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☆赤井秀一サイド


この間誄に頼んだ調べ物、FBIの情報網を持ってすれば調べられなくはない内容だった。誄に調べさせたものに関しては個人的事情があってこそだったのだが。わざわざ彼女の力を使って調べさせたのは、そういった危険を冒してまで彼女の顔が見たいというわがままであり。一種の束縛のようなものだと、自分の中ではわかっていた。




いい年をした男がこうまでして繋ぎ止めておきたい人物がいるというのは自分でもお笑い種だと思う。仕事上沢山の死を見てきて、経験してきて、剰え自分でも死を経験している。こちら側に関わることがいかにして彼女の首を絞めているかもわかっているがどうしてもそうせざるを得ない感情が渦巻いてしまっている。




「怖い顔ばっかりしていると、眉間のシワが戻らなくなるわよ。」




「ジョディか。」




「この間はずいぶん早く上がったみたいだけど、どこに行ってたの?」




「最近知り合った、情報屋のところだ。」




「彼女?」




「いや、今はまだな。」




そう言うとジョディは同僚に大声で「秀が女の子に手を出しているわ!」と叫びながら部屋を出ていてしまった。別に手を出しているわけではないのだが。




「女の子、か。」




彼女は大学3年生と言っていた。大学三年生ならおそらく年は22歳ぐらいだろうか。フと自分の年を考えて見ると何かとんでもないようなことをしているのではないかとさえ感じられる。




願わくば、彼女が自分と同じ気持ちであって欲しい。




「赤井さん?どうかしましたか?」




「キャメルか、なんでもない少し考え事だ。」




「具合でも悪いんですか?」




「いや、大丈夫だ。仕事か?」




「はい、ジェイムズさんからこれを。」




キャメル捜査官の持って来た資料を確認する。




「ピーター・フォード?」




「はい、以前事件の最中にお世話になったニュースキャスターです。彼が今度旭勝義という人物が経営する海王娯楽施設《アクアクリスタル》に招待されているのですが。その護衛を頼みたいらしくて。」




「護衛なら、別に我々でなくてもいいだろう。」




「ピーターさんはなんでも無類の女ずらしくて、ジョディさんのことが気に入ってしまったみたいなんですよ。」




「・・・。」




呆れて物も言えない。いちニュースキャスターである彼を我々 FBIが護衛するとなると。通常の警護では考えられないほどの大掛かりな物になるのではないか。全く護衛の意味をなさないような気がしてならない。




「それに、FBIの上官が彼と親しいらしく。無碍に扱えないとジェイムズさんが。」




「なおさら、我々には関係のないことだな。」




「まぁ、そうなんですけど。」




「仕事だから仕方がない、彼と一緒に《アクアクリスタル》へ行くのはジョディ、俺は外から様子を見る。」




「わかりました。」

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