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何度も何度も銃弾を撃ち込まれて、脇腹やら腕やら足やらよくもまぁこんだけ血が出るものだと感心している場合ではないのだが。藤岡隆道は新たに拳銃に銃弾を込めてこちらに向かい拳銃を突き出す。




「コナンくん、あの橋の下にはあいつらの用意したクルーザーがある。」




「え?」




「藤岡さんたちはそれを使って逃げるつもりだったらしいけど、指名手配されたら意味ないかな?」




「何をこそこそ話してやがる。」




「藤岡さんがそこの橋に用意したクルーザーで逃げてさらに、この飛行船に仕掛けた爆弾で人質全員を一網打尽にしようとしているらしいけど、指名手配犯なら逃げられないよね、って話ですかね。」




「あぁ、そうするつもりだ。指名手配されていようが関係ない。逃げ切ってみせるさ。」





どうしようか考えあぐねているとコナンくんがいきなり「あ!ポートタワーが見える!六甲のマークも、すごいすごい!」なんて言い始めるもんだからついに頭にまでアポなんとか4567みたいな薬が回ってしまったのかと本当に心配になってしまう。どうしたコナンくん。




「誄姉ちゃんこっち!」




「え?」




橋の下に差し掛かり、藤岡さんが頭を橋にぶつけないように体をかがめた瞬間にコナンくんはベルトを取り出し、飛行船上部の開閉口にそれを固定した。固定されたベルトから大きく膨らむサッカーボールが橋の下を潜ろうとしている飛行船を邪魔している。




膨らんでいるサッカーボールのおかげで飛行船はまるで上に向かっているように進行方向を空の方へと向けている。ベルトから放たれたサッカーボールの反動で飛行船はさらに上へ向き、まるで大きなクジラが海面へ飛び上がっている様子。




そんな急斜面を何にも捕まらず立っていられるわけもなく藤岡さんは真っ逆さまに落ちていく。


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