未来に彷徨いこんだアリス達
リング争奪戦が終わった翌日、叔父さんから9代目の容体が落ち着いたと連絡があった。
そして僕の予想通り、9代目のバリエラであったお祖父様は亡くなっていたらしい。
死因は毒だけど、証拠隠滅のために真っ黒焦げな死体になっていたため判別するのに時間がかかったみたい。
身内の死ではあるけれど、正直悲しい気持ちにはならなかった。
お祖父様とは数回しか会っていないし、僕のことは会うたびにたくさん褒めてくれたけど、男ならもっと良かったという言葉が口癖だったし、僕のバリエラとしての才能を愛していただけで孫として可愛がってくれていたわけではなかったから。
それに何より実の息子であるお父さんを才能がないからと種馬扱いしたことは僕的に許せない。
だから好きでも嫌いでもなくて、悲しいともザマァともならなかった。
叔父さんからは、内戦が落ち着いたばかりの状況下では護衛に専念すべきだから葬式には出ないように言われた。
僕もそれに異存はなかった。
だからいつも通り笑顔でランボ君の退院祝いとリング争奪戦の祝勝会を兼ねたパーティーに参加した。
パーティーはいつも通りはちゃめちゃで、平和な日常が帰ってきたんだと思った。
リング争奪戦が終わった翌々日、いつも通り自分の部屋の窓からツナ君を見守っていると、ただならぬ様子でツナ君が家を出たので慌てて僕も家を出た。
そこにちょうど獄寺君とハルちゃんも合流して、昨日10年バズーカに当たってしまったリボーン様が帰って来ないのだとツナ君は焦った様子で話してくれた。
「10代目……リボーンさんは確かに10年バズーカに当たって消えたのに、そこには誰も現れなかったんすね。」
獄寺君の確認の意味をツナ君はわかっていないみたいだった。
獄寺君は10年後のリボーン様が亡くなっている可能性を示唆しているんだ。
理解できていないツナ君に青い顔で獄寺君は言った。
「とにかくリボーンさんを探しましょう!オレは学校に行ってきます!」
「ハルは山本さん家に!」
「じゃあ…オレは公園見てくる!」
3人はそれぞれ違う方向に散って、僕はツナ君について行った。
「優希も違うところ探してくれない?」
「ごめん、リボーン君が行方不明なんてヤバい状況でツナ君から離れる訳にはいかない。鬱陶しいだろうけど、我慢して。」
「そんなにやばいの!?」
「……うん」
もしかしてツナ君、本当は10年後のリボーン様が亡くなっている可能性に気付いてるけど、目を逸らしているんじゃないだろうか。
結局公園にリボーン様はいなくて次はどこを探すべきか思案していると、ツナ君はピンと閃いたようで名案を出してくれた。
「あ!!大人ランボに聞けば何かわかるかも!!」
「確かに!すぐ帰ろ!」
僕らは沢田家へ戻ってツナ君の部屋で昼寝するランボ君に話しかけた。
「なー、ランボ、10年バズーカで大人になってくれよ!」
「何言ってんの、ツナ。ランボさんは10年バズーカなんてシ・リ・マ・セ・ン」
「頭から出ているじゃないか!」
「ギク」
「ほら、これで」
ツナ君はランボのアフロヘアから無理やり10年バズーカを引き抜こうとした。
ランボ君はそれに抵抗する。
「ぐぴゃ!!ダメだもんね!ボスに使っちゃダメって言われてるんだもんね!!」
そんなこと言われてたんだとちょっと驚嘆する気持ちと、未来や過去に介入できる代物なんだからそりゃそうだよなと納得する気持ち、両方が僕の中で成立した。
「もう使いまくってんのバレバレだって!!」
「バレてないもんね!!」
「そう言わずに頼む!!」
「イヤだ!!」
「ランボ君、今は緊急事態だから使わせて」
ちびっ子のランボ君相手に2人がかりは酷いかなと思って見守っていたけれど、思いの外ランボ君が抵抗するのでツナ君に加勢したその時、カチッと音がして爆発音がした。
咄嗟にスクーデが発動したけど、10年バズーカの弾の成分が特殊なのかちゃんとツナ君と僕に命中したようだ。
ふわっと体が浮いて落ちる感覚があって、視界が開けた時目の前に広がった景色はどこにでもありそうな森だった。
人の気配を左に感じて咄嗟にそちらを見たら、銀髪から少し見える耳にピアスをいくつか付けていて、緑色の目を限界まで見開いているイケメンがいた。
間違いない、10年後の獄寺君だ。
「獄寺君……だよね?」
「っ……10年バズーカか……」
獄寺君は顔を顰めた後、ため息をついた。
なんか歓迎されてない気がする。
「ごめん、10年後の僕と大事な話でもしてた?」
そう尋ねたら獄寺君は小さく首を横に振った。
「いや……優希が悪いわけじゃねぇ。10年前に行ったこの時代のお前がちょっと心配っつーか……」
獄寺君は少しだけ焦りを滲ませた表情でそう言った。
何年経とうと僕は、自分の身は自分で守れるのに何を心配しているんだろう。
ていうか、10年後の獄寺君って僕のこと下の名前で呼んでるんだ。
まあ、10年もあれば友情も深まるか。
「え゛ーーー!!?なんでオレ棺桶にーーー!!?」
ツナ君の叫び声が聞こえた。
獄寺君はそちらに向かって声を張る。
「誰だ!!」
そしてその方向へ走って行った。
とりあえず僕もついて行った。
「あ……あなたは…!」
やっぱりそこにいたのはツナ君だった。
彼の身が無事だったことには安心したけど、彼が座り込んでいる場所を見て血の気が引くのがわかった。
足元が崩れ底なしの暗闇に突き落とされたような気分だった。
色とりどりの花をたくさん敷き詰めたボンゴレの紋章付きの蓋の棺桶とそこに座っているく入れ替わったばかりのツナ君。
僕はしばらく謝り続ける獄寺君の、大きいはずなのに小さく見えるその背中をぼうっと見てた。
喪失感や自分自身への怒りで脳震盪でも起こしたみたいに頭の中がぐわんぐわんしていた。
未来の話とはいえ、ツナ君のいない世界で僕はどう生きていけばいいんだろう…?
「いいですか、10代目。過去へ戻ったら今からオレの言うことを必ず実行してください。」
獄寺君のその言葉で我に返った。
彼はとある男性の写真を見せながらその男性を消すように言った。
ツナ君は混乱しながらそれを聞いていて、どうしても10年後の自分のことが気になったのか獄寺君の言葉を遮って、自分が棺桶にいる理由を尋ねた。
獄寺君が答えに詰まったその時。
ボフンと紫色の煙が立ち込めた。
そして煙が晴れた瞬間にいたのはいつもの獄寺君だった。
「10代目ぇ……」
「獄寺君!!」
「あれ……!いつもの10代目だ!!オレ、てっきり10年後に来たかと思いましたよ…」
状況を掴めていない獄寺君にツナ君はここは10年後だと説明した。
獄寺君も僕らと同じ理由でこの時代にやってきたみたい。
そしてツナ君が棺桶にいることに気付いた彼に、ツナ君は10年後の獄寺君から受けた説明をかいつまんで伝えた。
僕はその間何も喋らなかった。
いや、喋れなかった。
現実が受け入れ難くて、言葉にすることが怖かった。
説明を聞き終えた獄寺君は背後に黒い影が見えるぐらい落ち込んだ。
気持ちはすごくわかる。
「あの…獄寺君?獄寺君、大丈夫?」
1番ショックを受けていて可笑しくないはずのツナ君が獄寺君を心配する。
獄寺君は立ち上がった。
「10年後のオレは何やってたんだ!!なぜ10代目が棺桶に!!」
「ひぃ!!」
余りの迫力にツナ君は引き気味だ。
獄寺君は今度は地面に座り込んで、右手でドンドンと地面を叩く。
獄寺君のそんな様子を見ていたら、自然と頭の中がクリアになってきて、僕は冷静さを取り戻した。
自分より獄寺君が取り乱しているせいだと思う。
「ちくしょーー!!10代目を死なせるなんてオレは右腕失格です!!」
「誰もまだ死んだとは言ってないから!!」
ツナ君はこの期に及んで現実逃避をしているらしい。
「でも、この状況はどう見ても…」
「優希まで…!」
「僕もバリエラ失格だよ…」
「優希までそんなこと…!だ、大丈夫だよ!多分こうならないための方法も…教えてもらったんだし!」
「そ…そっスね!!5分経って過去に戻ったら、その写真の奴を葬りましょう!!」
獄寺君のそのセリフを聞いてふと違和感。
とっくに5分なんて経ってない…?
ツナ君もそれに気付いたようで固まった後、立ち上がって辺りを見回した。
「もうとっくにここにきて5分くらい経ってるんじゃないかな…」
「なっ、そういやぁ、オレもこっち来てから5分は経った気がします。」
「僕もそう思う。」
「だよねぇ!!じゃあ、なんで過去に戻らないの?」
「考えられるのは…10年バズーカの故障じゃ…」
獄寺君の推測を聞いてツナ君はプチパニック状態に。
確かに10年バズーカ本体は過去にあるから未来ではどうしようもないよな…。
そんなプチパニック状態のツナ君の音から唸る獣みたいな音がした。
どうやらお腹が空いているみたい。
「とりあえず八ツ橋食べましょうか。」
獄寺君の提案を僕らは快諾した。
そして僕の予想通り、9代目のバリエラであったお祖父様は亡くなっていたらしい。
死因は毒だけど、証拠隠滅のために真っ黒焦げな死体になっていたため判別するのに時間がかかったみたい。
身内の死ではあるけれど、正直悲しい気持ちにはならなかった。
お祖父様とは数回しか会っていないし、僕のことは会うたびにたくさん褒めてくれたけど、男ならもっと良かったという言葉が口癖だったし、僕のバリエラとしての才能を愛していただけで孫として可愛がってくれていたわけではなかったから。
それに何より実の息子であるお父さんを才能がないからと種馬扱いしたことは僕的に許せない。
だから好きでも嫌いでもなくて、悲しいともザマァともならなかった。
叔父さんからは、内戦が落ち着いたばかりの状況下では護衛に専念すべきだから葬式には出ないように言われた。
僕もそれに異存はなかった。
だからいつも通り笑顔でランボ君の退院祝いとリング争奪戦の祝勝会を兼ねたパーティーに参加した。
パーティーはいつも通りはちゃめちゃで、平和な日常が帰ってきたんだと思った。
リング争奪戦が終わった翌々日、いつも通り自分の部屋の窓からツナ君を見守っていると、ただならぬ様子でツナ君が家を出たので慌てて僕も家を出た。
そこにちょうど獄寺君とハルちゃんも合流して、昨日10年バズーカに当たってしまったリボーン様が帰って来ないのだとツナ君は焦った様子で話してくれた。
「10代目……リボーンさんは確かに10年バズーカに当たって消えたのに、そこには誰も現れなかったんすね。」
獄寺君の確認の意味をツナ君はわかっていないみたいだった。
獄寺君は10年後のリボーン様が亡くなっている可能性を示唆しているんだ。
理解できていないツナ君に青い顔で獄寺君は言った。
「とにかくリボーンさんを探しましょう!オレは学校に行ってきます!」
「ハルは山本さん家に!」
「じゃあ…オレは公園見てくる!」
3人はそれぞれ違う方向に散って、僕はツナ君について行った。
「優希も違うところ探してくれない?」
「ごめん、リボーン君が行方不明なんてヤバい状況でツナ君から離れる訳にはいかない。鬱陶しいだろうけど、我慢して。」
「そんなにやばいの!?」
「……うん」
もしかしてツナ君、本当は10年後のリボーン様が亡くなっている可能性に気付いてるけど、目を逸らしているんじゃないだろうか。
結局公園にリボーン様はいなくて次はどこを探すべきか思案していると、ツナ君はピンと閃いたようで名案を出してくれた。
「あ!!大人ランボに聞けば何かわかるかも!!」
「確かに!すぐ帰ろ!」
僕らは沢田家へ戻ってツナ君の部屋で昼寝するランボ君に話しかけた。
「なー、ランボ、10年バズーカで大人になってくれよ!」
「何言ってんの、ツナ。ランボさんは10年バズーカなんてシ・リ・マ・セ・ン」
「頭から出ているじゃないか!」
「ギク」
「ほら、これで」
ツナ君はランボのアフロヘアから無理やり10年バズーカを引き抜こうとした。
ランボ君はそれに抵抗する。
「ぐぴゃ!!ダメだもんね!ボスに使っちゃダメって言われてるんだもんね!!」
そんなこと言われてたんだとちょっと驚嘆する気持ちと、未来や過去に介入できる代物なんだからそりゃそうだよなと納得する気持ち、両方が僕の中で成立した。
「もう使いまくってんのバレバレだって!!」
「バレてないもんね!!」
「そう言わずに頼む!!」
「イヤだ!!」
「ランボ君、今は緊急事態だから使わせて」
ちびっ子のランボ君相手に2人がかりは酷いかなと思って見守っていたけれど、思いの外ランボ君が抵抗するのでツナ君に加勢したその時、カチッと音がして爆発音がした。
咄嗟にスクーデが発動したけど、10年バズーカの弾の成分が特殊なのかちゃんとツナ君と僕に命中したようだ。
ふわっと体が浮いて落ちる感覚があって、視界が開けた時目の前に広がった景色はどこにでもありそうな森だった。
人の気配を左に感じて咄嗟にそちらを見たら、銀髪から少し見える耳にピアスをいくつか付けていて、緑色の目を限界まで見開いているイケメンがいた。
間違いない、10年後の獄寺君だ。
「獄寺君……だよね?」
「っ……10年バズーカか……」
獄寺君は顔を顰めた後、ため息をついた。
なんか歓迎されてない気がする。
「ごめん、10年後の僕と大事な話でもしてた?」
そう尋ねたら獄寺君は小さく首を横に振った。
「いや……優希が悪いわけじゃねぇ。10年前に行ったこの時代のお前がちょっと心配っつーか……」
獄寺君は少しだけ焦りを滲ませた表情でそう言った。
何年経とうと僕は、自分の身は自分で守れるのに何を心配しているんだろう。
ていうか、10年後の獄寺君って僕のこと下の名前で呼んでるんだ。
まあ、10年もあれば友情も深まるか。
「え゛ーーー!!?なんでオレ棺桶にーーー!!?」
ツナ君の叫び声が聞こえた。
獄寺君はそちらに向かって声を張る。
「誰だ!!」
そしてその方向へ走って行った。
とりあえず僕もついて行った。
「あ……あなたは…!」
やっぱりそこにいたのはツナ君だった。
彼の身が無事だったことには安心したけど、彼が座り込んでいる場所を見て血の気が引くのがわかった。
足元が崩れ底なしの暗闇に突き落とされたような気分だった。
色とりどりの花をたくさん敷き詰めたボンゴレの紋章付きの蓋の棺桶とそこに座っているく入れ替わったばかりのツナ君。
僕はしばらく謝り続ける獄寺君の、大きいはずなのに小さく見えるその背中をぼうっと見てた。
喪失感や自分自身への怒りで脳震盪でも起こしたみたいに頭の中がぐわんぐわんしていた。
未来の話とはいえ、ツナ君のいない世界で僕はどう生きていけばいいんだろう…?
「いいですか、10代目。過去へ戻ったら今からオレの言うことを必ず実行してください。」
獄寺君のその言葉で我に返った。
彼はとある男性の写真を見せながらその男性を消すように言った。
ツナ君は混乱しながらそれを聞いていて、どうしても10年後の自分のことが気になったのか獄寺君の言葉を遮って、自分が棺桶にいる理由を尋ねた。
獄寺君が答えに詰まったその時。
ボフンと紫色の煙が立ち込めた。
そして煙が晴れた瞬間にいたのはいつもの獄寺君だった。
「10代目ぇ……」
「獄寺君!!」
「あれ……!いつもの10代目だ!!オレ、てっきり10年後に来たかと思いましたよ…」
状況を掴めていない獄寺君にツナ君はここは10年後だと説明した。
獄寺君も僕らと同じ理由でこの時代にやってきたみたい。
そしてツナ君が棺桶にいることに気付いた彼に、ツナ君は10年後の獄寺君から受けた説明をかいつまんで伝えた。
僕はその間何も喋らなかった。
いや、喋れなかった。
現実が受け入れ難くて、言葉にすることが怖かった。
説明を聞き終えた獄寺君は背後に黒い影が見えるぐらい落ち込んだ。
気持ちはすごくわかる。
「あの…獄寺君?獄寺君、大丈夫?」
1番ショックを受けていて可笑しくないはずのツナ君が獄寺君を心配する。
獄寺君は立ち上がった。
「10年後のオレは何やってたんだ!!なぜ10代目が棺桶に!!」
「ひぃ!!」
余りの迫力にツナ君は引き気味だ。
獄寺君は今度は地面に座り込んで、右手でドンドンと地面を叩く。
獄寺君のそんな様子を見ていたら、自然と頭の中がクリアになってきて、僕は冷静さを取り戻した。
自分より獄寺君が取り乱しているせいだと思う。
「ちくしょーー!!10代目を死なせるなんてオレは右腕失格です!!」
「誰もまだ死んだとは言ってないから!!」
ツナ君はこの期に及んで現実逃避をしているらしい。
「でも、この状況はどう見ても…」
「優希まで…!」
「僕もバリエラ失格だよ…」
「優希までそんなこと…!だ、大丈夫だよ!多分こうならないための方法も…教えてもらったんだし!」
「そ…そっスね!!5分経って過去に戻ったら、その写真の奴を葬りましょう!!」
獄寺君のそのセリフを聞いてふと違和感。
とっくに5分なんて経ってない…?
ツナ君もそれに気付いたようで固まった後、立ち上がって辺りを見回した。
「もうとっくにここにきて5分くらい経ってるんじゃないかな…」
「なっ、そういやぁ、オレもこっち来てから5分は経った気がします。」
「僕もそう思う。」
「だよねぇ!!じゃあ、なんで過去に戻らないの?」
「考えられるのは…10年バズーカの故障じゃ…」
獄寺君の推測を聞いてツナ君はプチパニック状態に。
確かに10年バズーカ本体は過去にあるから未来ではどうしようもないよな…。
そんなプチパニック状態のツナ君の音から唸る獣みたいな音がした。
どうやらお腹が空いているみたい。
「とりあえず八ツ橋食べましょうか。」
獄寺君の提案を僕らは快諾した。
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