現夫vs元婚約者
ディーノが馴染みの医者の病院に着くと、そこには思いも寄らない人物がいた。
「なぜお前がここにいる!?S ・スクアーロ!」
「よぉ、跳ね馬ぁ。遅かったなぁ。」
スクアーロは余裕たっぷりに挨拶をする。
ディーノは今の状況に苛立ちを隠せなかった。
キャバッローネの内紛にヴァリアーが介入した可能性だけでも十分苛立たしいのに、そのスクアーロの太腿を枕に自分が愛してやまない女性がすやすや気持ち良さそうに眠っているのだから。
「質問に答えろ!」
ムチを取り出し大声を出すと、スクアーロは眉間に皺を寄せた。
「声抑えろぉ。アリーチェはさっき寝たばっかりだ。」
「…っ!!」
そんなのはもちろん察しがついた。
ロマーリオが反乱鎮圧を告げるまできっとアリーチェは眠れなかっただろう。
何度も人質を経験したアリーチェが知り合いの病院に避難したぐらいで気を抜けるはずがないことくらいディーノは知っている。
「ヴァリアーはキャバッローネの内紛に介入したのか?」
少しだけ声を抑えてディーノは尋ねた。
「するわきゃねぇ。うちのボスさんはカスがカスに殺 られることに何ら興味を持つわきゃねぇ。オレはオレ個人としてアリーチェを助けに来ただけだぁ。どっちに肩入れした覚えもねぇ。」
「高校時代、お前とアリーチェが仲良かったのは知っている。だが、命をかけて他所のファミリーの内紛に首を突っ込む程の関係じゃないだろう?」
「首を突っ込む程の関係だが?」
それ以上スクアーロは何も言わず、勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
ディーノは嫌な予感が頭を過った。
「友人が首を突っ込む程の関係だと?」
「友人じゃねぇ。アリーチェはオレの妻だぁ。」
心にヒビが入り、ガラガラと崩れていく音がした。
ディーノは突き付けられた事実を受け入れられなかった。
「ふざけた冗談はよせ!!ヴァリアーは何を企んでる!?」
ディーノは声を張り上げた。
「何も企んじゃいねぇ。ザンザスがキャバッローネなんざに興味なんかあるかぁ。」
「ん……」
ディーノの大声に反応してか、アリーチェは身じろぎをし、目を覚ました。
視界いっぱいにスクアーロの銀髪が写り、それを美しいと思ったアリーチェはどこか幼く柔らかい笑みを浮かべた。
「……おはよう、スクアーロ君。」
「ああ」
スクアーロはアリーチェの額にキスを贈る。
アリーチェは目を細めてスクアーロを愛おしそうに見つめ、キスを受け入れた。
少なくとも、ディーノとスクアーロの目にはそう映った。
「ごめん……私まだ眠くて……」
そう言ってアリーチェは目を擦る。
「ああ、まだ寝てろぉ。」
「ん、ありがとう………」
アリーチェはまた目を閉じた。
明らかに愛し合っているカップルの様子に、ディーノは絶望した。
そんなディーノの肩をロマーリオが叩く。
「ボス、どうやら2人が入籍したのは本当みたいだ……。オレもさっき聞いて2人が婚姻届を提出したっつー役所に確認してみたんだが、確かに婚姻届が受理されていた……。」
ロマーリオはディーノを追い詰めるとわかっていつつも、伝える他なかった。
ディーノは構えていたムチを降ろした。
「そん……な……」
「別にテメーから破棄した婚約だろぉ?アリーチェが誰と結婚しても文句は言えねぇ立場なんじゃねーかぁ?」
スクアーロは煽った。
「うるせぇ!オレは…!!オレはっ、アリーチェの身の安全のためにアリーチェを諦めたんだ…!!一般人 じゃねぇ男にくれてやるつもりじゃなかった!!こんなことになるぐらいならオレが…ッ!!」
スクアーロはそれを冷めた目で見ていた。
優越感より嫌悪感が勝った。
「アリーチェの話を聞いててつくづく思っていたっちゃ思っていたが、実際見るとだいぶやべぇなぁ。」
「は?何が…」
「跳ね馬ぁ、お前、自分が縋ればアリーチェが仕方ないっつってどんな自分も受け入れてくれると思ってねーかぁ?」
「…っ!?」
「アリーチェはそういう男が苦手なんだぁ。諦めろぉ。」
「…っ!!」
ディーノは全く考えたことのなかった可能性を突き付けられて、思考が停止した。
へなちょこと呼ばれていた幼少期からどんな自分も受け入れて傍にいてくれたアリーチェが、自分を苦手視しているなど到底信じられなかった。
だが一方でここ最近のアリーチェの拒絶ぶりがスクアーロの言葉を裏付けているようにも感じた。
「アリーチェの両親はテメーらに任せていいな?」
スクアーロがロマーリオに向かってそう言うと、ロマーリオは不服そうではあるものの頷いた。
それを見たスクアーロはアリーチェを横抱きにして立ち上がった。
「ああ、そうだぁ、主犯の2人は動機を聞いたらさっさと殺せぇ。特にミルコって方なぁ。知ってるか?日本には人の振り見て我が振り直せって諺があるらしいぜぇ?」
「何が言いたい?」
「アリーチェに狂った男の末路をちゃんと目に焼き付けろぉ。」
ディーノは心臓を掴まれているような気分だった。
「じゃあなぁ」
スクアーロはそう言って病院を出た。
近くに停めていた車の助手席にアリーチェを降ろし、シートベルトをつけさせる。
自分も運転席に座った時、どっと疲れがやってきた。
「(少し…休むかぁ。)」
額に手の甲を置き、そんなことを考え、アリーチェを見やる。
彼女の髪の毛を一房手に取って指の腹で撫でた後、その髪にキスをした。
「(恋だの、愛だの、興味はねぇが………守ってやりたいと思っちまったんだよなぁ…)」
「なぜお前がここにいる!?
「よぉ、跳ね馬ぁ。遅かったなぁ。」
スクアーロは余裕たっぷりに挨拶をする。
ディーノは今の状況に苛立ちを隠せなかった。
キャバッローネの内紛にヴァリアーが介入した可能性だけでも十分苛立たしいのに、そのスクアーロの太腿を枕に自分が愛してやまない女性がすやすや気持ち良さそうに眠っているのだから。
「質問に答えろ!」
ムチを取り出し大声を出すと、スクアーロは眉間に皺を寄せた。
「声抑えろぉ。アリーチェはさっき寝たばっかりだ。」
「…っ!!」
そんなのはもちろん察しがついた。
ロマーリオが反乱鎮圧を告げるまできっとアリーチェは眠れなかっただろう。
何度も人質を経験したアリーチェが知り合いの病院に避難したぐらいで気を抜けるはずがないことくらいディーノは知っている。
「ヴァリアーはキャバッローネの内紛に介入したのか?」
少しだけ声を抑えてディーノは尋ねた。
「するわきゃねぇ。うちのボスさんはカスがカスに
「高校時代、お前とアリーチェが仲良かったのは知っている。だが、命をかけて他所のファミリーの内紛に首を突っ込む程の関係じゃないだろう?」
「首を突っ込む程の関係だが?」
それ以上スクアーロは何も言わず、勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
ディーノは嫌な予感が頭を過った。
「友人が首を突っ込む程の関係だと?」
「友人じゃねぇ。アリーチェはオレの妻だぁ。」
心にヒビが入り、ガラガラと崩れていく音がした。
ディーノは突き付けられた事実を受け入れられなかった。
「ふざけた冗談はよせ!!ヴァリアーは何を企んでる!?」
ディーノは声を張り上げた。
「何も企んじゃいねぇ。ザンザスがキャバッローネなんざに興味なんかあるかぁ。」
「ん……」
ディーノの大声に反応してか、アリーチェは身じろぎをし、目を覚ました。
視界いっぱいにスクアーロの銀髪が写り、それを美しいと思ったアリーチェはどこか幼く柔らかい笑みを浮かべた。
「……おはよう、スクアーロ君。」
「ああ」
スクアーロはアリーチェの額にキスを贈る。
アリーチェは目を細めてスクアーロを愛おしそうに見つめ、キスを受け入れた。
少なくとも、ディーノとスクアーロの目にはそう映った。
「ごめん……私まだ眠くて……」
そう言ってアリーチェは目を擦る。
「ああ、まだ寝てろぉ。」
「ん、ありがとう………」
アリーチェはまた目を閉じた。
明らかに愛し合っているカップルの様子に、ディーノは絶望した。
そんなディーノの肩をロマーリオが叩く。
「ボス、どうやら2人が入籍したのは本当みたいだ……。オレもさっき聞いて2人が婚姻届を提出したっつー役所に確認してみたんだが、確かに婚姻届が受理されていた……。」
ロマーリオはディーノを追い詰めるとわかっていつつも、伝える他なかった。
ディーノは構えていたムチを降ろした。
「そん……な……」
「別にテメーから破棄した婚約だろぉ?アリーチェが誰と結婚しても文句は言えねぇ立場なんじゃねーかぁ?」
スクアーロは煽った。
「うるせぇ!オレは…!!オレはっ、アリーチェの身の安全のためにアリーチェを諦めたんだ…!!
スクアーロはそれを冷めた目で見ていた。
優越感より嫌悪感が勝った。
「アリーチェの話を聞いててつくづく思っていたっちゃ思っていたが、実際見るとだいぶやべぇなぁ。」
「は?何が…」
「跳ね馬ぁ、お前、自分が縋ればアリーチェが仕方ないっつってどんな自分も受け入れてくれると思ってねーかぁ?」
「…っ!?」
「アリーチェはそういう男が苦手なんだぁ。諦めろぉ。」
「…っ!!」
ディーノは全く考えたことのなかった可能性を突き付けられて、思考が停止した。
へなちょこと呼ばれていた幼少期からどんな自分も受け入れて傍にいてくれたアリーチェが、自分を苦手視しているなど到底信じられなかった。
だが一方でここ最近のアリーチェの拒絶ぶりがスクアーロの言葉を裏付けているようにも感じた。
「アリーチェの両親はテメーらに任せていいな?」
スクアーロがロマーリオに向かってそう言うと、ロマーリオは不服そうではあるものの頷いた。
それを見たスクアーロはアリーチェを横抱きにして立ち上がった。
「ああ、そうだぁ、主犯の2人は動機を聞いたらさっさと殺せぇ。特にミルコって方なぁ。知ってるか?日本には人の振り見て我が振り直せって諺があるらしいぜぇ?」
「何が言いたい?」
「アリーチェに狂った男の末路をちゃんと目に焼き付けろぉ。」
ディーノは心臓を掴まれているような気分だった。
「じゃあなぁ」
スクアーロはそう言って病院を出た。
近くに停めていた車の助手席にアリーチェを降ろし、シートベルトをつけさせる。
自分も運転席に座った時、どっと疲れがやってきた。
「(少し…休むかぁ。)」
額に手の甲を置き、そんなことを考え、アリーチェを見やる。
彼女の髪の毛を一房手に取って指の腹で撫でた後、その髪にキスをした。
「(恋だの、愛だの、興味はねぇが………守ってやりたいと思っちまったんだよなぁ…)」
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