ブラック
ーーー……薄暗い地下にあるスリザリン寮への道のりは、最初気味が悪く思わずリドルにくっついてしまったが、談話室に入ると緑を基調としたインテリアに、窓から覗く湖からのキラキラとした明かりに魅せられてしまった。
「トム、私、スリザリンがとっても好きになれそうよ。だって、こんなに素敵なんだもの。………トムと部屋が離れてしまうこと以外は。」
「仕方ない。こればっかりは。」
孤児院に居た時はずっとと言っても過言ではない程に、トムと2人で過ごしてきた。
なので、トムと離れたところで眠るのがとても新鮮であり、尚且つやはり寂しい。
そう言っているのに、トムは全く気にもとめていない様子で、私は思わずプウ、と頬を膨らませた。
「どうかした?」と声を掛けてきたアルファードを無視してそのまま割り当てられた部屋に入る為歩いていると、とても綺麗な顔立ちの女の子と鉢合わせた。
「あっ、ごめんなさい、」
「いえ、大丈夫よ。一年生かしら?宜しくね」
ニッコリとお淑やかに笑顔を見せた女の子は、パッチリとした目に柔らかいロングヘアで如何にもお嬢様という感じの女の子だった。
少し、誰かに似ている気がするのだけれど、それが誰なのか分からずモヤモヤしてしまう。
思わず言葉に詰まれば、気にしない様子でもう一度声がかかった。
「初めまして、私、2年生のルクレティア・ブラックよ」
「名前・苗字よ、………って、ブラック?貴女もブラックなの?」
私が思わず、ブラックの多さに驚いているとルクレティアはクスクスと笑みを浮かべた。
先程、ルクレティアを見て誰かに似ている気がしていたが、早速謎が解けてしまった。
アルファードとヴァルブルガ、そしてルクレティアがそれぞれ少し雰囲気が重なる気がしたのだ。
ブラックには、美形しか生まれない事になっているのだろうか。
「ヴァルブルガに会ったの?それともアルファードかしら?それともどっちともかしら。」
クスクスと上品に笑う姿につい見惚れていると、「仲良くしてあげてね」と声がかかり咄嗟にウンウンと何度も頷いた。
ヴァルブルガもそうだけれど、とても育ちが良く有無を言わせない存在感がある気がする。
アルファードを見ていると明らかにブラックという名前だけで一目を置かれている気もするし、流石としか言いようがない。
「それじゃあ、またね」
「ええ、また」
ルクレティアが行ってから部屋に入ると、素敵な緑のカーテンが縁取るベッドが4つ置かれており、その1つの側に私の荷物が運ばれていた。
「今日から、ここで過ごすのね…」
ここで過ごす未知の日々に、ドキドキが止まらなくて心臓を抑えた。
トムは、同じスリザリンだった。
これからも、ずっと一緒にいられる。
その事実に嬉しくてつい破顔してしまい、慌てて表情筋を引き締めた。
………トムも、
同じ気持ちだといいのに。