守りたい対象
六道骸の一味との戦いから1ヶ月が経とうという頃、山本君が出場する秋の野球大会を観戦するために僕らは並盛運動公園の野球場へ集まっていた。
試合は山本君の活躍で順調に進んだけど、ツナ君達はいつも通りカオスだった。
獄寺君は敵チームにもっと頑張らないと暴動を起こすとか言い出して、笹川さんは山本君に対してボクシングの勧誘を始めるし、ビアンキさんが現れたことで獄寺君は倒れてしまった。
並盛中野球部はこの試合に勝ったけれど、僕らは騒ぎ過ぎて野球部顧問からお叱りを受けてしまった。
そんなドタバタな出来事が平和な日常が戻ってきたと僕らに実感させた。
帰り道、僕は具合の悪く意識のない獄寺君をおんぶして帰った。
ツナ君が背負うと言ってくれたけど、ついこの前まで筋肉痛に悶えていた主人 に無理をさせたくない。
「う…」
どうやら獄寺君が起きたようだ。
「気分どう?獄寺君」
「…っ!?降ろせ!」
女の子におんぶされるのは嫌なんだろうか?
とりあえず体を屈めて獄寺君の足が地面につくようにして彼の太ももを解放したら、背中に感じていた温度が急に下がった。
振り返って見てみれば、彼は顔を真っ赤にしていた。
どうやら恥ずかしかったらしい。
「すまんね、僕が運ばなかったらツナ君かビアンキさんが運ぶことになりそうだったから。」
「あ……ああ、そういうことか…」
「ツナ君に負担をかけることは好まないだろうし、ビアンキさんに担がれるのはもっと嫌だろうと思ったんだけど違った?」
「いや…違わねぇ。礼を言う。」
「どういたしまして。よかったら家まで送るよ。」
「いや、オレがテメーを家まで送る。10代目にご迷惑をおかけしたことも謝りてーしな。」
後者が本命か。
じゃあ遠慮なく送ってもらおう。
「なら、お言葉に甘えて。」
「ああ。」
獄寺君は黙って隣を歩く。
僕はこういう時間も嫌いじゃない。
「あ……」
獄寺君は何か気付いたように足を止めた。
「どうした?」
「ここ、お前がアホ女助けた場所だろ?」
言われてみれば確かに。
ハルちゃんに特に怪我とかはなかったから、すっかり忘れてた。
「そうだね。」
「お前、スクーデなしでも強いんだな。」
「バリエラの中でもピカイチの天才だからね、僕は。」
「自分で言うのかよ……」
「事実だからね。まあ、六道骸の件で自分の無力さを思い知ったけど。」
「お前のどの辺が無力なんだよ?」
「ツナ君のことしか守れないこと。ツナ君のことも傍にいなければ何もできないこと。」
「………」
「僕、ツナ君のことばかりでフゥ太君が拉致られてるなんて気付かなかったよ。ビアンキさんを傷付けた罪悪感に押し潰されそうなフゥ太君は本当に見てられなかった。」
僕は3歩分くらい獄寺君の前に出て振り返り、獄寺君と向き合った。
「僕はみんなを守りたい。ツナ君だけでなくツナ君が大事にしているみんなを。僕にとって大切な友人のみんなを。もちろん、獄寺君も。」
「……何でオレまで入ってんだよ?」
照れていることを隠すような仏頂面を彼は作る。
獄寺君らしいな。
「そりゃあ、獄寺君はツナ君の大事な友達で、僕にとっても大事な友達だから。」
「オレが目指してるのは10代目の右腕であって、友達じゃ…」
「友達兼右腕でいいじゃん。ツナ君は実際獄寺君を友達として凄く大切にしてるんだし。」
実際獄寺君がツナ君に友達と思われていて不快に思うどころか、泣いて喜んでたの知ってるんだよなー。
嫌がりそうだから言わないけど。
「それに攻撃特化の獄寺君と防御特化の僕が組んだら無敵だと思わない?」
「オレは自分の身は自分で守れるぜ。テメーの助けは要らねぇ。」
「えーーー」
「つかよ、お前の使命は10代目をお守りすることじゃねーのか?オレ達を守る余裕あんのかよ?」
鋭いなー、獄寺君は。
やっぱり頭良い。
「余裕はないね。みんなを守りたいなら遠隔で守る術を身に付けなきゃ。今の実力じゃツナ君しか守れないから。」
「……オレも負けてらんねーな。」
胸の前で拳を握る獄寺君はちょっとかっこいい。
普通の人が身に付けたらイタく見える指輪が似合っているからか余計に。
うん、クラスの女の子達からキャーキャー言われる理由がわかる気がする。
「僕も負けないよ。」
その拳にコツンと僕の拳をぶつければ、獄寺君は少し気恥ずかしそうに顔を逸らした。
試合は山本君の活躍で順調に進んだけど、ツナ君達はいつも通りカオスだった。
獄寺君は敵チームにもっと頑張らないと暴動を起こすとか言い出して、笹川さんは山本君に対してボクシングの勧誘を始めるし、ビアンキさんが現れたことで獄寺君は倒れてしまった。
並盛中野球部はこの試合に勝ったけれど、僕らは騒ぎ過ぎて野球部顧問からお叱りを受けてしまった。
そんなドタバタな出来事が平和な日常が戻ってきたと僕らに実感させた。
帰り道、僕は具合の悪く意識のない獄寺君をおんぶして帰った。
ツナ君が背負うと言ってくれたけど、ついこの前まで筋肉痛に悶えていた
「う…」
どうやら獄寺君が起きたようだ。
「気分どう?獄寺君」
「…っ!?降ろせ!」
女の子におんぶされるのは嫌なんだろうか?
とりあえず体を屈めて獄寺君の足が地面につくようにして彼の太ももを解放したら、背中に感じていた温度が急に下がった。
振り返って見てみれば、彼は顔を真っ赤にしていた。
どうやら恥ずかしかったらしい。
「すまんね、僕が運ばなかったらツナ君かビアンキさんが運ぶことになりそうだったから。」
「あ……ああ、そういうことか…」
「ツナ君に負担をかけることは好まないだろうし、ビアンキさんに担がれるのはもっと嫌だろうと思ったんだけど違った?」
「いや…違わねぇ。礼を言う。」
「どういたしまして。よかったら家まで送るよ。」
「いや、オレがテメーを家まで送る。10代目にご迷惑をおかけしたことも謝りてーしな。」
後者が本命か。
じゃあ遠慮なく送ってもらおう。
「なら、お言葉に甘えて。」
「ああ。」
獄寺君は黙って隣を歩く。
僕はこういう時間も嫌いじゃない。
「あ……」
獄寺君は何か気付いたように足を止めた。
「どうした?」
「ここ、お前がアホ女助けた場所だろ?」
言われてみれば確かに。
ハルちゃんに特に怪我とかはなかったから、すっかり忘れてた。
「そうだね。」
「お前、スクーデなしでも強いんだな。」
「バリエラの中でもピカイチの天才だからね、僕は。」
「自分で言うのかよ……」
「事実だからね。まあ、六道骸の件で自分の無力さを思い知ったけど。」
「お前のどの辺が無力なんだよ?」
「ツナ君のことしか守れないこと。ツナ君のことも傍にいなければ何もできないこと。」
「………」
「僕、ツナ君のことばかりでフゥ太君が拉致られてるなんて気付かなかったよ。ビアンキさんを傷付けた罪悪感に押し潰されそうなフゥ太君は本当に見てられなかった。」
僕は3歩分くらい獄寺君の前に出て振り返り、獄寺君と向き合った。
「僕はみんなを守りたい。ツナ君だけでなくツナ君が大事にしているみんなを。僕にとって大切な友人のみんなを。もちろん、獄寺君も。」
「……何でオレまで入ってんだよ?」
照れていることを隠すような仏頂面を彼は作る。
獄寺君らしいな。
「そりゃあ、獄寺君はツナ君の大事な友達で、僕にとっても大事な友達だから。」
「オレが目指してるのは10代目の右腕であって、友達じゃ…」
「友達兼右腕でいいじゃん。ツナ君は実際獄寺君を友達として凄く大切にしてるんだし。」
実際獄寺君がツナ君に友達と思われていて不快に思うどころか、泣いて喜んでたの知ってるんだよなー。
嫌がりそうだから言わないけど。
「それに攻撃特化の獄寺君と防御特化の僕が組んだら無敵だと思わない?」
「オレは自分の身は自分で守れるぜ。テメーの助けは要らねぇ。」
「えーーー」
「つかよ、お前の使命は10代目をお守りすることじゃねーのか?オレ達を守る余裕あんのかよ?」
鋭いなー、獄寺君は。
やっぱり頭良い。
「余裕はないね。みんなを守りたいなら遠隔で守る術を身に付けなきゃ。今の実力じゃツナ君しか守れないから。」
「……オレも負けてらんねーな。」
胸の前で拳を握る獄寺君はちょっとかっこいい。
普通の人が身に付けたらイタく見える指輪が似合っているからか余計に。
うん、クラスの女の子達からキャーキャー言われる理由がわかる気がする。
「僕も負けないよ。」
その拳にコツンと僕の拳をぶつければ、獄寺君は少し気恥ずかしそうに顔を逸らした。
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