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雲雀さんは幻騎士と互角だった。
でも雲雀さんが裏球針体とやらを発動して球針体に籠った後、出てきたのは幻騎士と僕らの時代の雲雀さんだった。
まさかの展開に僕は下唇を噛んだ。
雲雀さんは強いけど、この時代の雲雀さんでも互角な相手に勝てるとは思えない。
でも戦闘の邪魔(手助け)をすれば、それは雲雀さんのプライドを傷つけて今後の戦いに支障をきたす。
僕はどうすればいいかわからなくて動けずにいて、とりあえず戦闘に巻き込まれないよう山本君とラルさんを回収した。

10年前の雲雀さんは状況がわかっている様子ではなく、無数の幻覚でできたミサイルに囲まれた。
これのまずいところは実体が(ボックス)で、本当に攻撃を受けてしまうことだ。
しかもミサイルは姿を隠す。
ダメだ、助けるしかない。
僕は飛び出した。

「さらばだ、雲雀恭弥。」

間に合わないかもしれない、そう思った時。
見慣れた厨二チックな防御武器が雲雀さんを囲って守った。
あれはどう見ても獄寺君の…

「へ…借りは返したぜ…つっても、てめーじゃわかんねーか…」

涙が出そうだった。
意識を失っているけど笹川さんと満身創痍な獄寺君がいたから。
2人共生きてる。
2人を担いでいるのは草壁さんで、クロームちゃんにランボくん、イーピンちゃんも来ている。
何でそのメンバーまでここにいるのかはわからないけど、とにかく2人が生きていて良かった。
僕はとりあえず山本君とラルさんを連れて草壁さんに合流した。
草壁さんは雲雀さんに群れてる判定されて風紀委員の退会を突きつけられて少し精神的にきてるようだったけど、気持ちの切り替えは早く雲雀さんにリングと(ボックス)で応戦するよう指示した。
クロームちゃんに助けられたこともあって、怒りが爆発した雲雀さんは凄く大きな雲の炎を灯して(ボックス)を開匣した。
まさかそれが(ボックス)の暴走に繋がるとは草壁さんも僕も思いもしなくて、幻騎士とは分断されたけど僕らまでピンチになった。

「あっちに道あるよ!」

状況を理解できてないランボ君の冷静さがここに来て活かされて、僕らはみんなを連れて脱出した。
脱出できたと安心する暇もなく、今度は退路を絶たれた上に、前から壁が迫ってきてまたピンチになった。
僕は背負っていたクロームちゃんを一旦下ろして、(ボックス)3つを開けた。
雲雀さんの雲の炎を纏ったトンファーは壁には全然効かなかった。

「僕が防ぎます!!みんなの防御は任せたよ、ロボ!」

マリオとルイージが針を増殖させて迫り来る壁に体当たりし、迫るスピードを抑える。
猪八戒、沙悟浄、孫悟空も壁に体を押し付け、少しでも壁の進みを遅くする。
サツマは僕の防御範囲に入れなかったランボくんを口に咥えて回収して、ロボはイーピンちゃんを咥えて回収する。
壁は僕のスクーデが発動できる範囲に届いたけど、スクーデは発動してすぐに消えた。
おかしい、スクーデは攻撃を反射する技だから壁は弾かれるなり壊れるなりするはずなのに。
壁は特に壊れていない。
物理攻撃が止むと消えてしまうのがスクーデの弱点。
つまり、壁は止まったのだ。
狭い空間だけど別に僕らの生存に問題はない。
何か次の罠があるのだと警戒して、ロボ達に僕らも守らせようとしたその時、急に息苦しくなった。
ランボ君とイーピンちゃんが先に倒れて、酸素濃度を低くされたと理解した刹那、フッと僕の意識が飛んだ。

× × × × × × × × × × ×

ツナ君の首を絞める夢を見た。
そんなことしたくないのに体が言うことを聞いてくれなかった。
みんなもツナ君の首を絞めていて、ランボ君やイーピンちゃんは大好きなお兄ちゃんにそんなことをするのがよほど嫌なのか泣き喚いていた。
いや、よほど嫌なのはみんな一緒だ。
ふとツナ君の手が僕の手に触れて、指先が冷んやりして手が動かなくなって、ようやくツナ君から離れることができた。
ツナ君が必殺技のX BURNER(イクス バーナー)を放ったところを見て、また意識が遠のいた。

× × × × × × × × × × ×

頭が少し重い。
眠っているイーピンちゃんとランボ君が視界に入って慌てて体を起こすと、僕はみんなと共に透明な筒に囚われていた。
ボンゴレファミリーの中でツナ君だけがその外にいて、知らないツナギの人とリボーン様と一緒にいた。
リボーン様はアジトから出れないはずだから立体映像的な何かだろう。
ツナ君達が対峙している相手は写真で見た入江正一とチェルベッロの女性2人だった。
前はボンゴレと名乗っていたはずなのに今はミルフィオーレの制服を着ている。
白くて丸い装置は目の前にあって、入江正一はこの装置こそがこの時代に僕らを縛り付けているものだと明言した。

「沢田綱吉、大空のボンゴレリングを渡しなさい。さもなくばあの中の酸素を抜いて守護者を殺します。」

チェルベッロの1人が片手に銃、片手にリモコンを持ってツナ君を脅す。
ファミリーのみんなを犠牲にできないツナ君は慌ててボンゴレリングを渡そうとしていてもうどうにもできないのかと思ったその時、チェルベッロの2人が倒れた。
そして入江正一は自分は味方だと主張し始めた。
信じられずにいると、入江正一はいかにもツナ君が怒りそうなことを言った。

「守護者でもボンゴレでもないイーピン、笹川京子、三浦ハルまでを過去からこの時代に連れてきたのはなぜだがわかるかい?人は守るものがあると強くなれる。そのために必要だと判断したんだ。」

当然ツナ君は入江正一に突っかかった。
胸ぐらを掴んでみんなに何かあったらどうするんだと怒鳴りつけた。
入江正一はあっさりその場合はしょうがないなどとぬかす。
しかも逆ギレしてこれはこの時代のツナ君と雲雀さんと入江正一の3人の秘密の計画であり、京子ちゃん達を巻き込むことはこの時代のツナ君が了承したことだと弁明してきた。
ラルさんと獄寺君がツナ君がそんなことするわけないと抗議すると、また入江正一は逆ギレしてそれだけやばい状況なのだと主張してきた。
リボーン様は入江正一の説明に納得がいくところがある様子で、続きを聞こうとする。
入江正一は白蘭こそが真の敵で、今この時代に倒すしか能力を封じる手はないのだと言う。
そして僕らが入江正一に辿り着くのが計画の第一段階で、第ニ段階として今日のボンゴレの総攻撃が成功する必要があるという。
鍵を握るのはイタリアの主力戦らしく、僕らはその勝報を待つことになった。

その間に怪我人の手当てをすることになった。
緊急用ベッドに笹川さんと山本君が寝かせた後、ちゃっかりラルさんがイーピンちゃんを抱えて立っていることに気付いた。

「ラルさん、イーピンちゃんは僕が預かりますからベッドで休んでください。」

半ば強引にイーピンちゃんをラルさんから取り上げ、ベッドの方へラルさんの背中を押す。

「守屋、オレはもう大丈夫だ。」
「全然大丈夫じゃないですよ、そんな顔して。この後にも白蘭との戦いが控えてるってわかったんだし、回復に努めるべきです。」
「それは…そうだが。」
「とにかく無理は禁物です。」

ラルさんはなんだかんだベッドに横たわってくれて、やはり体調が悪かったのかすぐに寝た。
イーピンちゃんを抱えたまま山本君の様子を見ていると、不意に獄寺君に話しかけられた。

「おい、守屋。おまえは怪我ねーか?」
「うん、僕はこの通り大丈夫。」
「ならいい。山本の様子は?」
「幸い出血が止まらないような深い傷はなかったけど……顔から鋼鉄に突っ込んだから脳とかにダメージがないかは心配……」

このまま山本君が起きなかったらどうしよう?
幻騎士が格上の相手だと感じていながら山本君に任せてしまった後悔が募る。

「……守屋、詳しいことは後で聞くけどよ、あんまり責任感じてんじゃねーぞ。」
「獄寺君……ありがとう。」

獄寺君の言う通りだ。
僕が責任を感じてネガティヴになっても仕方がない。
結局僕らは過去へは帰れず、この時代でこの先も戦わなければいけないから。
下を向いてはいられない。

獄寺君はその後入江さんに文句を言いに行っていた。
獄寺君らしいと思う。
そしてイタリア本戦の   ヴァリアーの勝報も入った。
僕らが歓喜し安堵したその時、彼は現れた。

「いいや、ただの小休止だよ。」

僕らの敵、白蘭。
実際にここにいる訳ではなくて、彼は通信機から立体映像として映し出されていた。
白蘭はボンゴレとミルフィオーレの正式な力比べを10日後にすると言い出した。
目的は73(トゥリニセッテ)
どうやら入江さん達が持っていたマーレリングはよくできた偽物で、(リアル)6弔花という真のマーレリングの所持者が存在するらしい。
完全に入江さんは出し抜かれたみたいだ。
言いたいことだけ言った白蘭は、僕らがいるこの基地がもうすぐテレポーテーションするのだと、SFチックなことを言い出した。
入江さんが大丈夫だと言うので僕らはその場で待機して目の前の基地がゴッソリ無くなるのを見届けた。

「極限にここはどこだー!!?」

いつの間にかこの時代の笹川さんと10年前の笹川さんが入れ替わっていた。
どうやら僕らが守られたのはボンゴレリングの結界のおかげらしい。
ツナ君達は入江さんからボンゴレ(ボックス)を受け取って、ヴァリアーからの通信で彼らが今回味方であることを知って、六道骸の生存がわかって、入江さんとスパナさんが仲間に加わって。
バタバタしながら僕らはアジトへ帰った。
暗くて重い足取りで。

「ねぇねぇ、優希〜、ランボさん歩くの疲れた。」

足元を歩いていたランボ君が両手を上げて僕の方を見ている。

「おいで、ランボ君」

僕はランボ君を抱き上げた。

「肩車がいーいー!」

元気だなぁ、ランボ君は。
みんな死ぬ思いしたんだけど、そんなこと全然わかっていない。
でもその能天気さと明るさは少しだけ救いだ。

「はいはい」

ランボ君を肩車してあげると、ランボ君は大きな声を出した。

「あー!京子だ!!」
「え?」

僕らは下を向いて歩いてたから気付かなかった。
信号のある横断歩道の先に、京子ちゃんとハルちゃん、ビアンキさんにフゥ太君、ジャンニーニさんがいた。
ランボ君は僕の頭から飛び降りて、信号が青になったら真っ先に走り出して行った。
ランボ君だけじゃない。
ツナ君も獄寺君も山本君も笹川さんもイーピンちゃんも、そして僕も。

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