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喫煙室には誰もいなかった。こちらとしては都合がいいんだが。タバコに火をつけて持ってきたノートパソコンを開く。耳につけるタイプの通話機をつけてスイッチを入れる。




「ノイズが酷いな、聞こえにくい。」




この飛行船では盗聴器の類は使えないか。通話機は一応耳につけたままにして盗聴器を聞くためのスイッチを切る、聞こえないんじゃ意味がないし。




情報の操作をしたのはあの人で間違いないだろう、問題は仲間がいるのかということ。




「あれ、君は。」




「藤岡さんも一服ですか?」




「あぁ、パソコンなんて開いて何やってんだ?」




「論文です。」




「論文?」




「大学生なので、卒業論文を。」




「一番大変な時期だな。」




「そうですね。まぁ、飛行船はいい気分転換になりますね。」




「そうか。」




沈黙が流れる。喫煙室にはカタカタとキーボードを打つ音だけが響いている。藤岡さんはさっきからチラチラとこちらを向いているが。




「なぁ。」




「なんでしょう?」




「そういやさっき、あんた達と一緒にいた子供達があんたのこと探してたぜ。」




「じゃぁ一旦切り上げますね。」




「あぁ。」




藤岡さんが言うには今がメインデッキでコーヒーでも飲んでいるのではないかとのこと。なんか怪しい藤岡さんの言動はさておきパソコンを自室へと置いてメインデッキに移動すると子供達が笑顔でこちらに走ってきた。眩しい、その笑顔がお姉さんには眩しすぎるよ。




「大人の休憩は終わったんですか?」




「えぇ。」




「姉ちゃんは何飲む?」




コナンくんの周りの人は言葉使いというものがなっていないのかと、疑問が浮上してくる。コナンくん自体がそうであるのだからその周りにいる子供達が敬語を使えるわけがないか。一年生だし。社会で恥をかく前に敬語を覚えることをオススメしよう。




「私はコーヒーかな。」




「じゃぁ、こっちに座ってください。僕がもらってきます!」




「あら、ありがとう。」




「いいえ!!」




円谷くんがウェイターの人に私の分のコーヒーをもらってきてくれた、ご丁寧にシュガー、ミルクにマドラー付きで。なんてできたガキなんだ。コナンくん、見習い給へ。


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