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本館へ入るとそこはまるで海中レストランのような出で立ちだった。建物の中であるのにまるで海の中にいるようにまじかに海の魚を見ることができ、中央にはフェラーリF40という車が鎮座している。




なんだっけ、前に赤井さんの言ってた組織の乗っている車。




「ポシェ・・・35?」




「お姉さんどうかしたの?」




「いや、なんでも。若いっていいなって。」




「?」




本の作家なら腐るほど頭の中から出てくるのに、それ以外になるとてんで頭に入ってこない。こういうのを世間一般では文学バカと言うのだろう。ホームズオタクのコナンくんをバカにできなくなってきてしまっている。




村上丈がこの事件の犯人なのだとしたら、彼はどうやってここにくるのだろう。車で来てしまっては彼が来たことを大っぴらにバラしているようなものだ。まさか、そんなことはしないだろう。




コナンくんたちが座る席ではモデルの小山内奈々がエッセイスト仁科稔にワインのテイスティング勝負を挑み、見事に圧勝したようだった。ソムリエの沢木さんはエセエッセイストに小山内さんの持って来たワインの銘柄を見せつけるように雄弁に語っている。




「お姉さんどこか行くの?」




「お手洗い。」




「女性が一人で歩き回っては危険ではないですか?村上丈がここに潜んでいるかもしてないんですから。」




「大丈夫ですよ、白鳥刑事。だって9から2までここに数字のは入った人がいるんですから。私が狙われることはないですよ。それに。」




「それに?」




「女性のお手洗いに男性がホイホイついてきてはダメですよ。」




「なっ!」




こちらを心配そうに見ているコナンくんと蘭さん、安室さんに手を振りお手洗いを目指す。しかし、ここは広いな。いったいどれくらいの敷地面積をしているのだろう。こんな建物を建ててしまうのだから、オーナーの旭勝義さんという人物は相当なお金持ちなんだろう。




「だめだ、完全に迷子だ。」




館内を表す地図にはしっかりと現在位置を書いていて欲しいものだ。なんて不親切な建物なのだろうか、いったいここがどこなのかわからない。




その後10分くらい歩いてようやくトイレを見つけ、みんなの元にの戻ろうとしたのはいいのだが。また迷ったのか?でも円形の建物だったしこれをつたって行けばたどり着けるはず。




「・・・きゃーーーー!」


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