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警察関係者がメインデッキに戻り、みんなに事情を話している最中例の藤岡さんが叫び声というか呻き声を上げてみんなの方を振り向いた。その顔、手、首には発疹が現れ感染してしまったことを物語っていた。




「た、助けてくれ。」




「発疹!」




「まさか、感染したのか!?」




「そういえばあの人、さっき喫煙室に。」




発疹が出ている体でみんなの方へ向かってくる藤岡さん。感染していると分かった以上不用意に近づく人なんて現れるはずもなく皆一様に彼の周りから離れていく。




「落ち着け、落ち着くんだ!」




「死にたくないんだぁ。」




「コナンくん時計借りるよ。」




「あ?え!誄姉ちゃん?」




コナンくんから借り、もといぶん取った時計型麻酔銃を持って藤岡さんの前に出る、この人本当に感染しているのか?




「藤岡さん落ち着いてください。」




「し、死にたくない。」




「死にませんから。」




蘭ちゃんに縋り付いている彼の体を抱きとめるようにしてみんなには見えないように麻酔張りを打つ、気絶したことになった彼をよそに、先ほど小嶋くんにくしゃみをかけたウェイターも発疹と共に倒れてしまった。彼女の方は完璧な気絶だろう。感染したことによるショックで。




麻酔張りで眠った藤岡さんと、発疹により気絶したウェイターは医務室に運ばれ完全隔離されることになった。これ以上被害を出さないためだ。感染しているかもしれない体でよくもまぁ、色々動き回ってくれたものだ。




それにしても、発疹というのはああやって手形のように現れるものなのか?感染した手のひらが触れているからああいった形になったのだろうか?




とにかくここにいない方がいいかもしれないな。




「藤岡さんに触れてしまったし私も感染しているかもしれませんので自室に籠もっていた方がいいですね。」




「誄姉ちゃん。」




「皆さんも、どこも触られてないと思いますが一応手などをよく消毒してください。」




ここから離れるためにロビーに向かった。もし本当にあれが殺人バクテリアなのならとっくに感染しているだろう、だったら喫煙室に行って大丈夫だろう。




一度自室へ行きパソコンを持って喫煙室に行く。封鎖されているそこは人がいなくて静かだ。




「ここなら電話しても大丈夫かな。」




携帯を取り出し電話帳を開きある人物に電話をかける。


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