※伯爵様と初対面〜の後の話。
風呂に入れられ汚れを落とし、怪我の治療をして、汚さがあった髪を綺麗にし、大きさが合わないが随分と上等な装備一式は再利用しながら体に合わせて作り変える予定で回収。そして、彼女は、流石にこれから始まる食事時に装備一式を着ているわけにはいかないため、身丈にあった服を着せられている。
「お似合いですよ、騎士様」
「背が高いからなんでも似合っちゃいますね」
きゃあきゃあとはしゃぐメイドたちに囲まれたAAAの苦笑いは彼女たちの騒めきに消えてゆく。
シルクに近い質感のシャツは襟元に青の宝石が散りばめられ、長い足に合わせればウエストが合わないため腰に合わせ長さが短くなったパンツを合わせられ、それを誤魔化すような装飾の少ないブーツ。メイドたちが試行錯誤しながら選び抜いた品々は素晴らしくAAAに似合っていた。
AAA曰く伯爵様ことサン・ジェルマン伯は連れ帰った彼女を上記のようにし、迎え入れた。サン・ジェルマン伯と2人の従者以外は彼女がどういった経緯で生きてこちらに来たのかは知らないため、新しい凄腕の騎士だと簡単にだけ説明したのみだ。これからサン・ジェルマン伯のための騎士になるためあながち間違いではない説明でもある。
「さぁ、できたなら食事よ、食事。さっさと帰った」
着付けが終わったというのに出て行かないメイドたちに痺れを切らしサン・ジェルマン伯が言えばブーイングこそないものの恨みがましい目をして部屋を出て行く。雇い主であり領主である者に対する態度ではない。サン・ジェルマン伯が何度目かのため息をついたが、彼女も真新しい服に魅了されておりそこまで気がまわらないようだ。
「はぁ、さあ、食事しながらで悪いけど話をしましょう。」
「は、はい。」
緊張の面持ちで席に着いたAAAに責めるつもりはないのよとサン・ジェルマン伯が言うが、あまり改善されていない。さらに緊張感が増したかもしれない。食事に手を伸ばしながらサン・ジェルマン伯が口を開くが、彼女はひとつも食事に手を伸ばそうとはしなかった。やはり心なしか顔が青い。
「さて、今日からあなたは私の騎士になってもらうわけだけど、不満は?」
「そんな、不満なんて、こんなにしていただいて」
「こんなに、って全然じゃない。ああ、もう、今はそういう話じゃないの。今後、不満や要望があるならすぐに言いなさい、わかったわね」
「はい」
素直に頷く姿や決して食事に手を伸ばさない姿に奴隷時代が垣間見える。たぶん、おそらく今後不満も要望もこのAAAは言わないだろう。
これからどうしてそれを抜いていくかを考えながら甘い果実を手にとった。
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