06
「それでは師匠、行ってきます」
「あぁ。行ってこい」
そう言って師匠は頭をぐしゃぐしゃにした。
もう!折角気合い入れて結ったのに!
「必ず生きて帰ってこいよ」
村田 公子が弟子となって約2年弱。
幼い少女の命が己にかかっていると思うと厳しくなることもあったと振り返る。
鬼との闘いにより顔半分が潰れ鬼殺隊員として働けなくなった時、育手になるという道をとった。
階級は甲に留まり柱になれなかった自分が剣士を育てられるのかと悩みもしたが、見た目によらず少女は逞しく強く育ってくれた。
本来ならば嫁入り準備をしている年代の子が、泣き言をいいつつ食らいついてくる姿には舌を巻いた。
諦めるな生きろと言ったのは自分だ。簡単に死ぬような訓練をしたとは思っていない。
だが、練習と実践は全く別物である。禍々しい鬼の実体、雰囲気に呑まれる者は珍しくない。
どうか死んでくれるな。
諸国は最終選別へと旅立つ弟子の背中を見つめ続けた。
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「わぁ……!」
貰った地図片手に目的に到着すると、そこは藤の花の楽園のような場所だった。
すでに私より前に到着した子達をちらほら見かける。
あれだけ苦労をしたというのに、最終選別を超えなければ鬼殺隊員にはなれない。
この子達も私と同じくらい修行してきたんだよね…
師匠から授かった刀をきゅっと握りしめた。
「それでは7日後にお会いできる事を心よりお待ちしております」
白樺の精のような美しい女性が深く一礼したのを見届け、私達は山の中へ入る。
女性が現れた時、こんなに美しい人がいるのかと目を見張った。試験内容を説明する凛とした声を聞いて尚更びっくりしたのだが、みんな一切の反応がなく逆に気を引き締めた。
7日間の命をかけた鬼との真剣勝負。
大丈夫。師匠もついてる。
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