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飛行船に乗るお客さんは私たち以外にもいるようでルポライターの藤岡隆道さん。彼は今回のキッドとの対決を書かせてほしいと自分から売り込んできたらしい。あとはテレビ局のディレクター水川正輝さん、カメラマンの石本順平、レポーターの西谷かすみ。テレビ局では今問題の赤いシャム猫の報道に人手が回ってしまい、今回キッドとの対決に来られたのはこの3人だけらしい。




赤いシャム猫が殺人バクテリアを盗んだのが7日前。犯行予告通りなら今日がその7日後に動きを見せる、今日がその問題の日なのだが。




「それにしても、犯人たちはあの細菌をどうするつもりなんですかね?」




「そうそう、感染したらほとんど助からないっていうじゃない。」




「しかも、飛沫感染で移るらしいじゃないですか・」




「怖いわね〜。」




飛沫感染とは病原菌が空気中に飛散、浮遊しそれらが皮膚や呼吸器粘膜などから侵入して発病する元になるという空気伝染、または空気感染のことだ。呼吸器系の伝染病において感染患者の咳、くしゃみ、会話などで飛び散るわずかな水滴と共に周囲に飛び散り、これを吸入した人に呼吸器系の感染が起こる。




感染者が出てしまったらまず間違いなく日本中いや世界中がパニックになってしまう。閉鎖空間で感染が確認されたのならまだ、ということもあるがそうも簡単な話ではない。




藤岡さんの「子供はころっと逝っちまう。」発言には呆れて物も言えないが、鈴木相談役の「この飛行船に乗っていれば大丈夫。」発言にも落ちた肩が上がらない。ずっと飛び続けているつもりなのだろうか。




「皆!次郎吉おじさまがスカイデッキに案内してくれるって。」




「ビックジュエルが見られるわよ。」




「わーい!!」




「早く行こうぜ!」




「楽しみですね!」




「蜂谷さんもどう?」




「あぁ、私はパス。」




「どうして?一緒に行きましょうよ。」




「大人の休憩してくるから。」




「大人の休憩ってなんだ?」




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