08
「最終選別をのこった7名の剣士様、おめでとうございます。例年よりも多くの隊士が誕生いたしましたこと心よりお喜び申し上げます。
また、今回の試験におきまして死亡者がでましたこと、ご逝去の報に接し、心から哀悼の意を捧げます。
それでは、ここにいらっしゃる6名の剣士様は今この時をもって隊士となります。隊服の支給、鎹鴉の随伴、および玉鋼をえらんでいただきます。」
美しい人が試験の終わりを告げる。
ああ、本当に終わったんだ。
玉鋼をぼんやりと眺めていると、肩をとんっと叩かれる。
「あ、あのさ…」
「…君はあの時の」
男の子の横には女の子もいる。
「お前も生き残れたんだな!あの鬼に向かっていったんだろすげぇよ!俺なんて怖くて逃げちまった!それなのに隊士になれるんだな!ははっははっははっ…」
「…私もだよ。あんなこと言ったのに結局、結局なにも出来ずに逃げたんだ…なにも、何もしてないんだよ」
女の子を見ると大きな目に涙が浮かんでいる。
私も感化されて、ぼとぼとと涙がこぼれ落ちた。
「ぐや゛じい゛よねぇ」「…う゛ん、私、私もっと修行がんばる゛」「お、俺も゛、逃げないでいいように恥ずかしくないようにがんばる゛」
3人でわんわん泣いて必ず強くなると決意した。玉鋼を選んだのち、あの男の子ー冨岡 義勇ーが目を覚ましたと聞きみんなで介抱へ向かった。
冨岡の目には力も光も無くなっていて、私達はただひたすらに早く元気なってほしいと感謝と労いの言葉をかけ続けた。
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「それじゃあまたどこかで!次は一緒に戦えたらいいね!」
「おう!」「うん!」
仲良くなった2人と別れ、師匠が待つ家へと帰る。
己だけの実力とは言い難いが、喜んでくれるだろうか。
「ししょー戻りましたー。ただいまでーす」
戸を引いて家に入る。
あれ?いないのかな?
「師匠ー?愛弟子が帰ってきましたよ〜」
冗談を交え帰ってきた事を報告すると、ドサッと物を落とす音が聞こえた。
「ぶふっ」
振り向こうとすると、身体全体に強い圧力がかかる。
い、息ができない!
「よく…よく帰ってきたっ」
師匠の声は少し震えていて、私は離して貰おうと上げていた手を背に回しなおした。
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