やっぱり雨は降ってきて、両親はまだ帰らないとのことなので傘だけ借りて帰ってきた。というのに、今日はもしかしてだるい日ではなく、運のない日だったのだろうか?目の前の光景にどんどん気分が悪くなる。
「AAA、さん……」
食べかけのりんご飴が異常にすっぱく感じてきた。
「あ?なんだお前」
ガラ悪いなこの男
「道に迷っちゃったのかな〜彼女〜」
帰り道だぞ迷うわけないだろ
「へー、かわいいじゃん」
どうも
あの金髪、ふらふらして覚束なくて、私の名前を小さく呼んだ、めちゃくちゃ見覚えのある男、タケミチ君は自慢のセットは雨でぺちゃんこでふらふらしててボコボコで血だらけで……。あーあ、と思った。私に対してなにを巻き込まれてるんだという呆れとタケミチ君に対してまた馬鹿やったのかなという呆れが混ざった「あーあ」だった。タケミチ君の隣には見知らぬ男、そちらもふらふらでボコボコで血だらけ。手前にいる多数のこのガラの悪くて頭悪そうな男たちは綺麗なまま、一人だけ地面に沈んでいるがこの人数であの血だらけ2人、あまりにも不利すぎる。タケミチ君に名前を呼ばれてからどんどん自分の顔から表情が抜け落ちるのがわかる。
「なんだァ?ザコミチのオトモダチか?」
「こんな美人がァ?」
なにからなにまでダメな日、ということか?
ここまでからまれて「はい、さようなら」ができるなら私はこんなことに元から巻き込まれなかっただろうし、逃げ出せただろう。自分より強くて、刃物を持った、不良の同級生をボコボコにしたであろう男達を怖がるような私がいたことに驚きつつ、口を開く。
「タケミチ君」
いつも通り、声に感情はまったく乗らなかった。ただひたすらに面倒でアホみたいで馬鹿みたいで逃げたくて嫌で、なぜかたまらなくなって、でも、タケミチ君はなぜか顔を上げて前を見据えて体を踏ん張らせたから、私は周りなんて見ないまま一歩を踏み出した。
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