「おーい、名前〜?」
いくら休みの日とはいえ寝すぎだろうと、いつまでも布団を抱き締め眠る名前の身体を揺らす。
別段出かける予定があるわけではないが、満足するまで寝かせて後々「せっかくの休みになんで起こしてくれないの」なんて理不尽を口にする彼女なので一度声をかけておくに越したことはない。
「ん゛ん゛ー……」
「ふは、なんつー声だしてんだよ」
ぶさいくな顔と声を出す彼女に思わず噴き出すと、半分以上開いてない目で名前はぼんやりとこちらを見つめる。
もしかしたら笑った俺を睨んでるのかもしれないが、何も話さない所を見るとまだ寝惚けているらしい。
これは長丁場になりそうだ。朝食用に用意した料理が朝昼兼用になるかもななんて頭の片隅で考えながら、ベッドの縁に腰かけた。
「もう10時すぎてるぞ〜」
「んん……」
「コラ、擦るなって」
強く目を擦る癖のある名前の手を掴んで制止し、かわりになんとなく、本当になんとなく薄く開いた瞼に口付ける。
まぁ俺にとっちゃ寝起きの不機嫌な顔でも可愛い彼女に違いは無いし、なんて似合わないキザな行動を取った自分に言い訳をしてへらりと笑って見せれば「な、なん……」と予想外に赤い顔が目に入った。
「な、なにすんの、ばかじゃないの……」
真っ赤になって自分の顔を手で覆う名前は、言いながら強めに俺の肩を叩く。
驚いた所為でまんまるに開いた目を見て、「いい目覚ましになったな」と呟いて名前から体を離すと枕が顔に飛んできた。
俺の彼女の照れ隠しは過激だ。
……そういう俺も、多分名前と同じくらい赤い顔になっているんだろうけど。