招かねざる仲間

翌日、僕らは即戦力となる雲雀さんを探すために並盛を探索することにした。
その時山本君は妙なことを言っていた。
ボンゴレリングという希望と共に僕らが来たと。

リボーン様は体調の都合でついて来れないので、山本君、ツナ君、獄寺君、僕の4人でアジトの6つある出口の1つ、5丁目の工場跡に出られる出口から外へ出て、工場跡を歩いて進んだ。
とりあえず10年後の僕が持っていたリングと箱は武器みたいなので持って来た。
歩きながらなんでボンゴレリングが希望なんだろうなって考えていたら、僕だけでなくやっぱり獄寺君も凄く気になっていたようで、彼は山本君にボンゴレリングのことを問い詰めた。
山本君の答えは、ボンゴレリングはツナ君の意向で砕いて捨てただった。
マフィア間でリングの重要性が騒がれ始めて略奪戦の様相を呈した時にリングの破棄を考え始めたらしく、なんかツナ君らしいと思った。

敵の気配がしばらくないからゆっくり雑談してた時、突如前方で爆発があった。
間違いなく敵襲だろう。

「こっちです!急いで!」

聞き覚えのある声……10年後のイーピンちゃんだ!
きっとランボ君もいるはず。
恐らく彼女達は京子ちゃんとハルちゃんを連れて帰って来たんだ。
爆発が起きていた上空には黒づくめの男性が3人浮いていた。
3人共靴から赤い炎が出ていた。

「ミルフィオーレのブラックスペル」

山本君が険しい顔で彼らを睨む。

「いくぜ!リングからマモンチェーンをはずせ!」

山本君の指示に従ってリングからチェーンを外した。
そしてイーピンちゃん達のもとへ走る。
敵3人の中で最も背の低い紫髪の少年が刀身が赤い鎌を取り出して、イーピンちゃん達に向かって放つ。
僕は早速彼らの前に立ってスクーデを張った。

「うわぁっ!攻撃が返ってきた!」

敵残り2人のうちガタイが良い褐色肌の男性が同じような鎌でその攻撃を打ち消し、地面へと流す。
少し離れた地面で爆発が起き、辺りに煙が立ち込める。
後ろから山本君が現れたので僕はスクーデを解いた。

「そこのカゲ、首いただき!!」

金属音が響く。
山本君は見事に敵の攻撃を防いでいた。
さすがだ。

「兄貴、こいつ誰だ?」
「抹殺者リストに載ってたかもしんねーが、消えてく人間をいちいち覚えちゃいねーな。」
「んー、見覚えはあります。名前は忘れたけど、抹殺者リストには載ってましたよ。」
「だよな!」

少年は攻撃を続けてきたけど、山本君の方が動きが全然上手(うわて)だった。
山本君はお父さんの作った技である篠突く雨を少年にお見舞いした。
少年は上手く後ろに避けて、致命傷は避けたみたいだ。
ツナ君と獄寺君はイーピンちゃん達の方へと向かい、僕もそれに倣った。

「みんな大丈夫!」
「しっかりしろ!!」

イーピンちゃんとランボ君は安堵の表情を浮かべる。

「だから言ったじゃないですか。絶対ツナさん達が助けに来てくれるって。」

そこには大人っぽくなって、ボブヘアーになったハルちゃんがいた。

「はひ?なんだかハル…急に背が伸びたみたいです!」

ハルちゃんのボケ方も10年前と変わってなくて思わず失笑してしまった。
後ろから強い攻撃の気配があって振り返ると一際大きな赤い炎が僕らに襲いくる。
前に行くべきか一瞬迷ったけど、山本君が躊躇いのない動きで何かをしようとしていて様子を見ることにした。
山本君は確かにリングに青い炎を灯していて、あの立方体の箱にそのリングを挿入していた。
そして箱が開いて水のバリアを張った。

「おまえ達…よく覚えとけ。」

余裕があるのか山本君はここでリング講座を始める。

「リングにはこの(ボックス)ってのを開ける力がある。」
「そ…そーか!!こいつに空いてる穴はそーやって使うんだな。」

獄寺君が納得したようにそう言って開けてみようと試みる。
でも何も起きなかった。

「人間の体ってのは血液だけでなく目に見えない生命エネルギーが波動となって駆け巡ってるんだ。波動は7種類あって、リングは自分の素質と合致した波動が通過するとそれを高密度エネルギーに変換して生成する…。死ぬ気の炎をな。」

そう言って山本君はもう1つの(ボックス)を開け、昨日の燕が飛び出して行く。
その燕は飛び回って少年の赤い炎を消して行く。
そんな時、イーピンちゃんが異変に気付いた。

「あれ…!?た…大変!!京子さんがいない!!」
「え!!」
「もしかしたら……さっきの爆風で…!」
「そ……そんな…!!」
「まだ決まってねーぜ。手分けして探しに行け、ツナ!守屋!敵はこっちで引き受けた!!」
「え?う…うん!わかった。」
「了解!」

この状況どうやら早速ツナ君から離れなきゃいけないらしい。
でも仕方ない。
ツナ君は自分の身を守る術を持っているけど、京子ちゃんは何も持っていないもの。
ツナ君と別方向に走ったその時、また上から赤い炎が降ってきて、ツナ君を襲った。
防御に向かうのは間に合わなくてツナ君は工場内へ吹っ飛ばされた。
また守れなくて下唇を噛み締めたけど、あれぐらいならツナ君は上手く受け身を取るから、僕は京子ちゃん探しに専念しようとした。
すると上空から別の影が回り込んできて僕の前に立ちはだかった。

「行かせねーよ。」

敵3人の内、最も影が薄かった青年だった。
彼も赤い炎を纏った大鎌を持っていた。
早速それを振るってくる。
僕はスクーデでそれを止めた。
大鎌は跳ね返って彼は後ろに体勢を崩し、空中で一回転した。

「そのバリアは…!!おまえ、噂に聞くバリエラの一族だな!?」
「だったら?」
「ハッ!防御専門の奴にオレが倒せるかよ!」

確かにそうだ。
僕は身を守ることはできる。
スクーデを攻撃に応用することもできる。
でもやはり攻撃に関しては弱いし、バリエーションが少ない。

「ここでテメーを足止めしとけば他の連中は太猿様達が片付けるだろーさ。テメーはここにいてもらおうか!」

そう言って彼は僕から少し距離を取って、大鎌から赤い炎の塊を放つ。
もちろんそれは防御できて、いつも通り反射される。
でも彼はそれも計算の上で距離を取ったのか上手く避ける。
そして何度もその攻撃を撃ち込んできた。
本当に足止めする気だ。
無理に殺すつもりはないらしい。
確かに賢い選択だと思う。

僕は……僕は早く京子ちゃんを助けたい。
ツナ君もずっと1人にしておきたくない。
怪我をしているイーピンちゃんを、泣いて怯えているランボ君を、状況を掴めていないハルちゃんを、強がってるけど内心混乱している獄寺君を、強いけど傷をたくさん負っている山本君を、みんなを守りたい…!

そう思った時、ふっと体が軽くなって右手の中指に温かみを感じた。
そこには紫色の炎が灯っていた。
初めて見る色だけど、多分死ぬ気の炎だ。
僕は(ボックス)を取り出して、山本君がやってたみたいに炎の灯ったリングを穴に嵌めてみた。
(ボックス)が開いて中から何かが飛び出し、僕の前に陣取った。

「ワオーーーーン!」

それは足元に紫色の炎をまとい、立ち耳からも炎を放出する、大きな白いオオカミだった。
人よりも大きくて、まるでもの◯け姫の山犬のようだ。

「なっ!?雲狼(ルーポ・ヌーヴォラ)だと!?」

確かルーポはイタリア語でオオカミで、ヌーヴォラは雲だったはずだ。
どの辺に雲要素があるのかはわからないけど、このオオカミさんはいわゆる(ボックス)兵器で間違いないんだろう。
オオカミさんは飛び上がって敵の男に襲い掛かった。
男は大鎌を振って、オオカミさんはそれを避けたけど赤い炎が掠めて、着地した途端に苦しみだした。

「バカめ!嵐属性の特性は分解なのに突っ込みやがって!」
「分解…」

よくわからないけど、あの炎は直接触ると危険らしい。
ならばと僕は近くに落ちていた長い鉄パイプを拾ってオオカミさんに向かって叫ぶ。

「オオカミさん!こっちに戻って僕を乗せて!」

オオカミさんには酷かもしれないけれど、今は猫の手ならぬオオカミの手も借りたい状況なのだ。
オオカミさんは苦しみながらも立ち上がってすぐさまこちらへ駆けつけてくれた。
そして低い姿勢を取ってくれたので、早速飛び乗った。

「あの男に突っ込んで!君が怪我しないよう僕が守るから!」
「ワゥッ!」

返事をしてくれてまたオオカミさんは飛び上がる。
僕は鉄パイプに炎が延焼するよう頭の中で念じながら真っ直ぐ前の敵を睨みつけた。

「芸のないやつめ!」

しっかり太ももでオオカミさんを挟んだ状態で両手をフリーにして、その大鎌からの攻撃をスクーデを張った手で跳ね飛ばす。
男は空中で体勢を崩す。
すかさず、紫色の炎で燃えている鉄パイプで彼の鳩尾に一発叩き込み、地面に突き落とした。
オオカミさんも地面に降りる。
オオカミさんから降りて、敵の男が完全に気絶していることを確かめたら、オオカミさんは(ボックス)へと戻って行った。

「ありがとう、オオカミさん。そしてあなたはさようなら。」

僕は目の前の男を完全に始末すべく、鉄パイプを振り下ろした。
頭の形の歪み具合からして頭蓋骨が割れただろう。
未来の医療なら治せるかもしれないけれど、少なくともこの場でこの人が追撃をすることはできないはずだ。
できればさっさと死んで欲しい。
そう思いながらも胸に重くて苦いものを抱えた気分になる。
リボーン様が来てから刺客を始末してこなかったツケだろう。

ふと建物が破壊される音がして振り返ると、さっきのガタイのいい男の人が吹き飛ばされて近くに落ちるのが見えた。
僕は一旦そっちに向かい、その男が気絶しているのを確認して、そのすぐそばの建物に入った。
山本君達は外で戦闘をしていたし、この建物はツナ君が吹き飛ばされた建物だからツナ君が戦闘して勝ったのだと察しがついた。

「ツナ君!ツナ君!」

京子ちゃんの声がして、そちらへ向かった。
すると右肩から酷い出血をして意識を失っているツナ君となぜか10年前の僕のよく知る京子ちゃんがいた。
京子ちゃんは真っ青な顔で横たわっているツナ君のそばに膝をついていた。

「京子ちゃん!ツナ君!」
「優希ちゃん!どうしよう!?ツナ君が!!」
「落ち着いて、京子ちゃん。1回深呼吸して。」

京子ちゃんの隣に片膝を立てて座り、背中にポンと触れてそう言うと京子ちゃんはゆっくり深呼吸した。
ツナ君の上着を脱がせて、傷口の状態を見る。

「この服はもうどうせダメだから止血に使っちゃおう。」

酷いことに傷は正面から背面まで貫通していた。
多分位置的に骨は少しやられているかもしれないけど、肺は無事なはずだ。
傷口をツナ君の上着で抑える。

「京子ちゃん、傷口抑えるの変わってくれる?外は危ないからここで待ってて。僕は獄寺君と山本君を呼んでくる。」
「う…うん…」
「大丈夫、ツナ君はこれぐらいじゃ死にやしないよ。」

京子ちゃんはその言葉に頷くけれど、真っ青な表情は変わらない。
晴の守護者戦を思い出した。
喧嘩はしないと約束したのにと言い、笹川さんをすごく心配していた京子ちゃんを。
本当はそばにいて慰めてあげたいけど、ツナ君の怪我のことを考えればそんなこと言ってられない。
僕は早速工場を出て、山本君達がいた方へ走るとなぜか山本君、ランボ君、イーピンちゃん、ハルちゃん全員が10年前のみんなになっていた。
いつの間に入れ替わったんだろう?

「獄寺君!」
「守屋!帰る方法見つけたぜ!」
「えっ!?そうなの!?でも、ごめん!今それどころじゃなくて!ツナ君が負傷したんだ!」
「んだと!?」
「ツナが!?」
「はひっ!?」

獄寺君だけじゃなく、山本君も驚いていてハルちゃんも顔を青くした。

「傷が深くてできれば担架で運びたいけど危ないかな?」
「担架取りにアジトに戻ったら敵が他にも来るかもしれねぇ。それにこの時代の山本がいない状況で外に長居するのは危ねーし、すぐに運んだ方がいい。」
「そうだよね。よし、こっちだ。山本君はハルちゃん達とそこで待ってて!何かあったら自己判断でみんなを連れて逃げて!」
「あ、ああ…」

山本君は状況が読めていなさそうな表情で頷いた。
僕と獄寺君はツナ君のもとへ急いだ。

「10代目!!なんてお姿に!!」

僕は羽織っていたパーカーを脱いだ。

「京子ちゃん一旦手を離して。抑えてる服はそのままで。」
「う、うん…」

京子ちゃんが手を離すと傷口を抑えている上着ごとツナ君の肩を僕のパーカーで固定した。
そしてツナ君のポケットをまさぐって、マモンチェーンを見つけ、それを大空のボンゴレリングに巻きつけた。
僕も自分のリングにマモンチェーンを巻き直す。
獄寺君を僕に倣ってチェーンを嵐のボンゴレリングに巻きつけていた。

「獄寺君、ツナ君を背負って運びたいから手を貸して。」
「いや、オレが運ぶ。」
「ううん、僕に1番近い人が1番安全だから僕が運ぶ。力を借りたいのも、怪我をしているツナ君に変な力をかけたくないだけで、背負うこと自体に不安はないから。」
「………わかった。」

獄寺君の手を借りて、そっとツナ君を背負った。

「さ、京子ちゃん、一緒に行こう。大丈夫、僕がツナ君のことも京子ちゃんのことも守るから。」
「うん…」

京子ちゃんは真っ青ながらも立ち上がってついてきてくれた。
いつもは天然で可憐な子だけど、気丈な人だと思う。
この後山本君達とも合流してアジトに戻った。
リボーン様の手を借りて手当てをして、とりあえずツナ君の付き添いは獄寺君に任せた。
京子ちゃんやハルちゃんのメンタルもだいぶ心配だったから。

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