似たもの姉弟
いよいよ明日が殴り込み決行日でみんなでパーっとディナーを楽しんだ後、いつも通りお風呂に入った。
京子ちゃんとハルちゃんとイーピンちゃんは片付けをしていて、お風呂には僕とビアンキさんだけがいた。
先にビアンキさんが湯船に浸かっていて、僕が後から湯船に浸かるとビアンキさんは口を開いた。
「いよいよ明日ね。」
「はい、ちょっと緊張します。」
「あら、優希でも緊張するの?」
「もちろんですよ〜。ビアンキさんは緊張することってありますか?」
「最近は少ないけれど殺し屋になりたての時とかは結構あったわよ。」
「やっぱりこういうのは慣れですかね…。」
「そうね、慣れると緊張しなくなるものだわ。」
「じゃあ明日はきっちり殴り込み成功させてこういう戦いに慣れなきゃですね。」
「ええ……」
ビアンキさんは少しだけ浮かない顔をする。
やっぱり仲間を、弟を死地に送り出すのは嫌なのかな。
「優希、ハヤトのこと宜しくね。あの子、すぐ無茶するから。」
「はい、任せてください。僕がストッパーになるし、守りますよ。」
「ありがとう。ハヤトもきっとあなたのことを守ると思うわ。」
「そうですね。獄寺君、ああ見えて仲間に優しいから。」
「それだけじゃないはずよ。少しだけ……優希が羨ましいわ。」
ビアンキさんはどこか寂しそうな顔をしている。
ずっと僕の中でモヤモヤしていた言葉が頭を過る。
明日死ぬ可能性だってあることを考えると、言いたいことは今言うべきなのかもしれない。
「……ビアンキさん、修行始める時に獄寺君に言いましたよね?『私のことは憎んでいてくれて結構』って。」
心臓がドキドキする。
ビアンキさんのパーソナルスペースに切り込んだことなんてないし、そもそもそういう経験が僕には乏しい。
ビアンキさんが嫌な顔をしたらどうしよう?
「…ええ、言ったわね。」
ビアンキさんは嫌そうな顔はしてなくて、至極冷静で次の言葉を待っている表情だった。
僕の言葉を受け止めてくれると確信して、僕はずっと言いたかったことを言った。
「あんなこと、もう言わないでください。本心じゃないんでしょう?」
「優希、あれは……」
「きっとビアンキさんは色々考えて覚悟して獄寺君のためにああ言ったんだと思うんですけど、ビアンキさんが傷付くのは僕が嫌です。2人の事情に首を突っ込むつもりはないです。でも自分で自分を傷付けるようなこと言わないでください。」
「優希……ありがとう、優しいのね。」
ビアンキさんは優しく僕を抱き締めてくれる。
なんだかそれが余計に切なかった。
「優しいのは……ビアンキさんと獄寺君です。」
お風呂から上がった後、タオルで髪の毛を乾かしながら廊下を歩いていたら獄寺君とすれ違った。
「おやすみ、獄寺君。」
「ああ…」
そのまま通り過ぎたら、後ろから声をかけられた。
「…守屋、10代目のこともおまえのこともオレが守る。」
「獄寺君……」
「ぜってー死なせねーから。」
なんか思わず笑みが溢れてしまった。
「ありがとう。でもそれ僕の台詞だから。」
「はぁ?」
「だって獄寺君の方がいっぱい無茶するじゃん。でもいいよ、たくさん無茶して。僕が守るから。嵐の守護者がその使命を果たせるように。」
「…っ!なんでおまえはそういう台詞をサラリと…!」
そりゃあ、もちろん照れる君が可愛いからだよ。
という言葉は喉の奥に呑み込んでおく。
からかわれてることに気付いたら絶対怒るから。
それにもちろん、それだけじゃない。
獄寺君を大事な友人だと思っているって伝えるのが、少し照れくさいから。
「獄寺君が攻撃に専念できるよう、僕が防御したら最強だと思うんだけどな〜。」
「!!………それ、この時代のおまえも言ってた台詞らしーぜ。」
「へー、そうなんだ。10年経っても僕の発想は変わらないんだね。10年後の獄寺君は過保護っぷりが加速してるのに。」
「比較対象がおかしいだろ。つか、まるでオレが過保護みてーな言い方…」
「過保護でしょー。獄寺君って気を許したファミリーにはとことん優しいよな。」
「なっ…そんなことは…!」
少し落ち着いていた赤みがまた獄寺君の顔に戻ってくる。
からかうのはこれくらいにしておこう。
「ま、明日は頑張ろ。みんなで過去に帰るために。」
「ああ…」
まだ赤みが残っている頬をかきながら、獄寺君は頷いた。
「つか、お前、髪の毛乾いてねーじゃねぇか。」
獄寺君は僕の髪の毛に触れた。
骨ばって長い指が僕の髪の毛をクルクルと弄る様はどこか艶かしい。
獄寺君のどこか呆れたような柔らかい笑みも相まって、色気がいつもの10倍増しだ。
「ドライヤーで乾かすのめんどくさくて。」
「明日作戦なのに風邪引いたら元も子もねぇだろうが。体調管理はしっかりしやがれ。」
「返す言葉もない……」
言い返す言葉はないけれど、疑問はある。
「獄寺君……いつまで僕の髪の毛触るの?」
「なっ……わりぃ!」
獄寺君は顔を真っ赤にして慌てて手を引っ込めた。
「別に悪くはないんだけど………気を付けた方が良いよ。きっと今の誤解されるから。」
今の仕草は山本君ファンクラブに入っている子達さえ、獄寺君に恋しそうなそんな色気があった。
「誤解?」
首を傾げる獄寺君にどう伝えるか迷った。
変なところで彼は純粋だと思う。
彼の行動に妙な色気があったことを伝えにくい程度には。
「いや……なんでもない。おやすみ、獄寺君。」
「ああ、おやすみ。」
僕は髪の毛を乾かすべく踵を返した。
獄寺君の言っていたことは一理あったから。
明日の殴り込みに体調不良なんて絶対そんなの許されないから。
京子ちゃんとハルちゃんとイーピンちゃんは片付けをしていて、お風呂には僕とビアンキさんだけがいた。
先にビアンキさんが湯船に浸かっていて、僕が後から湯船に浸かるとビアンキさんは口を開いた。
「いよいよ明日ね。」
「はい、ちょっと緊張します。」
「あら、優希でも緊張するの?」
「もちろんですよ〜。ビアンキさんは緊張することってありますか?」
「最近は少ないけれど殺し屋になりたての時とかは結構あったわよ。」
「やっぱりこういうのは慣れですかね…。」
「そうね、慣れると緊張しなくなるものだわ。」
「じゃあ明日はきっちり殴り込み成功させてこういう戦いに慣れなきゃですね。」
「ええ……」
ビアンキさんは少しだけ浮かない顔をする。
やっぱり仲間を、弟を死地に送り出すのは嫌なのかな。
「優希、ハヤトのこと宜しくね。あの子、すぐ無茶するから。」
「はい、任せてください。僕がストッパーになるし、守りますよ。」
「ありがとう。ハヤトもきっとあなたのことを守ると思うわ。」
「そうですね。獄寺君、ああ見えて仲間に優しいから。」
「それだけじゃないはずよ。少しだけ……優希が羨ましいわ。」
ビアンキさんはどこか寂しそうな顔をしている。
ずっと僕の中でモヤモヤしていた言葉が頭を過る。
明日死ぬ可能性だってあることを考えると、言いたいことは今言うべきなのかもしれない。
「……ビアンキさん、修行始める時に獄寺君に言いましたよね?『私のことは憎んでいてくれて結構』って。」
心臓がドキドキする。
ビアンキさんのパーソナルスペースに切り込んだことなんてないし、そもそもそういう経験が僕には乏しい。
ビアンキさんが嫌な顔をしたらどうしよう?
「…ええ、言ったわね。」
ビアンキさんは嫌そうな顔はしてなくて、至極冷静で次の言葉を待っている表情だった。
僕の言葉を受け止めてくれると確信して、僕はずっと言いたかったことを言った。
「あんなこと、もう言わないでください。本心じゃないんでしょう?」
「優希、あれは……」
「きっとビアンキさんは色々考えて覚悟して獄寺君のためにああ言ったんだと思うんですけど、ビアンキさんが傷付くのは僕が嫌です。2人の事情に首を突っ込むつもりはないです。でも自分で自分を傷付けるようなこと言わないでください。」
「優希……ありがとう、優しいのね。」
ビアンキさんは優しく僕を抱き締めてくれる。
なんだかそれが余計に切なかった。
「優しいのは……ビアンキさんと獄寺君です。」
× × × × × × × × × × ×
お風呂から上がった後、タオルで髪の毛を乾かしながら廊下を歩いていたら獄寺君とすれ違った。
「おやすみ、獄寺君。」
「ああ…」
そのまま通り過ぎたら、後ろから声をかけられた。
「…守屋、10代目のこともおまえのこともオレが守る。」
「獄寺君……」
「ぜってー死なせねーから。」
なんか思わず笑みが溢れてしまった。
「ありがとう。でもそれ僕の台詞だから。」
「はぁ?」
「だって獄寺君の方がいっぱい無茶するじゃん。でもいいよ、たくさん無茶して。僕が守るから。嵐の守護者がその使命を果たせるように。」
「…っ!なんでおまえはそういう台詞をサラリと…!」
そりゃあ、もちろん照れる君が可愛いからだよ。
という言葉は喉の奥に呑み込んでおく。
からかわれてることに気付いたら絶対怒るから。
それにもちろん、それだけじゃない。
獄寺君を大事な友人だと思っているって伝えるのが、少し照れくさいから。
「獄寺君が攻撃に専念できるよう、僕が防御したら最強だと思うんだけどな〜。」
「!!………それ、この時代のおまえも言ってた台詞らしーぜ。」
「へー、そうなんだ。10年経っても僕の発想は変わらないんだね。10年後の獄寺君は過保護っぷりが加速してるのに。」
「比較対象がおかしいだろ。つか、まるでオレが過保護みてーな言い方…」
「過保護でしょー。獄寺君って気を許したファミリーにはとことん優しいよな。」
「なっ…そんなことは…!」
少し落ち着いていた赤みがまた獄寺君の顔に戻ってくる。
からかうのはこれくらいにしておこう。
「ま、明日は頑張ろ。みんなで過去に帰るために。」
「ああ…」
まだ赤みが残っている頬をかきながら、獄寺君は頷いた。
「つか、お前、髪の毛乾いてねーじゃねぇか。」
獄寺君は僕の髪の毛に触れた。
骨ばって長い指が僕の髪の毛をクルクルと弄る様はどこか艶かしい。
獄寺君のどこか呆れたような柔らかい笑みも相まって、色気がいつもの10倍増しだ。
「ドライヤーで乾かすのめんどくさくて。」
「明日作戦なのに風邪引いたら元も子もねぇだろうが。体調管理はしっかりしやがれ。」
「返す言葉もない……」
言い返す言葉はないけれど、疑問はある。
「獄寺君……いつまで僕の髪の毛触るの?」
「なっ……わりぃ!」
獄寺君は顔を真っ赤にして慌てて手を引っ込めた。
「別に悪くはないんだけど………気を付けた方が良いよ。きっと今の誤解されるから。」
今の仕草は山本君ファンクラブに入っている子達さえ、獄寺君に恋しそうなそんな色気があった。
「誤解?」
首を傾げる獄寺君にどう伝えるか迷った。
変なところで彼は純粋だと思う。
彼の行動に妙な色気があったことを伝えにくい程度には。
「いや……なんでもない。おやすみ、獄寺君。」
「ああ、おやすみ。」
僕は髪の毛を乾かすべく踵を返した。
獄寺君の言っていたことは一理あったから。
明日の殴り込みに体調不良なんて絶対そんなの許されないから。
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