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「ハイジャックグループのリーダー藤岡隆道さん、あんたが最初の感染者を装ったおかげですっかり騙されちまったよ。おそらく離陸してすぐあの女の部下が喫煙室に漆の液を巻きアンプルを置いたんだろ。もちろんあんたの指示でな。その後あんたは喫煙室に入ってわざと漆に気触れた、細菌に感染したと俺たちに信じ込ませるために。」




「私に喫煙室を出るように促したのは、ベタベタと壁とかを触っているところを見られたくなかったから。」




「でもスカイデッキで喫煙室に小五郎のおっちゃんを誘ったのも、蘭の腕を掴んだのも、邪魔になりそうな人物を感染者にして、身動きを取れなくするため、でもおっちゃんの方はうまくいかなかったから、ビールに睡眠薬でも混ぜたんだろう?おかげでさっきまでぐっすりだったよ。」




「喫煙室で協力してくれた水川さんや、ウェイトレスさんの発疹は手のひらや腕の後ろ側、喫煙室でソファに座り、背もたれに腕をかけながらタバコを吸っていたから。」




「源太は逆に、喫煙室を覗いただけで何にも触らなかったから発疹はでなかった。喫煙室へ行った人は皆、誄姉ちゃんみたいに手のひらや腕の後ろ側とかに発疹が起きるはずなんだ。まぁ、お姉ちゃんの場合は長くそこの空間にいたせいと漆の付いてで顔を触ったから顔にまで発疹がでてるけど。それ以外ではあんただけなんだよ、何かに触れにくい喉にまで発疹が出たのはね。」




そう、彼は細菌に感染していると見せかけてわざと自分を隔離させて自由に動けるように仕向けた。ハイジャック犯のリーダーと思わてる男が耐えず連絡を取っていたのはこの藤岡隆道で、バイオテロに見せかけた犯罪を裏で仕切っていた大ボス。




「なかなか、見事な推理だったな小僧。だが、そこの姉ちゃんはお前よりも早く俺の正体に気がついていたみたいだがな。」




「なんだと?」




「やっぱり、グランドの名は伊達じゃねーな。」


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