目は瞑らなかった。タケミチ君が前を向いているのに、腹を刺された彼が必死に意識を保とうとしているのに、目をそらすことも閉ざすことも悪いような気がして。だから飛び込んできた4つの影に息が詰まった。
「溝中五人衆参上!!!」
「みんな…っ!」
「タケミチ事情は聞いた!」
「オレらに任せろ!」
「オレらだってやる時ゃやるんだよ!」
「ホアッチャア」
「ツルのようにまいアブのようにさす!!」
はは、と口から笑いが溢れた。最近よく話すようになって一緒にいることも増えた彼らの背中、バカやってる姿ばかり見ているし、たまにボコボコになっているがそれも私の知らぬことで気にしないでいた彼ら。安堵してしまう自分がいる。アブじゃなくて蜂では?とも少し思った。
アツシ君がタケミチ君から視線を動かしこちらを見て、目を丸くしていくのがスローモーションにみえる。
「AAAさん?!」
「うん、アツシ君。危機一髪、ありがとう」
「あ?!うん、え?!は?!」
アツシ君同様他の3人も驚いていたが、すぐに向こう側の不良たちと喧嘩………殴られ?が始まったので声はかけなかった。そうだったね、君たちそんなに喧嘩強くなかった…私よりは強いしそんなこと言わないでね私。そらしていた視線を腹を刺された彼に戻す。
「寝ないでくださいね」
「はは、寝れねぇよ」
「意識を飛ばさないって保証は無いですよね?」
彼はそれには答えずに少しだけ口角を上げた。限界だろう、でも死なせたくはないし、でも、でもやり方がわからない。私のたよりは今調べるネット知識のみ。頼りない。殴る音、殴られる音がする雨の中は思考を嫌な方へと引っ張っていく。
ぼそり、とタケミチ君の小さい謝罪が聞こえて、腹を刺された彼は顔を上げた。
「ドラケン君スイマセン、オレ一人じゃ守りきれなかったっス。でも……」
「ムダな事?それでも引けねぇ時だってあンだよ!」
なぁタケミチ!と言葉に詰まって萎れていたタケミチ君にアツシ君の力強い声がかぶさってきては、私の耳の奥を揺らす。
「絶っっ対ぇ、負けねぇ」
遠くで救急車の音がした。
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