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「あ、安室のお兄ちゃん。」
「なにか探しているようだったからね。」
「えっと、ここに犯人が掴んだ跡があるんだ。」
「左肩か、よほど強く掴まれたんだな。」
「まてよ、左手で掴んだってことは。」
「ナイフを右に持ってたんじゃない?」
「蜂谷のお姉ちゃん。」
左肩を強く掴んで右手で狂気を持っていたということは、犯人は右利き以外ありえない。病院で見せてもらった村上丈の写真。カードを配る彼の手は左。ということはこの事件は村上丈の犯行ではないということ。
「ハァイ、クールキッド。何か手伝うことはアリマスカ?」
「ジョディ先生。安室さん、蜂谷のお姉ちゃん。協力して欲しいんだ。」
なぜこの作戦に私までもが入っているのだろうか。コナンくんが推理するにやはり犯人は村上丈ではない。それは彼の聞き手が物語っている。では誰が、と疑問を浮かべた時。奈々さんが殺された暗闇のかなかすかに聞こえた物音が犯人を特定できる証拠になるらしい。
あの時犯人が建てた音の正体は、コナンくんが床に置いたジュース缶。まだ半分ほど残っているそれを蹴ったのだとしたら中身が飛び散り、犯人のズボンについているはずだという。
コナンくんがそれらの証拠から導き題した犯人は意外な人物だった。
だが、確たる証拠が残っている中。それは疑いようのない事実。しかし、どうして彼がこの犯行を計画したのかは私にはわからない。コナンくんに言われた通り、安室さんとコップに水を入れみんなの元へと持っていく。
「どうぞ、色々起きて喉が渇いていると思いましたので。」
「あぁ、蜂谷ちゃん。ありがとう。」
「すまないな。」
「いえ。」
仕掛けは完璧。安室さんから水を配るためにコップを受け取ったジョディさんが犯人であろう人物にそのコップを渡す。
「どうぞ、冷たいお水デス。」
「あぁ、すみません。」
一通り水を飲み終わった全員を見て確信した。コナンくんの推理どおり彼が犯人。
彼と一緒にいるのだから、そりゃ爆発の一つや二つ経験しておいて損はないと思う。思うが。一度に二回も経験したいとは言っていない。決して。
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