赤井秀一編





まさか誄が《アクアクリスタル》にいるなんて思ってもみなかった。




ましてや、犯人の人質が彼女だった時はさすがに肝が冷えた。犯人と人質それが何を指しているかも理解していた、なぜ誄が人質になっていたのかもわかっていた。彼女は毛利探偵が人質を撃った事件。あれをしようとしている。




そして、毛利探偵がどうして人質を撃ったのかを彼女は理解している。




「信頼されていると、思っていいのだろうか。」




スコープでわざとあちらに気付かせたまでは良かったが。彼女が少し笑って自分の左足を指差した時には驚いた。




「迷わず撃て、ということか。」




彼女の指示通り、左足を掠めるように撃つとその衝撃で彼女は地面に倒れていった。斜面のようになっている足場のせいで、どんどんと海の方へ行ってしまう彼女を支えたのは安室くんで、少しだけ彼を撃ち抜きたいという衝動に駆られたのはココだけの話だ。




見舞いにいった際はジョディに言われた通り花束を買っていったが、どのような色合いで用意したらいいかわからず店員に予算をいい用意してもらった花束は予想以上に大きいものだった。病室に行くまでに何人がこちらを振り返っていたかなんて、想像もしたくない。




「誄。」




「赤井さん・・・なんですかそれ。」




「見舞いの品だ。」




「わ、私にですか?」





「迷惑だったか?」



「迷惑ではないですけど、それを抱えてここまで来たんですか?」




「あぁ。そうだが。」




笑い出した彼女をみて自然と笑みが零れる、ここまで溺れていたのかと思うほどに彼女の笑顔が俺には眩しかった。




「ありがとうございます。」




「誰か来たのか?」




誄の座るベッドの横に俺の用意したのよりは小さいが、かなりな大きさの花束が花瓶に刺してあった。




「安室さんが来てくださいました。」




「安室くんが?」




「はい、先ほど帰られました、「赤井の気配がするから帰ります」って。」




「・・・彼らしい。」




「そうですね。」




今度会ったら本当に撃ち抜いてやろう。



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