ダンスダンスダンス
オーケストラが音楽の音量を大きくし、会場の中央でダンスが始まる。
絵美は隼人にチラリと視線を送った。
「…わーったよ」
隼人は早速絵美の手を取り、中央に躍り出た。
互いの片手を握り、もう一方の腕を相手の腰に回す。
隼人が視線で行き先を合図し、2人はステップを踏み始めた。
2人共自然と体が動く。
見ている周囲の人が感嘆するほど2人のダンスは完成されていた。
「やっぱりお互い体が覚えているものだね。」
絵美はそう言って微笑む。
「城で散々練習したからな。」
隼人は少しぶっきらぼうな口調でそう返した。
「……最近気になってたことがある。」
「なに?」
「お前、俺のこと嫌いだったんじゃねぇのか?」
隼人がそう尋ねると絵美は鳩が豆鉄砲を食らったかのような表情を見せた後、少しだけ眉を垂れ下げて微笑んだ。
「…もちろん、言いたいことだけ言って私を置いて城を出て行ったこと、ずっと恨んでたよ。自分のことばかりでお姉様やお母様の気持ちは全然考えてないし。肝心なことをお父様に聞くことすらしないし。……でも、なんかどうでも良くなっちゃった。」
「どうでもいい?」
「うん。最近私まだ誰かを愛せるんだって気付いて、隼人とお姉様のことはどうかな?って考えたの。」
「で、結論は?」
「お姉様には罪悪感を感じるし、隼人にはムカつく所もあるけど、やっぱり好き。お互い違う道を行くけどもう無理に家族としての愛情を否定はしない。」
「そうか……。」
「隼人はどうなの?」
「は?」
「私やお姉様のこと好き?」
「はあ?」
獄寺は素っ頓狂な声を上げた。
しばらく黙って、顔を赤らめながら隼人は答える。
「嫌いじゃねーよ」
絵美は兄のツンデレっぷりが可愛くて思わず笑みが溢れた。
「そういえば昔は背の高さ一緒だったのに、今は全然違うね。」
「そりゃ、俺は男だからな。つか、絵美が伸びてねぇんじゃねーか?」
「うーん、9才から10才にかけて慢性的な栄養失調で余り身長が伸びなかったんだ。だから、ほら、胸もお姉様みたいに大きくないでしょ?」
「おまっ…!変なこと言うな!」
「あ、妹相手に顔赤くなってる。変態。」
「ばっ…!そういうのじゃねぇよ!」
軽口を叩き合っている間に1曲目が終わり、2人が綱吉達の元に戻ると、綱吉から拍手が送られた。
「2人共凄いね。ダンスのことは余りわからないけど、凄かったよ。」
「そんな!まだまだピヨっ子ッスよ!」
隼人は照れて謎の謙遜をした。
絵美は謙遜することなくどこか満足げな表情を浮かべている。
「なあ、絵美。俺も踊ってみていいか?」
「私と?」
名乗りを上げたのは山本だった。
絵美は一瞬逡巡して、ヴァリアーの幹部はいるがザンザスのいない状況で断る必要はないだろうと判断した。
「いいよ。」
絵美は山本に手を差し出した。
山本はその手を取って歩き始める。
「あ、因みに言っておくけど、俺ダンスは初めてな。」
「そうかなって思ってた。大丈夫、山本君なら見よう見真似で基本的なことはできるよ。」
大した度胸だと絵美は内心思いつつ、山本との距離を縮める。
山本は片腕を絵美の腰に回した。
「これで合ってる?」
「うん。君から見て左から行こう。」
絵美は時折進む方向や次の動きを指示しながら踊る。
やはり天性の殺し屋と言われるだけあって、最初はぎこちない動きをしていた山本はみるみる上手くなっていった。
「さすが、山本君。上達が速いね。」
「先生が良いからな。」
「私はほとんど教えてないよ。」
「ハハッ、確かに。」
「そこは謙遜しないんだ?」
「まあな。でもパートナーが上手いからってのはあると思わね?」
「そうかもね。隼人とのダンスは良い手本になったでしょう?」
「だなっ。なんか2人見てたら兄弟っていいなって思った。」
「そう?ちょっと前まで数年越しの冷戦してたけど?」
「それでもお互い歩み寄って仲直りするし、当たり前のように息を合わせて何かを一緒にできるだろ?俺1人っ子だからそういう経験なくってさ。」
「そっか。1人っ子に言われると説得力あるね。沢田君もそういうこと思ったりするのかな?」
「ツナはどうだろうな?家にチビ達がいるから兄弟がいるようなもんじゃん?」
「確かに」
「そういや気になってたんだけど、絵美はツナのこと10代目とかあだ名で呼ばねぇの?沢田君って随分と余所余所しくね?」
「拘りがある訳じゃないよ。それに沢田君本人は呼び方なんて気にしなさそうじゃない?」
「ハハッ、確かに。でもツナって呼んだら喜ぶかもな。あだ名ってなんか距離が縮まってる感じするじゃん。」
「そういうものなの?」
「そういうものだよ。」
「じゃあ、後で呼んでみようかな。」
「俺のことも武って呼んでいいぜ。俺らもう友達 だろ!」
「友達ね…」
「?」
「山本君忘れてない?私達の間には深刻な問題があるよ。沢田君もそうだけど………私はボスに命令されたらあなた達を殺す存在だってこと。こうやって距離を詰めて本当に良いの?」
「急に物騒な話になるのな。でも大丈夫だ。俺もツナも獄寺も、絵美に殺されたりしねーから。絵美に兄弟殺しも友達 殺しの罪も着せねーよ。」
「あなたたちが私を返り討ちにするってこと?」
「そういうことになるな!俺らは殺しはしねーけど!」
「そっか。1対1の決闘ならまだしも隙を狙う暗殺で私が失敗をすることはないと思うけど……。でも……うん……だったら、いいかな?これからも宜しくね、武。」
「おう!」
そんな会話をしている内に1曲終わり、絵美と山本は綱吉達の元へと戻った。
隼人の顔には馬鹿にしてやろうと思ったのに上手く踊りやがってと書いてある。
絵美は綱吉に視線を向けた。
「そちらの紳士様、1曲いかがですか?」
「えっ!?俺!?」
絵美は首を縦に振った。
反対に綱吉は横に振る。
「無理無理無理!!俺踊ったことないよ!!」
「教えるから大丈夫。」
「無理だってー!!」
「行こう、ツナ。」
「えっ、今名前…」
絵美はあだ名を指摘されたことには触れず、綱吉の手を強引に取り、ダンスホールへと向かった。
「さあ、周りの人と同じように左腕を伸ばして、右腕で私の背中を支えて。」
「こう?」
「うん、できてる」
綱吉は絵美に流されるがままに彼女の背中に腕を回した。
絵美も綱吉が伸ばしている手に自分の手を手を絡ませ、綱吉が背中に回してる腕に沿うように腕を回す。
「絵美ちゃん!これ近くて恥ずかしいって!」
「大丈夫、すぐ慣れるよ。ステップは私の足に合わせて。」
「無理無理無理!」
「大丈夫、なんとかなるよ」
絵美は強引に1歩踏み出した。
「わ!」
驚嘆しながらも綱吉はついてきた。
「ツナには超直感があるから集中すれば私の次の動きが読めるんじゃない?」
「いやいやいや、戦ってる時ほどはわからないよ!てか、何で急に俺と踊ろうと思ったの?」
「さっき武と話してね…あ、次止まってゆっくり右足を引いて。3、2、1、はい、」
反り返るポーズを取った後、絵美は会話を続けた。
「武がさ、私がボスの命令であなた達を殺しに来ても、返り討ちにして殺させないってさ。私は殺せる自信があるけどね。」
「何その物騒な自信!」
「暗殺者なのだから当たり前じゃない。でも……それを聞いたら、友達を作るのも悪くないかなって少しだけ思った。だから、ツナ……私と友達になってくれる?」
「絵美ちゃん……俺はもうとっくに友達だと思ってたよ。」
真剣な表情でツナは答え、絵美は微笑んだ。
「ありがとう、ツナ。じゃあ、友達のツナのためにダンス叩き込まなきゃね。」
「何でそうなるの!?」
「だって、京子ちゃんとこうやって踊りたいでしょ?」
「それは…!てか何で絵美ちゃんが俺の好きな子知ってるの!?」
「バレバレ。同じクラスにいれば嫌でもわかるよ。知らないのは京子ちゃんだけだね。」
「そんなに!?は、恥ずかしい…!!」
「別に良いじゃん。こうやって至近距離でツナとダンスする京子ちゃんを想像してみて…」
スクアーロは背中にだらだらと冷や汗をかいていた。
スクアーロだけではない。
ルッスーリア、レヴィ、ベルフェゴール、マーモンも冷や汗をかいていた。
「ボスはいつ頃来るんだったかしら…?」
「知るか。時間にルーズなアイツが決まった時間に来るわけねぇだろぉ。」
ルッスーリアの質問に回答したスクアーロは、嫌な予感がして仕方なかった。
「獄寺隼人はともかく、まさか山本武や沢田綱吉と踊るとは思わなかった……」
レヴィが呟く。
マーモンは絵美の様子を観察して9代目を見た後ボソリと呟く。
「9代目がこのパーティーを開いた意図を理解しているなら悪手ではないけど…」
「ボスが来るって知らねーんだろ、アレ。誰か知らせに行く?踊り申し込めばさりげなく教えられるんじゃね?」
ベルフェゴールの案にすかさずスクアーロが突っ込む。
「馬鹿か、テメーはぁ!そのタイミングでボスさんが入って来たらかっ消されるのは一緒に踊ってるソイツだぞぉ!」
「確かに。じゃあレヴィ行ってきて。」
「ぬ!?なぜ俺!?そもそも俺は踊れないぞ!」
「え?マジ?」
「ベルちゃん、王子なんだから踊れるでしょ?ベルちゃんが行ってくれば?」
「やだよ、ボスにかっ消されたくないね。てかルッスーリアならいけんじゃね?オカマならノーカンっしょ?」
「私も踊り方なんて知らないわよ〜。誰か私をリードして欲しいわ〜ん。」
「とにかく沢田はまずい。どうにかして早く引き剥がさねぇと。」
スクアーロはそう言うが、実際手立てはない。
「そうは言ってもボスの作戦的に今は目立つことできないじゃん。」
「それをどうにか考えろっつってんだぁ!」
「もうなるようにしかならないんじゃないかしら…」
ルッスーリアのその一言でヴァリアーの面々は押し黙る。
ザンザスの到着が今この瞬間でないことを彼らは祈った。
絵美は隼人にチラリと視線を送った。
「…わーったよ」
隼人は早速絵美の手を取り、中央に躍り出た。
互いの片手を握り、もう一方の腕を相手の腰に回す。
隼人が視線で行き先を合図し、2人はステップを踏み始めた。
2人共自然と体が動く。
見ている周囲の人が感嘆するほど2人のダンスは完成されていた。
「やっぱりお互い体が覚えているものだね。」
絵美はそう言って微笑む。
「城で散々練習したからな。」
隼人は少しぶっきらぼうな口調でそう返した。
「……最近気になってたことがある。」
「なに?」
「お前、俺のこと嫌いだったんじゃねぇのか?」
隼人がそう尋ねると絵美は鳩が豆鉄砲を食らったかのような表情を見せた後、少しだけ眉を垂れ下げて微笑んだ。
「…もちろん、言いたいことだけ言って私を置いて城を出て行ったこと、ずっと恨んでたよ。自分のことばかりでお姉様やお母様の気持ちは全然考えてないし。肝心なことをお父様に聞くことすらしないし。……でも、なんかどうでも良くなっちゃった。」
「どうでもいい?」
「うん。最近私まだ誰かを愛せるんだって気付いて、隼人とお姉様のことはどうかな?って考えたの。」
「で、結論は?」
「お姉様には罪悪感を感じるし、隼人にはムカつく所もあるけど、やっぱり好き。お互い違う道を行くけどもう無理に家族としての愛情を否定はしない。」
「そうか……。」
「隼人はどうなの?」
「は?」
「私やお姉様のこと好き?」
「はあ?」
獄寺は素っ頓狂な声を上げた。
しばらく黙って、顔を赤らめながら隼人は答える。
「嫌いじゃねーよ」
絵美は兄のツンデレっぷりが可愛くて思わず笑みが溢れた。
「そういえば昔は背の高さ一緒だったのに、今は全然違うね。」
「そりゃ、俺は男だからな。つか、絵美が伸びてねぇんじゃねーか?」
「うーん、9才から10才にかけて慢性的な栄養失調で余り身長が伸びなかったんだ。だから、ほら、胸もお姉様みたいに大きくないでしょ?」
「おまっ…!変なこと言うな!」
「あ、妹相手に顔赤くなってる。変態。」
「ばっ…!そういうのじゃねぇよ!」
軽口を叩き合っている間に1曲目が終わり、2人が綱吉達の元に戻ると、綱吉から拍手が送られた。
「2人共凄いね。ダンスのことは余りわからないけど、凄かったよ。」
「そんな!まだまだピヨっ子ッスよ!」
隼人は照れて謎の謙遜をした。
絵美は謙遜することなくどこか満足げな表情を浮かべている。
「なあ、絵美。俺も踊ってみていいか?」
「私と?」
名乗りを上げたのは山本だった。
絵美は一瞬逡巡して、ヴァリアーの幹部はいるがザンザスのいない状況で断る必要はないだろうと判断した。
「いいよ。」
絵美は山本に手を差し出した。
山本はその手を取って歩き始める。
「あ、因みに言っておくけど、俺ダンスは初めてな。」
「そうかなって思ってた。大丈夫、山本君なら見よう見真似で基本的なことはできるよ。」
大した度胸だと絵美は内心思いつつ、山本との距離を縮める。
山本は片腕を絵美の腰に回した。
「これで合ってる?」
「うん。君から見て左から行こう。」
絵美は時折進む方向や次の動きを指示しながら踊る。
やはり天性の殺し屋と言われるだけあって、最初はぎこちない動きをしていた山本はみるみる上手くなっていった。
「さすが、山本君。上達が速いね。」
「先生が良いからな。」
「私はほとんど教えてないよ。」
「ハハッ、確かに。」
「そこは謙遜しないんだ?」
「まあな。でもパートナーが上手いからってのはあると思わね?」
「そうかもね。隼人とのダンスは良い手本になったでしょう?」
「だなっ。なんか2人見てたら兄弟っていいなって思った。」
「そう?ちょっと前まで数年越しの冷戦してたけど?」
「それでもお互い歩み寄って仲直りするし、当たり前のように息を合わせて何かを一緒にできるだろ?俺1人っ子だからそういう経験なくってさ。」
「そっか。1人っ子に言われると説得力あるね。沢田君もそういうこと思ったりするのかな?」
「ツナはどうだろうな?家にチビ達がいるから兄弟がいるようなもんじゃん?」
「確かに」
「そういや気になってたんだけど、絵美はツナのこと10代目とかあだ名で呼ばねぇの?沢田君って随分と余所余所しくね?」
「拘りがある訳じゃないよ。それに沢田君本人は呼び方なんて気にしなさそうじゃない?」
「ハハッ、確かに。でもツナって呼んだら喜ぶかもな。あだ名ってなんか距離が縮まってる感じするじゃん。」
「そういうものなの?」
「そういうものだよ。」
「じゃあ、後で呼んでみようかな。」
「俺のことも武って呼んでいいぜ。俺らもう
「友達ね…」
「?」
「山本君忘れてない?私達の間には深刻な問題があるよ。沢田君もそうだけど………私はボスに命令されたらあなた達を殺す存在だってこと。こうやって距離を詰めて本当に良いの?」
「急に物騒な話になるのな。でも大丈夫だ。俺もツナも獄寺も、絵美に殺されたりしねーから。絵美に兄弟殺しも
「あなたたちが私を返り討ちにするってこと?」
「そういうことになるな!俺らは殺しはしねーけど!」
「そっか。1対1の決闘ならまだしも隙を狙う暗殺で私が失敗をすることはないと思うけど……。でも……うん……だったら、いいかな?これからも宜しくね、武。」
「おう!」
そんな会話をしている内に1曲終わり、絵美と山本は綱吉達の元へと戻った。
隼人の顔には馬鹿にしてやろうと思ったのに上手く踊りやがってと書いてある。
絵美は綱吉に視線を向けた。
「そちらの紳士様、1曲いかがですか?」
「えっ!?俺!?」
絵美は首を縦に振った。
反対に綱吉は横に振る。
「無理無理無理!!俺踊ったことないよ!!」
「教えるから大丈夫。」
「無理だってー!!」
「行こう、ツナ。」
「えっ、今名前…」
絵美はあだ名を指摘されたことには触れず、綱吉の手を強引に取り、ダンスホールへと向かった。
「さあ、周りの人と同じように左腕を伸ばして、右腕で私の背中を支えて。」
「こう?」
「うん、できてる」
綱吉は絵美に流されるがままに彼女の背中に腕を回した。
絵美も綱吉が伸ばしている手に自分の手を手を絡ませ、綱吉が背中に回してる腕に沿うように腕を回す。
「絵美ちゃん!これ近くて恥ずかしいって!」
「大丈夫、すぐ慣れるよ。ステップは私の足に合わせて。」
「無理無理無理!」
「大丈夫、なんとかなるよ」
絵美は強引に1歩踏み出した。
「わ!」
驚嘆しながらも綱吉はついてきた。
「ツナには超直感があるから集中すれば私の次の動きが読めるんじゃない?」
「いやいやいや、戦ってる時ほどはわからないよ!てか、何で急に俺と踊ろうと思ったの?」
「さっき武と話してね…あ、次止まってゆっくり右足を引いて。3、2、1、はい、」
反り返るポーズを取った後、絵美は会話を続けた。
「武がさ、私がボスの命令であなた達を殺しに来ても、返り討ちにして殺させないってさ。私は殺せる自信があるけどね。」
「何その物騒な自信!」
「暗殺者なのだから当たり前じゃない。でも……それを聞いたら、友達を作るのも悪くないかなって少しだけ思った。だから、ツナ……私と友達になってくれる?」
「絵美ちゃん……俺はもうとっくに友達だと思ってたよ。」
真剣な表情でツナは答え、絵美は微笑んだ。
「ありがとう、ツナ。じゃあ、友達のツナのためにダンス叩き込まなきゃね。」
「何でそうなるの!?」
「だって、京子ちゃんとこうやって踊りたいでしょ?」
「それは…!てか何で絵美ちゃんが俺の好きな子知ってるの!?」
「バレバレ。同じクラスにいれば嫌でもわかるよ。知らないのは京子ちゃんだけだね。」
「そんなに!?は、恥ずかしい…!!」
「別に良いじゃん。こうやって至近距離でツナとダンスする京子ちゃんを想像してみて…」
× × × × × × × × × × ×
スクアーロは背中にだらだらと冷や汗をかいていた。
スクアーロだけではない。
ルッスーリア、レヴィ、ベルフェゴール、マーモンも冷や汗をかいていた。
「ボスはいつ頃来るんだったかしら…?」
「知るか。時間にルーズなアイツが決まった時間に来るわけねぇだろぉ。」
ルッスーリアの質問に回答したスクアーロは、嫌な予感がして仕方なかった。
「獄寺隼人はともかく、まさか山本武や沢田綱吉と踊るとは思わなかった……」
レヴィが呟く。
マーモンは絵美の様子を観察して9代目を見た後ボソリと呟く。
「9代目がこのパーティーを開いた意図を理解しているなら悪手ではないけど…」
「ボスが来るって知らねーんだろ、アレ。誰か知らせに行く?踊り申し込めばさりげなく教えられるんじゃね?」
ベルフェゴールの案にすかさずスクアーロが突っ込む。
「馬鹿か、テメーはぁ!そのタイミングでボスさんが入って来たらかっ消されるのは一緒に踊ってるソイツだぞぉ!」
「確かに。じゃあレヴィ行ってきて。」
「ぬ!?なぜ俺!?そもそも俺は踊れないぞ!」
「え?マジ?」
「ベルちゃん、王子なんだから踊れるでしょ?ベルちゃんが行ってくれば?」
「やだよ、ボスにかっ消されたくないね。てかルッスーリアならいけんじゃね?オカマならノーカンっしょ?」
「私も踊り方なんて知らないわよ〜。誰か私をリードして欲しいわ〜ん。」
「とにかく沢田はまずい。どうにかして早く引き剥がさねぇと。」
スクアーロはそう言うが、実際手立てはない。
「そうは言ってもボスの作戦的に今は目立つことできないじゃん。」
「それをどうにか考えろっつってんだぁ!」
「もうなるようにしかならないんじゃないかしら…」
ルッスーリアのその一言でヴァリアーの面々は押し黙る。
ザンザスの到着が今この瞬間でないことを彼らは祈った。
back to index
back to top