ドラケン君をはじめとしたガラの悪い男たちが医者と看護師に懇々と説教…もといどれだけ危ない状況だったのかの説明をされながら、医者って不良を怖がってられないんだろうなァ…と場違いな思考を巡らせる武道は話の方向が変わったことに気づいたのが一歩遅れた。
「ほんと応急処置、していてよかったわよ」
「やっぱ変わるもんなの?」
マイキー君のタメ口すら気にもとめていないベテランな老年の看護師が、それはもう深く頷く。
「応急処置があるのとないのでは生存率が全く違いますからね。そうね…わかりやすく言うなら…」
「言うなら?」
「応急処置をしなかったら、救急車で運ばれてる間に心肺停止を起こしてもおかしくなかった、って言ったらわかるかしら?」
武道の息が詰まった。嫌な未来がざっと過ぎって、ヒナがナオトがトラック事故で死んだニュースと目の前で命を落としたアッくんの姿が頭に駆け巡る。知らないところで亡くなっていたAAAさんもちらついて、ぐっと喉が詰まった。
武道は気づかなかったがマイキーは目を見開いて、ドラケンは腹の治りかけの傷を撫でた。他にも黙って聞いていた東卍のメンバーが顔を険しくして、ごくんと音を立てて唾を飲み込む。死は自分に近くはないけれど、身内をなくしている者もいないわけではないこのメンバーは死の喪失や苦しみを確かに知っている。
呆れた顔した看護師はため息をついてから「ちゃんとお礼言うのよ」とお母さんみたいなことを言って、さっさと立ち去るのだから場の空気は凍ったままだ。
「タケミっち」
「は、はい?!」
「その応急処置してくれた奴、知ってんだよな?」
この後に続くであろう言葉を武道は察しながらAAAさんにまた冷たい目でみられるのかと思うと冷や汗が止まらなかった。
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