいた事に一瞬気を取られ犯人が私の横を通り過ぎていく。




「くそっ。」




素早くバイクを反転させて犯人が逃げた方向へ車を走らせる。幸いな事に犯人の後ろ姿はバッチリとこの目に写っている。この先は交通量の多い道路になる、犯人に追いつくのはここしかないと、目一杯アクセルを踏み犯人に近づく。




「あ・・・。」




一瞬だったので本当にそうだったかはわからないが、犯人と目があった。顔を見た。お互いにフルフェイスヘルメットをしているのにもかかわらず目があった。




車と車の間を縫うように走っていく犯人に追いつく事ができずに路肩にバイクを止めてヘルメットを取って先ほど目があった犯人を思い出していた。




人を殺そうとしている、復讐をしようとしている犯人の目はあんなにも冷酷で怖いものなのか。




車のクラクションが鳴り、私の後ろに車が一台止まった。別に通行の邪魔をしているわけではないのだから、わざわざクラクションを鳴らさなくてもいいじゃない。




「蜂谷さん、何をしているんですか?」




「あ、安室さん?」




ほら、見てくださいよ赤井さん。
彼ですよ、私に勝手に接触してくるのはいつも彼さんです。




今までに起きた事件を彼に話す。一応彼も毛利探偵の助手を名乗っているのだから事件の事を話をしても大丈夫だろう、というかこの人公安だし。単独で犯人を追っていた事を多少なりとも怒られはしたが一緒に阿笠博士の家まで付いてくるという。




博士の家に着くとコナン君が紙でできた何かを手に取っていた。


- 54 -

*前次#


ページ:



ALICE+