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そろそろ行動を開始しようかと思ってパソコンの電源を切り、立ち上がると鍵が開く音がした。誰かまた感染者が出たのだろう。扉が開き中に入ってきた女性に驚いた。




「蘭ちゃん。」




彼女までも感染してしまったのか。




武装犯は部屋の中に入り手すりのほうへ近づいてくる。まずい、私は彼らと会ってはいない為こんなところにいたら怪しまれる。どうにかしてこっちに近づいてくる彼を遠ざけないと。




考えを巡らせていると水川さんが狂ったように武装犯に飛びついていた。「助けてくれ、頼む!」そのまま部屋の外までは武装犯を押出した。水川さん本人は武装犯に蹴り飛ばされて喫煙室かに逆戻りだが、ナイス水川さん!




ガチャッ




扉と鍵が閉まる音を確認して顔を覗かせる、足音的にはもう遠くへ行っただろう。はしごに脚をかけて上に戻ると水川さんは蹴られた腹を摩りながらこちらに笑って見せた。

「蜂谷さん!」




「静かに、犯人たちが戻ってきちゃう。」




「蜂谷さんも感染して、でもなんで?部屋に戻ったはずじゃ?」




「まぁ、それはおいおい話すとして。水川さんありがとうございます。おかげで助かりました。」




「いやぁ、ははは。こんなことぐらいしかできないからね。」




「え、どういうこと?」




「では、私はそろそろ行きますので。」




「行くって、この部屋には鍵が!」




「任せて下さいよ。」




そう言ってスマートフォンのケースからピッキング用の工具を取り出して見せる、二人とも驚いたような呆れたような顔をしているがこの際無視を決め込もう。




「私は行きますけど、二人はここにいてくださいね。閉じ込めたはずの二人がここにいないなんてわかったら血相変えてあいつらが探しに来てしまいますから。」




「でも、蜂谷さんがここから出たら殺人バクテリアが。」



「安心してください、細菌に感染した人が手のひらで触ったからって感染しないはずなんです、なのに蘭ちゃんは藤岡さんに触られた部分に手形のように発疹が出ている。」




「どういうこと?」




「殺人バクテリアではなく、何か違うものに感染している可能性があるってことです。でも、それがなんなのかはわからないので二人はここにいてください。あぁ、私がここにいた事は内緒で。」




「え、えぇ。」




「あと、蘭ちゃんに預けものを。」




「これは?」




「私の大事な商売道具です、預かってて。」




「わ、わかった。気をつけてね。」




「任せてください。水川さんも、人生終わった!って感じの演技をお願いします。」




「あ、あぁ・・・ははは。」




手慣れたように鍵を開けて部屋を出る、あいつらがやったように外から喫煙室に鍵をかけてまるで誰も出ていないかのように装う。




飛行船の裏側に行く途中窓ガラスから妙なものが見えた。




「煙?」




飛行船が煙を上げて大阪に向かってるとなっては、大阪中がパニックだろう。


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