※原作28幕
片手を各人にぎられながら、アレスタ様とフラメー様の間に強制的に座らされている。いつもの騎士装備は外され、装飾のないシャツとズボンに身をつつむ自身は弱々しく見えるが、そんなことお構いなくおひいさま特製馬車はゴトゴトと音を鳴らし行く道をズンズンと進んでゆく。私と目があうと、目の前にいるおひいさまの顔がぐにゃぐにゃと歪む。
「エルフですわエルフ、おひいさま、ウフフフフ」
「ウフフオホホ」
「なーんであんた達までついてくんのよー、AAAしかよんでないわよー」
おひいさまの手がぐんっと伸びてきて一気に頭を撫でられる。人のあたたかな温度が頭からじわじわと侵食してくるのがくすぐったく、頬が緩む。まれにおひいさまは私の頭を愛おしむように撫でたり、肩を労わるように軽くたたいたり、と私を益なしで優しさに溢れさせてくれる。もちろんアレスタ様とフラメー様も私のことをそうしてくださる。
「あら、ほんと、かわいいわねAAA」
「ウフフ、かわいいわねぇAAA」
「フフフッ、顔を見せて頂戴よ、AAA」
おひいさまに顔を向けながらなれない笑みを浮かべて見せれば、より一層頭を撫でられる。満足したのか、おひいさまに私をとられたために離したのかわからないけれど、私の手をはなしアレスタ様とフラメー様がにんまりと笑い口を開いた。
「漂流者らが次に狙うとすればたぶんガドルカ、ドワーフ達を解放するのではないかしらおひいさま」
「でもあそこはオルテ最大の兵器工廠、守りもかたい」
「あれだけの兵をどうこうするには至難かと」
「どッうッかッしッらねーー、漂流者は何するかわかんないわよォ。あそこが堕ちたらいよいよこの国、完全に終了ね」
御三方の笑みが深く深くなるのを横目に、あそこにいるドワーフの悲惨さを語った同じ奴隷兵だった1人のドワーフの言葉を思い出した。私らのように貴族の奴隷兵でなく、エルフのように農奴におとされたわけでもなく、ただ酷使されている消費物だ。と言っていた彼。私らには関係のない話であったからほとんど気にしていない、それ。
小さな窓から見える流れる景色に目が痛くて、視線をおひいさまに戻した。
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