分断
倉庫予定地がミルフィオーレに襲撃されて、雲雀さんが迎撃に向かい、僕らは予定より早くアジトを出てミルフィオーレの日本支部の基地に向かった。
最初に遭遇したデンドロ・キラムはツナ君があっさり倒し、途中までは順調だった。
警備システムを目前に魔術師の人形 ジンジャー・ブレッドに見つかった辺りから雲行きが怪しくなった。
コロネロさんの仇であるジンジャー・ブレッドをアルコバレーノのおしゃぶりの力を使ってラルさんは倒したものの、倒したのは人形の方で本体ではなかった。
その上警報を鳴らされてしまい、僕らの侵入に入江正一も気付いただろう。
とりあえず警備システムを破壊して主要システムの破壊に移ろうとした時、ラルさんが自分を置いて先に行くように言い出した。
「ジンジャーとの戦いで少しはしゃぎ過ぎた…」
「! 体…つらいんだね。」
「いいから行け。足手まといになるのはゴメンだ…。」
「「「「「ダメだ!!!」」」」」
ラルさん以外のみんなの意見が一致した。
「ふざけてんじゃねーぞっ、これくらいのことは想定内なんだよ。」
「オレ達は作戦を成功させて、誰1人欠けることなく帰るんだ!!」
「…………………」
ラルさんが言葉を返せずにいると、近くの天井から板が降りてきた。
「メインルートのゲートの封鎖が始まったようだな。シミュレーションしていた敵の行動パターンの1つだが…この場合は皆が次のポイントまで移動するまでの囮をラル・ミルチがやる予定だった…」
「そーいや…」
「あ…あの…オレがその役をやります。」
名乗り出たのはツナ君だった。
「ツナ!!」
「10代目!!」
「ツナ君!?」
「た…たしか囮役は機動力がいるんですよね……………だったらオレが1番だと思うし…」
「待って、ツナ君、危険だよ。僕が行く。ツナ君ほどの機動力はなくても、もともとやる予定だったラルさんに劣らないほどの機動力を僕も持ってるし、戦闘スタイル上多対一になっても死ぬ確率は僕が1番低い。」
「そうですよ、10代目!危険過ぎます!!」
「優希はラルを守ってくれないかな?ここから先、負傷者から狙われるだろうし、優希はそういう守りが得意じゃないか。」
「でも…」
「大丈夫、後で落ち合おう、優希、獄寺君。ラルを頼むよ。」
こんな風に頼まれたら僕も獄寺君も断れないってわかっててやってるんだろうか。
それならツナ君は結構な策士だ。
獄寺君は前髪をかいた後、ツナ君の両肩を掴む。
「くっ10代目!!何かあったら無線で呼んでください!!"右腕"がすぐにはせ参じます!!」
「ありがと…………」
獄寺君の力が入り過ぎてツナ君は痛そうだ。
笹川さんの指示を受けて、まるでおつかいにでも行くかのようにあっさり行ってしまった。
「オレ達も行くぞ。」
最年長の笹川さんの言葉に頷く。
「ラルさんは僕が背負います。」
「守屋が?ラルはおまえより背があるぞ。オレが…」
笹川さんが反対の意を示す。
僕は僕が適任だと思う理由を伝えた。
「鍛えてるからそれぐらい問題にはならないし、ラルさんを背負ったままでも防御できるのが僕の強みですから。」
「それもそうだな。頼む。」
笹川さんも納得してくれて、僕はラルさんを背負った。
「すまない、守屋…」
そう言うラルさんの声はいつもの覇気がない。
「何言ってるんですか、仲間なら当たり前のことじゃないですか。今は休んで回復に努めてください。」
「そうさせてもらう…」
しばらくしてラルさんの体の力が抜けるのがわかった。
静かな寝息が聞こえて寝ているのがわかる。
警戒心の強いラルさんが実際に休むということは、それほどまでに体調が悪いんだろう。
改めてラルさんのことを絶対守ると強く心に決めた。
白くて丸い装置に向けて僕らは移動を続けてその途中、バイシャナという敵と遭遇し、その敵は笹川さんが難なく倒した。
装置まであと少しというところで、急に地震が起きた。
先行していた笹川さん、獄寺君とその後ろをついて行っていた山本君、僕、ラルさんの間で地面が割れる。
「なんと、床が」
「くっ」
「いかん!」
「つかまれ!山本!守屋!」
上に移動していく獄寺君が手を伸ばしてくる。
でももう僕は間に合わない。
「僕は無理!山本君だけでも!」
「獄寺!!」
山本君は手を伸ばすことはなかった。
「手遅れだ!腕を持っていかれるぞ。」
「おい!!」
どうやら山本君は笹川さんと同じ判断らしい。
僕らの立っている床はどんどん沈み込んで行って、やがて獄寺君達の姿は見えなくなった。
「分断…されちゃったな…」
「だな。」
「とりあえず僕らも白くて丸い装置を目指そうか。マップが役に立つかは怪しいけど。」
「そうだな。」
僕と山本君はとりあえず歩き続けた。
敵には全然遭遇しなかったけど、マップは役に立たないし進む度に退路を立たれている。
「山本君、この状況結構まずいかもしれない。」
「そうか?」
山本君はこういう時も冷静だ。
というかちょっと能天気だ。
正直その精神性がたまに怖い。
「多分敵に僕らの位置を正確に把握されて、行き先を誘導されてる。さっきの地震も故意のものと考えた方が良いと思う。」
「じゃあこの先に敵がいるってことだな。」
「多分そう。敵が視認できるまでは僕の守備範囲から離れないで。」
「わかった。」
そんな風に話しているそばから後ろの通路が閉ざされて、前方の網目の扉がスライドしたかと思うと、鋭い殺気が押し寄せてきた。
山本君は時雨金時を構えた。
正面にいたのは前下がりのおかっぱ頭に麻呂眉、4本の剣を左右の腰に差している男性だった。
その殺気から今までと比べ物にならない強敵だということがわかる。
「待っていたぞ。」
「あんた、霧のマーレリングの幻術を使う剣士・幻騎士だろ?」
山本君はなぜか彼を知っていたらしい。
作戦前に叩き込んでおいた情報では入江正一とγ 以外の六弔花がいるというものはなかったはずだ。
ミルフィオーレは日本支部の防御に力を入れていたってことだろうか?
「守屋、相手は剣士だ。オレにやらせてくれ。」
「待って、1人で敵う相手じゃない。2人で行こう。」
「いいや、やらせてくれ。他に敵がいないとも限らねーだろ?」
「………今のところ他の敵の気配はないけど。」
「きっちり気配隠してるとか、応援が来る可能性はあるだろ?」
多分色々それっぽい理由を並べているけど、山本君は剣士として1対1 の勝負をしたいんだ。
こういう時の山本君の説得方法を僕は知らない。
敵は待ってくれているけど、隙はない。
いつ戦闘になるかもわからない状態で仲間割れは悪手過ぎる。
「わかった。絶対勝ってね。」
「おーよ!」
この判断は大いに間違いだったと数分後、僕は知ることになる。
最初に遭遇したデンドロ・キラムはツナ君があっさり倒し、途中までは順調だった。
警備システムを目前に
コロネロさんの仇であるジンジャー・ブレッドをアルコバレーノのおしゃぶりの力を使ってラルさんは倒したものの、倒したのは人形の方で本体ではなかった。
その上警報を鳴らされてしまい、僕らの侵入に入江正一も気付いただろう。
とりあえず警備システムを破壊して主要システムの破壊に移ろうとした時、ラルさんが自分を置いて先に行くように言い出した。
「ジンジャーとの戦いで少しはしゃぎ過ぎた…」
「! 体…つらいんだね。」
「いいから行け。足手まといになるのはゴメンだ…。」
「「「「「ダメだ!!!」」」」」
ラルさん以外のみんなの意見が一致した。
「ふざけてんじゃねーぞっ、これくらいのことは想定内なんだよ。」
「オレ達は作戦を成功させて、誰1人欠けることなく帰るんだ!!」
「…………………」
ラルさんが言葉を返せずにいると、近くの天井から板が降りてきた。
「メインルートのゲートの封鎖が始まったようだな。シミュレーションしていた敵の行動パターンの1つだが…この場合は皆が次のポイントまで移動するまでの囮をラル・ミルチがやる予定だった…」
「そーいや…」
「あ…あの…オレがその役をやります。」
名乗り出たのはツナ君だった。
「ツナ!!」
「10代目!!」
「ツナ君!?」
「た…たしか囮役は機動力がいるんですよね……………だったらオレが1番だと思うし…」
「待って、ツナ君、危険だよ。僕が行く。ツナ君ほどの機動力はなくても、もともとやる予定だったラルさんに劣らないほどの機動力を僕も持ってるし、戦闘スタイル上多対一になっても死ぬ確率は僕が1番低い。」
「そうですよ、10代目!危険過ぎます!!」
「優希はラルを守ってくれないかな?ここから先、負傷者から狙われるだろうし、優希はそういう守りが得意じゃないか。」
「でも…」
「大丈夫、後で落ち合おう、優希、獄寺君。ラルを頼むよ。」
こんな風に頼まれたら僕も獄寺君も断れないってわかっててやってるんだろうか。
それならツナ君は結構な策士だ。
獄寺君は前髪をかいた後、ツナ君の両肩を掴む。
「くっ10代目!!何かあったら無線で呼んでください!!"右腕"がすぐにはせ参じます!!」
「ありがと…………」
獄寺君の力が入り過ぎてツナ君は痛そうだ。
笹川さんの指示を受けて、まるでおつかいにでも行くかのようにあっさり行ってしまった。
「オレ達も行くぞ。」
最年長の笹川さんの言葉に頷く。
「ラルさんは僕が背負います。」
「守屋が?ラルはおまえより背があるぞ。オレが…」
笹川さんが反対の意を示す。
僕は僕が適任だと思う理由を伝えた。
「鍛えてるからそれぐらい問題にはならないし、ラルさんを背負ったままでも防御できるのが僕の強みですから。」
「それもそうだな。頼む。」
笹川さんも納得してくれて、僕はラルさんを背負った。
「すまない、守屋…」
そう言うラルさんの声はいつもの覇気がない。
「何言ってるんですか、仲間なら当たり前のことじゃないですか。今は休んで回復に努めてください。」
「そうさせてもらう…」
しばらくしてラルさんの体の力が抜けるのがわかった。
静かな寝息が聞こえて寝ているのがわかる。
警戒心の強いラルさんが実際に休むということは、それほどまでに体調が悪いんだろう。
改めてラルさんのことを絶対守ると強く心に決めた。
× × × × × × × × × × ×
白くて丸い装置に向けて僕らは移動を続けてその途中、バイシャナという敵と遭遇し、その敵は笹川さんが難なく倒した。
装置まであと少しというところで、急に地震が起きた。
先行していた笹川さん、獄寺君とその後ろをついて行っていた山本君、僕、ラルさんの間で地面が割れる。
「なんと、床が」
「くっ」
「いかん!」
「つかまれ!山本!守屋!」
上に移動していく獄寺君が手を伸ばしてくる。
でももう僕は間に合わない。
「僕は無理!山本君だけでも!」
「獄寺!!」
山本君は手を伸ばすことはなかった。
「手遅れだ!腕を持っていかれるぞ。」
「おい!!」
どうやら山本君は笹川さんと同じ判断らしい。
僕らの立っている床はどんどん沈み込んで行って、やがて獄寺君達の姿は見えなくなった。
「分断…されちゃったな…」
「だな。」
「とりあえず僕らも白くて丸い装置を目指そうか。マップが役に立つかは怪しいけど。」
「そうだな。」
僕と山本君はとりあえず歩き続けた。
敵には全然遭遇しなかったけど、マップは役に立たないし進む度に退路を立たれている。
「山本君、この状況結構まずいかもしれない。」
「そうか?」
山本君はこういう時も冷静だ。
というかちょっと能天気だ。
正直その精神性がたまに怖い。
「多分敵に僕らの位置を正確に把握されて、行き先を誘導されてる。さっきの地震も故意のものと考えた方が良いと思う。」
「じゃあこの先に敵がいるってことだな。」
「多分そう。敵が視認できるまでは僕の守備範囲から離れないで。」
「わかった。」
そんな風に話しているそばから後ろの通路が閉ざされて、前方の網目の扉がスライドしたかと思うと、鋭い殺気が押し寄せてきた。
山本君は時雨金時を構えた。
正面にいたのは前下がりのおかっぱ頭に麻呂眉、4本の剣を左右の腰に差している男性だった。
その殺気から今までと比べ物にならない強敵だということがわかる。
「待っていたぞ。」
「あんた、霧のマーレリングの幻術を使う剣士・幻騎士だろ?」
山本君はなぜか彼を知っていたらしい。
作戦前に叩き込んでおいた情報では入江正一と
ミルフィオーレは日本支部の防御に力を入れていたってことだろうか?
「守屋、相手は剣士だ。オレにやらせてくれ。」
「待って、1人で敵う相手じゃない。2人で行こう。」
「いいや、やらせてくれ。他に敵がいないとも限らねーだろ?」
「………今のところ他の敵の気配はないけど。」
「きっちり気配隠してるとか、応援が来る可能性はあるだろ?」
多分色々それっぽい理由を並べているけど、山本君は剣士として
こういう時の山本君の説得方法を僕は知らない。
敵は待ってくれているけど、隙はない。
いつ戦闘になるかもわからない状態で仲間割れは悪手過ぎる。
「わかった。絶対勝ってね。」
「おーよ!」
この判断は大いに間違いだったと数分後、僕は知ることになる。
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