下から大きめの大弥ちゃんの声と定助さんの声が聞こえて驚き飛び上がる、手元にある読んでいた雑誌を閉じベッドに放り投げた。なにがあったんだろうかと戸をあけ階段をてんてんとリズムにあわせ下っていくと、父さんが下向き加減に向こうから歩いてくるのが見えた。
「あれ、父さん。おかえり」
「AAAか……今は、悔しいがいいところなんだ、くっそ!私のかわいい、かわいい大弥を…!」
「ちょ、父さんいきなり何だよ…」
「………なんでも、ない」
「なにその顔…顔洗ってきたら?なんて言うか、すっきりしてきて吹っ切れたら?」
吹っ切れる訳ないだろうと父さんの気迫が一気に強くなる、じりっと後ろに下がった。大弥ちゃんがなにかをしたのか、大弥ちゃんがなにかをされたのかは知らないけど、父さんにとって可愛らしい娘二人は大切な宝物だ。
ふわふわな大弥ちゃんとキラキラしてる鳩姉さん、気難しい顔して厄介な性格をしている男息子3人より大切にされるのは当たり前だろう、俺が父さんならそうする、娘ってのはそれくらい愛されて育つものだ。
「はぁ…AAA、お前の言う通り顔を洗ってくる…」
「そう」
「大弥の部屋には行くなよ、今はな」
「はいはい、わかりましたよ〜だ。虹村さんにパンケーキでも作ってもらうわ」
「お前なぁ………虹村さんに迷惑かけ過ぎないようにしろよ」
洗面所に去りゆく背中にひらひらと手をふりリビングを目指す、まだ聞こえる大弥ちゃんの声に首を傾げながらリビングに入る。
「虹村さーん、今暇ぁ?」
「はい」
「パンケーキ、作ってくれる?」
「ええ」
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