純血であること
そして、とうとうホグワーツに入学する日がやってきた。
私達(私だけかも)は普段見たことのない光景に既に驚かされていた。
「トム、トム、凄かったわね!壁に激突しちゃうかと思ったわ」
「ああ、…コンパートメントも空いてて良かった」
ホグワーツ 行きの汽車に乗り、荷物をあげて誰もいないコンパートメントのイスに腰を掛けるも私は興奮が収まらない。だって魔法よ?ホグワーツ よ?!
「トムは教科書読んだかしら?私は全部読んじゃったわ!とっても不思議で面白くて!」
「僕も読んだよ。確かに興味深い内容ばかりだった」
「やっぱり!トムも読んでると思ったわ。私達こんな授業するのね。全部満点をとる気しかしないわ。だって全然苦じゃないもの!」
「どうだろう。まだ1年生だからじゃないか」
「それもそうだわ」
クスクスと私が笑っていると、コンパートメントのドアが開く音がした。
「やあ、突然ごめんね、どこも空いてなくてさ……ここ一緒にいい?」
突然コンパートメントのドアが開き、黒髪の男の子が顔を出した。
不安そうな様子と、雰囲気からして自分達と同じ新入生だろうか。
「ええ!いいわよ…トムも良いわよね?こっち座って………トランク乗せてあげる」
「いや、僕が乗せるよ」
トムが立ち上がりトランクを乗せると、男の子は「ありがとう」といってトムの隣に腰掛けた。
「助かったよ。1人で不安でさ。……あ、自己紹介がまだだったね。俺はアルファード・ブラック」
「私は名前・苗字よ。」
「トム・リドルだ」
それぞれ握手を交わすと、アルファードの不安そうな表情が少し落ち着いた気がした。
「それにしても、ブラックって聞いたことがあるわ。確か、純血の名家でしょう」
私のその言葉を聞いてアルファードはグレーの目を回し、少しウンザリしたような顔をした。
その横でトムがなんの事だ?という怪訝な表情をしていたので、そういえば、トムは純血という概念を知らないのかと思い出した。
「ブラック家は確かに純血至上主義だが、正直……俺にはどうでもよくてね。」
アルファードは眉毛を歪ませ肩を窄めてそう言った。
高貴で由緒正しい純血名家の出だと、色々複雑なことがありそうだと察し、そして気の毒に思った。
「トム、純血っていうのはね、魔法使いでない者、つまり、マグルの血が混ざっていない純粋な魔法族のことを指すのよ。ブラック家のような………純血を守り通すことが最も重要だと考える魔法使いは決して少なくないのよ。」
「全く……有難い教えだよ」
フン、とアルファードは綺麗な顔を歪ませて皮肉っぽく笑った。
そこで、車内販売のワゴンがやってきたので気分転換にかぼちゃパイを一つだけ買った。
アルファードも立ち上がって大鍋ケーキを買っていた。
アルファードは本当にブラック家だとは思えないくらい気さくで優しい人だった。少なくとも、私達がホグワーツ特急に乗っている短い間でそう感じた。
考え事をしているのかトムは、
あまり喋らなかった。