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{emj_ip_0829}服部

「鴉真」
「嫌です」
「まだ何も言ってないんだけど」
「その顔とそのトーンで話す服部さんはだいたい面倒ごとしか持ってこないので」
「ほーん、分かってるじゃない。じゃあ、よろしくどうぞ」
「いやだから、嫌だって、あああ…私のデスクが山に…」
「人生山あり谷ありっていうじゃない」
「いやそれとこれとは違いますからね」
「仕方ないでしょ、今みんな出払ってるんだから」
「クッ…私も出ておけばよかった」
「出ていてもこれはお前に頼むよ」
「何で!ですか!」
「新婚として潜入するからね」
「……」
「……」
「誰と誰が」
「まぁ、俺と鴉真だよね。まさか男同士でやらせるつもり?」
「荒木田の女装」
「うん黙って」
「なんでこんなことに」
「だから、よろしく、…葉月?」
「ああ、なるほど……分かりました」
「俺のこと呼んでみて」
「はいはい耀さん」
「さんはいらない」
「いやまさか」
「…」
「…」
「なら、アナタ、とでも呼んでみる?」
「うえぇ…」
「仕方ない。さん付で許すけど慣れが必要かなぁ、うん、分かった。今日から俺のことは名前で呼ぶこと」

「葉月資料は」
「そこです」
「訂正は?」
「服部さんのご要望通りに」
「……」
「服部さんの、「葉月?」
「耀さんの、ご要望通りに」
「わざとかな」
「どうでしょうね」
「ほーん、いいね、いい覚悟だよ」
「体術勝負ですか受けて立ちますよ」

「最近、服部さんと鴉真、名前で呼んでるよな、何で?」
「次の捜査、あの2人新婚設定らしい。で、怪しまれないように今から名前呼びに慣れておこうってことらしいよ」
「まじでかよ」
「おかげで警視庁内はあの2人がくっ付いたって噂で持ちきり」
「苦労してんな」
「鴉真さんはね」
「?服部さんは?」
「完全に楽しんでる。この前なんか、付き合ってるのか聞かれた時に想像にお任せするとか言ってたしな」

{emj_ip_0829}大谷

「ってことで俺のことも名前で呼んでみてほしいなって」
「新婚設定でも言わない」
「…それだけ俺を意識してるってこと?」
「お前はどうでもいい。私の身が危ない」
「寧ろ俺に特定の人が出来たと知れれば女の子達も身を引くかもしれないよ」
「それこそどうでもいい」
「手強いな」
「そうだ、この前亜希に言われた書類整理しなきゃ、じゃ、また」
「いやまって亜希って何。何で神楽も名前なの?…って、ちょ、…瞬間移動並みに早い…」


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