未来での戦い方

京子ちゃん達と合流するとリボーン様が京子ちゃんとハルちゃん、イーピンちゃん、ランボ君、山本君にこの時代が危険であることを説明していた。

「山本、おまえの親父も消された。」
「…!!」

酷い顔だった。
彼は余りネガティブなことを顔に出さないし、今も出していないけど、傷付いて怒っているのが凄く伝わってきた。
だって今まで1番冷たくて鋭い殺気を、あの明るい山本君がまとっているのだから。

「お、お兄ちゃんは…?」

真っ青な顔色の京子ちゃんにリボーン様は淡々と答えた。

「この時代の了平は行方不明なんだ。」
「そ、そんな……」
「京子ちゃん……大丈夫、笹川さんなら絶対無事だから。あんなに強くて妹思い人が誰かにやられる訳ないから。」
「うん…そうだよね…」
「この時代のランボとイーピンが迎えに行った時点で2人の両親を連れて来なかったということは、恐らく最初から別行動してたんだろう。おまえらの両親は無事逃げていると信じるしかねーな。」
「そんな……お母さん…お父さん…」

ハルちゃんは目に涙をいっぱい溜めた。
そして僕に抱きつく。

「うえぇぇん…怖いですぅ……お父さん…お母さん…」
「ハルちゃん……」

笹川さんと違って京子ちゃんとハルちゃんの両親のことは知らない。
あんまり無責任なことは言えない。
守護者である笹川さんと違って消されている可能性は凄く高い。
言葉を見つけられないまま僕はハルちゃんの背中をあやすようにポンポン叩いた。

「とりあえずここにいればしばらくは安全だ。どうやって過去に帰るのかはツナ達が調べるから、京子とハルはそれを支えてやってくれねーか?」
「うん……」
「はい……」

動揺しながらも2人は頷く。

「あれ?優希ちゃんは…?」
「優希は調査側だ。優希の家系は代々SPみたいなことをやっててな、優希もその訓練を受けているから自分の身を守る術を持っているんだ。」

なかなかにうまい説明にさすがリボーン様と思う。

「そういうこと。僕が守るよ、京子ちゃん、ハルちゃん。ううん、僕だけじゃない。ツナ君達もいるから。」

そう言って僕はイーピンちゃんとランボ君も抱き上げる。

「イーピンちゃん、ランボ君のこともね。安心して。」

状況をそれなりに理解して青白い顔をしているイーピンちゃんとみんなの様子から不安を感じてそうなランボ君にそう言えば、2人はすぐに笑顔になった。

「我也会保护你!」
「オレっちは〜守られなくても強いんだもんね!」

多分イーピンちゃんは自分も守る的なことを言ってくれてるのかな?
ランボ君は相変わらず調子がいいや。

「あの……ツナ君の様子が心配で……見に行ってもいい?」

京子ちゃんが切り出す。
確かにそろそろ目を覚ましてないかな?

「ハル、ツナさんに会いたいです…」

まだ涙の止まらないハルちゃんもそう言う。

「そうだな、いっちょ言ってみるか。」
「僕が案内するよ。」

5人を医務室まで案内すると、ハルちゃんが真っ先に飛び出してツナ君に泣きついた。
僕が案内している内にリボーン様はお茶を淹れていたみたいで、ハーブティーを持って現れた。
京子ちゃんとハルちゃんがハーブティーと任せたいことリストを受け取ると、ツナ君は酷い怪我なのに立ち上がった。

「リボーン!!!」
「お、もう、立てるようになったか。」
「オレ……」
「わかったぞ。ツナと獄寺と山本と優希と話をする。京子とハルとチビ共は席を外してくれ。」

そう言われて僕は廊下に出て、ずっと抱っこしていたランボ君とイーピンちゃんを降ろして、2人の頭をひと撫でした。

「京子ちゃん達といい子に待ってて。」

京子ちゃんとハルちゃんも医務室を出て行って、ランボ君達を連れて行ってくれた。
リボーン様は京子ちゃん達にはやばい状況にあることだけ話したとツナ君に伝えた。
ツナ君は焦りから守護者を集めている場合じゃないと主張する。
言いたいことはわかるけど、感情任せで理論立ってなくて、ちょっとリボーン様に八つ当たり気味で凄く気持ちに余裕がないのだとわかった。

「見つけたんスよ!過去に戻る方法を!」

獄寺君は自信たっぷりに、どこかツナ君を安心させるようにそう言った。
ヒントはG文字の手紙にあったのだと言って、それを読み上げた。

「守護者は集合……ボンゴレリングにて白蘭を退け、写真の眼鏡の男を消すべし。全ては元に戻る。」

どこか違和感を覚えた。
なんだろう?
獄寺君も最初は10年後の自分への指令書だと思って気に留めていなかったという。

「だが、今朝知った事実からすると、この時代にはないはずのものの名前が手紙に出てくるんです。」
「「ボンゴレリング!!」」

ツナ君と僕の声がハモった。
そもそも手紙には過去で眼鏡の男を消せとは書いていないし、退けるべき白蘭がいるのはこの時代だから、過去から来たボンゴレファミリーへ向けた手紙なのだというのがリボーン様と獄寺君の見解らしい。
そして眼鏡の男は入江正一というミルフィオーレの隊長らしい。
標的(ターゲット)としては申し分ない気がする。

結局、京子ちゃんとハルちゃんもすぐに立ち直って、今できることを頑張る   守護者探しを頑張ることにした。
そのためにもまずはこの時代の戦い方を覚える必要があって、ラルさんのもとへ僕らは行き、土下座して待ち伏せた。

「お……お願いです!!この時代の戦い方の指導をしてください!!」

ラルさんはすぐにこれがリボーン様の差し金だと気づいた。
最初は断られたけど、なんやかんや僕らが騒いでいる内にリボーン様が説得したのか、修行はつけてもらえることになり、僕らは早速トレーニングルームへ向かった。
最初の課題はラルさんが持っている迷彩柄の(ボックス)を開けることだ。
まずはリングに炎を灯さなきゃいけないわけだけど、正直どうやって灯したかわからないんだよな……。

「覚悟を炎にするイメージ!!覚悟を炎に〜〜〜〜〜炎に〜〜〜!!」

獄寺君がそんなことを言うから僕も深呼吸してイメージしてみた。
僕の覚悟は至ってシンプルだ。
みんなを守る、それだけ。
みんなを守る力を炎に……。
目を開いたら僕の右手で紫色の炎が揺らめいていた。

「出た!」
「すげー!優希は紫だ!」
「あっ、獄寺君と山本君も出てる。」

4人で喜んだ後、ツナ君だけが炎をまだ出せていなくて再度チャレンジする。
できないとラルさんに言ったら吹っ飛ばされた。
しばらくツナ君は苦戦していたけど、リボーン様との問答を経て、みんなを守りたいという覚悟を吐露してリングに橙色の炎を灯した。

早速、(ボックス)を開こうと獄寺君、山本君が炎を注入したけど開かなかった。
僕もやってみたけどダメだった。
不良品かと疑うと、ラルさん曰く(ボックス)が開かない場合は炎が弱いか、属性が合っていないかのどちらかであり、故障ではないとのことだった。
人間の体内を流れる波動とリングと(ボックス)、3つの属性が合わないと(ボックス)は開かないのだと言う。
そしてこの迷彩柄の(ボックス)はラルさんの霧のリングでも開かなかったとだと言う。
大空の属性でもなかったら結局開けられないのでは?と懸念したけど、大空は全ての属性の(ボックス)を開けられるらしい。
実際ツナ君は(ボックス)を開けた。
中から出てきたのは武器でも動物でもなく、水色のぼろぼろのおしゃぶりだった。
ラルさんはそれをひったくる様にツナ君の手から取って今日の修行の終わりを告げた。

京子ちゃん達が作ってくれた美味しいカレーを食べた後、山本君が自主練に誘ってくれた。
山本君は早速自分の(ボックス)から燕を出した。
トレーニングルームの上の方をビュンビュンと燕は飛ぶ。

「これ、どーやって使うんだろーな?」
「10年後の山本君は雨降らせたり、敵の炎を消したりしてたよ。」
「へー、そんなことできんのか。」
「みたい。僕もいまいち(ボックス)の使い方わからないんだよなぁ。」

そう言って僕は(ボックス)に炎を注入してオオカミさんを出した。

「おっ、かっけーな!」
「でしょー!オオカミさんって呼ぶと不便だし、ロボって名前にしよーかな。」
「ロボ?ロボットって意味か?」
「野球バカが。狼でロボっつったら、シートン動物記の狼王ロボだろうが。」
「そーなのか?あんま本は読まねーから知らなかったぜ。」
「僕もそんなに読まないよ。獄寺君って博識だよなー。」
「ま、まーな。」

嬉しそうなのを顔を顰めて無理やり隠す獄寺君かわいいなぁ。

「オレもなんか名前付けよーかな。」
「良いんじゃないかな?呼びやすさって大事だと思う。」
「確かにな!」
「ロボ、おいで」

呼びかけるとロボは僕に近付いておすわりをした。
僕はロボの頭と顎を撫でる。
目を細めて気持ち良さそうにしてくれているので、懐いてもらえてるらしい。

「お前らは動物なんだな、オレは武器だぜ。」

獄寺君はそう言って左腕に身につけた頭身が髑髏の銃?砲台?を見せてきた。

「うわぁ、かっこいいな。何ができるの?」
「ここじゃアジトが壊れるかもしれねーから撃てねーが、嵐の炎を真っ直ぐに銃みてーに飛ばす攻撃と拡散銃だな。拡散銃の方は敵の炎を消せるみてーだ。」
「へー、戦略立てやすそー。」
「そうだな、ボムも含めて組み立てればそれなりに戦略の幅が広がりそうだ。」
「ボム………」

ふと何かを忘れている気がした。
そう、割と日常的に感じている何か。
そもそも獄寺君ってこんな匂いだったっけ?
そう考えたら思わず体が動いちゃって、獄寺君の首元の匂いを嗅いでいた。

「な……なっ、テメー何を!?」

獄寺君が余りにも動揺しているので少し離れた。

「あ、ごめん。そう言えば獄寺君から煙草の匂いが全然しないなって思って。ちょっと一瞬本当に目の前にいるの獄寺君かな?って疑っちゃった。」
「どー見てもオレだろ!!煙草は残りが少ねーから戦闘用に取ってあんだよ!!」
「そうなんだ。でもちょうど良いかも。」
「は?何が?」
「今まで戦闘スタイル上吸うななんて言えなかったけど、武器自体が煙草不要になるなら、僕も遠慮なく禁煙してよーって言える。」
「はぁ!?なんでそんなことテメーに言われなきゃなんねーんだよ!?」
「だって、獄寺君にはもっと自分を大事にして欲しーから。ずっと黙ってたけど、獄寺君の健康を心配してるんだよ?」
「…っ!!」

獄寺君は耳まで赤くしてそっぽ向いた。
多分人に心配されるの慣れてないんだろうな。

「獄寺君?」

僕が1歩近付くと獄寺君は1歩下がった。

「……わ、わかった。戦闘で必要な時以外は吸わねーから、これ以上そんな顔で近付くな!」
「顔?」
「ハハッ、獄寺照れてるのな!」
「るせぇ!」

あ、ちょっといつもの獄寺君に戻った。
本当可愛い人だと思う。

「とりあえず自主練もー少し続けよーぜ。」

結局山本君の仕切り直しの言葉を皮切りに僕たちはもう少し(ボックス)の使い方をあーでもない、こーでもないと試行錯誤したのだった。

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