04
「もう無理もう無理もう無理もう無理もう無理ぃぃぃ!!」
「あぁ゛??!なぁに己の限界勝手に決めてんだ!!!!無理っつって鬼が止めてくれんのか?!そんなわけねぇよなぁ!?!?頭湧いてんのか??そんだけ無駄口叩けてんだからまだまだいけるってこった!!
おらおらおらおらおらぁ!もっと速く走れ!素早く避けろ!軌道をよめ!呼吸を意識しろ!」
走る私を追うように竹藪の中からどこからともなく飛んでくる石を木刀1本と身一つですれすれに避ける。
ヒュンッ! ガッ!!
「お前今一瞬目閉じたろ!!一緒の隙も命とりだっつってんだろ!!」
「はぃぃぃっ!!!」
スゥッと息を吸って、…っふる!!
「よし!」
「おいてめぇそんなうっっすい呼吸で偉そうにしてんじゃねぇよ舐めてんのかゴルァ!」
舐めてないわ!必死だわ!!薄いっていうな!!!
「!!ぃっつ〜〜〜!」
頸動脈を狙らって飛んできた石を完全には避けきれず首筋に一線の赤が走った。
「おらおらおらおら!!ぐずぐずしてっと死ぬぞ!!!」
首を軽く圧迫しつつ必死に逃げるがその間も容赦なく石は降り注ぐ。なんならさっきより石の量もスピードも上がった気がする!
無理だって言ってんのに!!!
だめだ焦るな、落ち着け、公子。
力むな。肩の力を抜け。
水のイメージを頭に描け。
集中しろ。水のように、おだやかに、自由に、そして雄大に。
ヒュゥゥッ
水の呼吸 肆ノ型 打ち潮
「っはぁ、っはぁ、っはぁ」
ぱらぱらぱら、と音を立てて石が地面に落ちた。
夕日も落ちかける頃、帰巣する烏の鳴き声が本日の修行の終了をとげる。
「薄ぃ〜」
「っっ〜〜!!」
すみませんね!!!
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ただの百姓の娘だった私がなぜ修行をしているのか。
忘れもしないあの日、能面は私を見下ろし言った。
「死ぬも生きるもお前次第だ。
お前が家族と共に逝きたいのならここで悲しみの中死ね。だが、お前が家族のために生きたいというのなら死に物狂いで俺についてこい」
生きることを!簡単に、諦めるな!!!
ついてこいという同じ声で訴えかける怒号が、私の足を動かした。
あのおぞましく凶悪な存在が鬼であること、鬼を倒す鬼殺隊という組織が存在すること、鬼殺隊になるためには特殊な訓練を受けなければいけないこと
そして白式尉、もとい諸国 兵太夫が育手であり私の師となることを教えられた。
口が悪く態度もでかく感覚的に訴える指導法は習得に苦労したが、修行を始めて早一年、全集中の呼吸も使えるようになり身体能力は飛躍的に向上した。
修行は辛く幾度となくこころを折られたが、あの日の惨劇への憎しみと死に物狂いで生きて悔いなく死ねという師の教育のもとここまでやってこれた。
ただの百姓だった娘はもういない。
「お前、もうそろそろ一年経つか」
「そうですね。もう少しで捌ノ型も習得できそうです」
「フッ…薄いがな」
「鼻で笑わないでください!こちとら必死こいてやってんです!」
「……まあ、なんだ。薄いなりによく漆ノ型まで習得したんじゃないのか」
ずずっと味噌汁を吸う音を立てて師匠が珍しく、いや、初めて私を褒めた。
ん?褒めた、のか?
「えっ師匠、いま私のこと褒め「明日以降、俺から一本とってみろ。それが最後の修行だ」
「………へっ?」
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