親友の助け
翌日、起床して着替えたら警報音が聞こえてすぐに作戦室に向かった僕は雲雀さんの鳥、ヒバードからSOSが発信されていることと、京子ちゃんがアジトを飛び出したことを知った。
どちらも緊急を要し、敵に見つからぬよう少数で動きたいということもあって、2組に分かれて行動することになった。
最優先事項の京子ちゃんの方に人数を割くことになり、ツナ君、ラルさんと僕で向かった。
ヒバード探索に向かった獄寺君と山本君は大丈夫か少し心配だった。
昨日の殺気立った山本君はらしくなかったし、獄寺君もずっとツナ君へ気を遣ってばかりで自分の感情の整理ができていない、そんな気がして。
とは考えつつ今は京子ちゃん探しに集中した。
僕らが並盛公園で待っている間にラルさんが一旦偵察に行って、京子ちゃんが捕まっていないという情報をゲットしてくれた。
でもその後に悪い情報もあった。
僕らの頭上を移動して行った男、ミルフィオーレの第3部隊の隊長γ が向かった先が並盛神社だと言うのだ。
早く京子ちゃんを見つけて獄寺君達と合流しなきゃという焦りが僕らを襲った。
でも京子ちゃん家の近くはどこもミルフィオーレが張っていて、どのルートも使えそうになかった。
そんな時。
「ん、だ…誰だ?」
ツナ君が背にしていた家の方を振り返った。
その家の窓から見えるのは間違いない、10年後の花ちゃんだった。
そしてその部屋の奥には京子ちゃんもいた。
「笹川の妹が敵に未だ見つからない理由がわかったな。」
「う…うん。」
とりあえず花ちゃん家に僕らはお邪魔した。
「ツナ君!優希ちゃん!」
「京子ちゃん!」
「京子ちゃん!!花ちゃん!!」
玄関で僕は2人に抱きついた。
「良かった、無事で…!!花ちゃんもありがとう…!!」
「ごめんなさい…私……」
京子ちゃんは僕から体を離しなから申し訳なさそうに言う。
「えっ、あ……、気にしないでっ。いいニュースがあるんだ!ヒバードが現れたんだよ!!」
「ヒバード…?」
「それって…」
ツナ君のなんの脈絡もない報告に京子ちゃんは首を傾げるけど、花ちゃんは何か心当たりのあるような反応を返す。
突っ込んで聞いてみようかと思った時、ラルさんがそれを打ち切った。
「急ぐぞ、沢田。」
「あ!ごめん、黒川…さん、もう少しの間、京子ちゃんを匿ってくれないかな?」
「そりゃいいけど…」
「ありがと!ヒバードのことで行かなくちゃいけないんだ!!」
「守屋、お前はここにいろ。2時間以内にオレ達が迎えに来なければ先に笹川の妹と帰れ。」
精神的な不安からこんなことした京子ちゃんの前だから言葉を選んでるんだろうけど、ラルさんのこの命令は2時間以内に迎えがなければ4人が敵に殺された、もしくは捕まったものと見做して、僕らだけでも逃げろという意味だ。
全滅だけは避けようというベターな選択だ。
そんなこと想像すると怖いけど、僕はそれを悟られないように真剣な表情を作って頷いた。
「わかりました。」
「じゃあ、後でっ」
ツナ君とラルさんはすぐに出て行った。
「忙しそうね………」
「ツナ君………」
「とりあえず上がらせてもらうね。」
僕は花ちゃんの部屋に入れてもらった。
そういえば花ちゃん家に来るのって初めてだ。
花ちゃんは僕らの事情を色々聞いてきたので話せる範囲で話した。
「10年前からこの時代にねぇ……本当に夢としか思えない話ね…………まあ、でもここにいる京子と優希、それにあんな沢田を見ちゃったら信じるしかないわね。」
「花……ありがとう!」
「花ちゃん…」
「でもどうして狙われてんのよ?」
「今のところはわからない……わかっているのはツナ君とより関わりの深い人が狙われてるってこと。花ちゃんは今のところ大丈夫そうだけど、この先身の危険を感じることがあったらすぐに並盛を離れて身を隠して。」
「わかったわ。これって警察には届けないの?」
「この時代を混乱させるのはまずいし、そもそも僕らの存在を正しく認知してもらえるかわからないから……。」
「ふーん…………本当沢田って何者なんだろうね……?」
さすが花ちゃん。
ツナ君のただならぬ身分を感じ取っているのか。
「そーだ、アニキのことづてね!笹川了平は仕事で海外出張中よ。」
「お兄ちゃん、外国にいるの?」
「そう、オカマに会いに。」
「オカマ?」
「あ…えーと、オカマもいる相手先だったかな…。急な上司からの命令だったらしくてね、あんた……っていうかこの時代の京子はゼミの合宿中だったの。そこで私がことづてを頼まれたってわけ。」
なんか、あの小指を立ててムエタイするヴァリアーの人を思い出した。
そもそも花ちゃんってヴァリアーとちょっとだけ接触してるんだよな……。
花ちゃんの話によると、笹川さんは京子ちゃんに何かあった時にはツナ君かもう1つの連絡先に連絡するよう花ちゃんに言い含めていたらしい。
笹川さんらしくもないリスクマネジメントだけど、もしこれが10年後のツナ君が取り決めてたものならちょっと納得かも。
きっと10年後のツナ君と京子ちゃんは付き合っていたんだろう。
だから京子ちゃんの守りは念入りにしていたのかも。
なんか胸が締め付けられるけど、きっと気のせいだ。
そしてもう1つの連絡先は雲雀さんだった。
正確には雲雀さんが元締めの団体の代表電話らしい。
多分電話に出てくれたのは風紀副委員長の草壁さんだったと。
なるほど、点と点が繋がった。
雲雀さんが助けを求めるなんてちょっとおかしいなとは思ったんだ。
京子ちゃんが危なかったから、ヒバードが飛ばされたんだ。
京子ちゃんがトイレを借りている内に花ちゃんは質問してきた。
「ねぇ、優希はもっと色々知ってんじゃないの?沢田の幼馴染でしょ?」
「うーん…多少知ってるけど……なぜこんな状況に陥ってるのかってところはわからないし、関連してそうな心当たりに関しては2人共知らない方がいい。これは2人を信用してないとかじゃないよ?知ってるだけで危険なことって結構あるんだ……。」
「ふーん、ならいいわ。アンタがしょーもない嘘ついたりする性格じゃないって知ってるし。」
「ありがとう、花ちゃん。」
2時間以内に迎えが来るか不安になっていた気持ちも、花ちゃんのおかげで気が紛れた。
3人で話している内にあっという間に時間が過ぎて、1時間45分ぐらい経った頃、ラルさんが迎えに来た。
「ラル・ミルチって人が迎えに来たみたい。」
「じょあ、私達…行くね。」
「ちょっと待って、京子、優希。これ持ってきな。親にさっき買ってきてもらったの…。」
花ちゃんは京子ちゃんと僕に紙袋を1つずつ渡した。
「あんた達、替えの下着持ってんの?」
「「えっ……」」
「やっぱり!にぶそーな男ばっかりだからね。ほら、それと例のガキんちょのオヤツも。京子の袋に京子とハルの分の下着、優希の袋に優希の下着とオヤツが入ってるから。」
「こんなことまで…」
「またいつでもおいで。100歳のおばあちゃんになってもアリンコにされても来るんだよ。あんた達の親友はちゃんとここにいるからね。」
「………花。わああん!」
京子は泣きながら花ちゃんに抱きつく。
僕も目頭が熱くなるのを感じながら花ちゃんに抱きついた。
「ありがとう、花ちゃん」
親友なんて言われたのは人生で初めてだ。
僕はマフィアだから一般人の子達とは当たり障りのない範囲で距離を取りながら仲良くしてきた。
ツナ君が片思いして距離を縮めようとしていてかつお兄さんが同じマフィアな京子ちゃんはともかく、花ちゃんは一般人だから近付き過ぎないようこの半年間気を付けてきたつもりだ。
でも花ちゃんはそんなの関係なく、この10年間僕の良き友達でいてくれたんだろう。
すごく嬉しくて、迫り上がってくる感動にこれまでの不安も混じって涙が溢 れた。
「さあ、行こう、京子ちゃん。ツナ君やハルちゃんが首を長くして待ってるよ。」
「そうだね。」
ひとしきり泣いた後、僕らは1階に降りた。
「すみません、お待たせしました。」
「遅い。守屋がいながらのんびりし過ぎだ。」
「すみません……」
状況が状況だけにラルさんの主張はとても正当性がある。
「ツナ君達は先にアジトに?」
「ああ、獄寺と山本が負傷したが命に別状はない。早く戻るぞ。」
「はい。」
僕らは靴を履いて振り返った。
「じゃあね、花。」
「花ちゃん、ばいばい。」
「うん」
花ちゃんも軽く手を振り返してくれて、僕らはもう振り向かずにアジトへと帰った。
ずっと走って移動したので途中京子ちゃんの息が上がってきて、京子ちゃんの分の荷物も僕が持った。
アジトに着くとハルちゃんが涙目で僕らに抱き着いてきて、一緒に迎えに来たであろうランボ君とイーピンちゃんが喧嘩を始めて、なんだか少しだけいつもの日常に戻った感じがしてホッとした。
どちらも緊急を要し、敵に見つからぬよう少数で動きたいということもあって、2組に分かれて行動することになった。
最優先事項の京子ちゃんの方に人数を割くことになり、ツナ君、ラルさんと僕で向かった。
ヒバード探索に向かった獄寺君と山本君は大丈夫か少し心配だった。
昨日の殺気立った山本君はらしくなかったし、獄寺君もずっとツナ君へ気を遣ってばかりで自分の感情の整理ができていない、そんな気がして。
とは考えつつ今は京子ちゃん探しに集中した。
僕らが並盛公園で待っている間にラルさんが一旦偵察に行って、京子ちゃんが捕まっていないという情報をゲットしてくれた。
でもその後に悪い情報もあった。
僕らの頭上を移動して行った男、ミルフィオーレの第3部隊の隊長
早く京子ちゃんを見つけて獄寺君達と合流しなきゃという焦りが僕らを襲った。
でも京子ちゃん家の近くはどこもミルフィオーレが張っていて、どのルートも使えそうになかった。
そんな時。
「ん、だ…誰だ?」
ツナ君が背にしていた家の方を振り返った。
その家の窓から見えるのは間違いない、10年後の花ちゃんだった。
そしてその部屋の奥には京子ちゃんもいた。
「笹川の妹が敵に未だ見つからない理由がわかったな。」
「う…うん。」
とりあえず花ちゃん家に僕らはお邪魔した。
「ツナ君!優希ちゃん!」
「京子ちゃん!」
「京子ちゃん!!花ちゃん!!」
玄関で僕は2人に抱きついた。
「良かった、無事で…!!花ちゃんもありがとう…!!」
「ごめんなさい…私……」
京子ちゃんは僕から体を離しなから申し訳なさそうに言う。
「えっ、あ……、気にしないでっ。いいニュースがあるんだ!ヒバードが現れたんだよ!!」
「ヒバード…?」
「それって…」
ツナ君のなんの脈絡もない報告に京子ちゃんは首を傾げるけど、花ちゃんは何か心当たりのあるような反応を返す。
突っ込んで聞いてみようかと思った時、ラルさんがそれを打ち切った。
「急ぐぞ、沢田。」
「あ!ごめん、黒川…さん、もう少しの間、京子ちゃんを匿ってくれないかな?」
「そりゃいいけど…」
「ありがと!ヒバードのことで行かなくちゃいけないんだ!!」
「守屋、お前はここにいろ。2時間以内にオレ達が迎えに来なければ先に笹川の妹と帰れ。」
精神的な不安からこんなことした京子ちゃんの前だから言葉を選んでるんだろうけど、ラルさんのこの命令は2時間以内に迎えがなければ4人が敵に殺された、もしくは捕まったものと見做して、僕らだけでも逃げろという意味だ。
全滅だけは避けようというベターな選択だ。
そんなこと想像すると怖いけど、僕はそれを悟られないように真剣な表情を作って頷いた。
「わかりました。」
「じゃあ、後でっ」
ツナ君とラルさんはすぐに出て行った。
「忙しそうね………」
「ツナ君………」
「とりあえず上がらせてもらうね。」
僕は花ちゃんの部屋に入れてもらった。
そういえば花ちゃん家に来るのって初めてだ。
花ちゃんは僕らの事情を色々聞いてきたので話せる範囲で話した。
「10年前からこの時代にねぇ……本当に夢としか思えない話ね…………まあ、でもここにいる京子と優希、それにあんな沢田を見ちゃったら信じるしかないわね。」
「花……ありがとう!」
「花ちゃん…」
「でもどうして狙われてんのよ?」
「今のところはわからない……わかっているのはツナ君とより関わりの深い人が狙われてるってこと。花ちゃんは今のところ大丈夫そうだけど、この先身の危険を感じることがあったらすぐに並盛を離れて身を隠して。」
「わかったわ。これって警察には届けないの?」
「この時代を混乱させるのはまずいし、そもそも僕らの存在を正しく認知してもらえるかわからないから……。」
「ふーん…………本当沢田って何者なんだろうね……?」
さすが花ちゃん。
ツナ君のただならぬ身分を感じ取っているのか。
「そーだ、アニキのことづてね!笹川了平は仕事で海外出張中よ。」
「お兄ちゃん、外国にいるの?」
「そう、オカマに会いに。」
「オカマ?」
「あ…えーと、オカマもいる相手先だったかな…。急な上司からの命令だったらしくてね、あんた……っていうかこの時代の京子はゼミの合宿中だったの。そこで私がことづてを頼まれたってわけ。」
なんか、あの小指を立ててムエタイするヴァリアーの人を思い出した。
そもそも花ちゃんってヴァリアーとちょっとだけ接触してるんだよな……。
花ちゃんの話によると、笹川さんは京子ちゃんに何かあった時にはツナ君かもう1つの連絡先に連絡するよう花ちゃんに言い含めていたらしい。
笹川さんらしくもないリスクマネジメントだけど、もしこれが10年後のツナ君が取り決めてたものならちょっと納得かも。
きっと10年後のツナ君と京子ちゃんは付き合っていたんだろう。
だから京子ちゃんの守りは念入りにしていたのかも。
なんか胸が締め付けられるけど、きっと気のせいだ。
そしてもう1つの連絡先は雲雀さんだった。
正確には雲雀さんが元締めの団体の代表電話らしい。
多分電話に出てくれたのは風紀副委員長の草壁さんだったと。
なるほど、点と点が繋がった。
雲雀さんが助けを求めるなんてちょっとおかしいなとは思ったんだ。
京子ちゃんが危なかったから、ヒバードが飛ばされたんだ。
京子ちゃんがトイレを借りている内に花ちゃんは質問してきた。
「ねぇ、優希はもっと色々知ってんじゃないの?沢田の幼馴染でしょ?」
「うーん…多少知ってるけど……なぜこんな状況に陥ってるのかってところはわからないし、関連してそうな心当たりに関しては2人共知らない方がいい。これは2人を信用してないとかじゃないよ?知ってるだけで危険なことって結構あるんだ……。」
「ふーん、ならいいわ。アンタがしょーもない嘘ついたりする性格じゃないって知ってるし。」
「ありがとう、花ちゃん。」
2時間以内に迎えが来るか不安になっていた気持ちも、花ちゃんのおかげで気が紛れた。
3人で話している内にあっという間に時間が過ぎて、1時間45分ぐらい経った頃、ラルさんが迎えに来た。
「ラル・ミルチって人が迎えに来たみたい。」
「じょあ、私達…行くね。」
「ちょっと待って、京子、優希。これ持ってきな。親にさっき買ってきてもらったの…。」
花ちゃんは京子ちゃんと僕に紙袋を1つずつ渡した。
「あんた達、替えの下着持ってんの?」
「「えっ……」」
「やっぱり!にぶそーな男ばっかりだからね。ほら、それと例のガキんちょのオヤツも。京子の袋に京子とハルの分の下着、優希の袋に優希の下着とオヤツが入ってるから。」
「こんなことまで…」
「またいつでもおいで。100歳のおばあちゃんになってもアリンコにされても来るんだよ。あんた達の親友はちゃんとここにいるからね。」
「………花。わああん!」
京子は泣きながら花ちゃんに抱きつく。
僕も目頭が熱くなるのを感じながら花ちゃんに抱きついた。
「ありがとう、花ちゃん」
親友なんて言われたのは人生で初めてだ。
僕はマフィアだから一般人の子達とは当たり障りのない範囲で距離を取りながら仲良くしてきた。
ツナ君が片思いして距離を縮めようとしていてかつお兄さんが同じマフィアな京子ちゃんはともかく、花ちゃんは一般人だから近付き過ぎないようこの半年間気を付けてきたつもりだ。
でも花ちゃんはそんなの関係なく、この10年間僕の良き友達でいてくれたんだろう。
すごく嬉しくて、迫り上がってくる感動にこれまでの不安も混じって涙が
「さあ、行こう、京子ちゃん。ツナ君やハルちゃんが首を長くして待ってるよ。」
「そうだね。」
ひとしきり泣いた後、僕らは1階に降りた。
「すみません、お待たせしました。」
「遅い。守屋がいながらのんびりし過ぎだ。」
「すみません……」
状況が状況だけにラルさんの主張はとても正当性がある。
「ツナ君達は先にアジトに?」
「ああ、獄寺と山本が負傷したが命に別状はない。早く戻るぞ。」
「はい。」
僕らは靴を履いて振り返った。
「じゃあね、花。」
「花ちゃん、ばいばい。」
「うん」
花ちゃんも軽く手を振り返してくれて、僕らはもう振り向かずにアジトへと帰った。
ずっと走って移動したので途中京子ちゃんの息が上がってきて、京子ちゃんの分の荷物も僕が持った。
アジトに着くとハルちゃんが涙目で僕らに抱き着いてきて、一緒に迎えに来たであろうランボ君とイーピンちゃんが喧嘩を始めて、なんだか少しだけいつもの日常に戻った感じがしてホッとした。
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