集団転校生

僕らは過去に無事戻ってきた。
ロボ達は未来に置いてきたつもりだったけど、アルコバレーノのヴェルデの計らいでアニマルリングという形になってこの時代にやってきた。
ビアンキさんを始めとした未来で一緒に戦った仲間は未来での記憶を引き継いでいた。

僕はツナ君への恋心を一生隠すことにした。
ツナ君が京子ちゃんを好きなことはわかっているし、最近京子ちゃんもツナ君に気があるんじゃないかなと思うし。
それに護衛とストーカーは紙一重だ。
ツナ君との仲を深めるためにツナ君を追い回せば、僕はただのストーカーになってしまう。
それに僕が未来で妊娠していたことも気掛かりだ。
相手がツナ君である可能性は限りなく低いと思う。
そう考えると、この先ツナ君のことを忘れて好きになる男性が現れるかもしれない。
それがみんなが幸せになる道だと思う。
だから………僕はツナ君から同じ感情を向けてもらうことは諦めなきゃいけない。

× × × × × × × × × × ×

未来から戻って数日後、集団転校生がやってきた。
僕らのクラスにはSHITT・P!って女の子と古里炎真君という男の子が転入してきた。
SHITT・P!もといしとぴっちゃんは独特なセンスの持ち主みたいで服装からしてよくわからなかった。
発言もちょっと不思議で、獄寺君は彼女をUMAと思い込んでるみたいだ。
一方、古里君は暗い雰囲気で柄の悪い先輩に目をつけられそうな感じの子だった。
とりあえずその日の昼休み、同性であるしとぴっちゃんに声をかけてみた。

「あのー、しとぴっちゃん。」
「なあに?」

とりあえず返事をしてくれた。
午前の授業中電波な発言して先生たちを困らせてたから、会話できないかもと思ったけどそんなことはないようだ。

「僕は守屋優希。宜しくね。勉強は得意じゃないけど、体育なら得意だよ。」
「私も体育は得意ダヨ。」
「じゃあこれからの体育の授業が楽しみだね。ドッヂボールとか僕の本気の球を拾える人いなくてさ、加減が凄く難しいんだよね。」
「私なら取れると思うヨ。逆に優希は私の球取れないカモね。」
「どーだろ、僕運動神経について結構自信あるよ?」

僕がニヤリと笑うと、しとぴっちゃんもニヤリと笑った。

「それは楽しみ。」
「そういえば、さっき言ってた特技のハッコーって何?」
「何だと思う?」
「うーん……体を光らせる…とか?」
「ブー。その内見せてあげるヨ。」

そう言ってしとぴっちゃんはウインクする。
想像以上に普通に話しやすい子だった。
ちょっと偏見があったかもって反省した。

× × × × × × × × × × ×

転校生がやってきた放課後、ツナ君はリボーン様によって強制的に古里君を庇わされ、先輩からボコボコにされていた。
過去に戻ったことでリボーン様がいる時はツナ君を守っちゃいけないという命令が復活してしまったので手は出さなかったけど、ツナ君達をひとしきりボコした後の先輩達はツナ君にバレないようこっそりちゃちゃっと僕がボコボコにしておいた。
ツナ君は教科書を落としていった古里君を探し回って、夕暮れ時にやっと河川敷で古里君を見つけて声をかけたはいいものの、2人して川に落ちて行った。
声をかけるか迷ったものの、季節柄風邪を引くかもしれないし、なんだかんだ丈夫なツナ君はともかく古里君は心配だから手を貸すことにした。

「あーあ、2人共盛大にやらかしたね〜」
「優希!」
「………」

古里君は暗い顔で僕を見つめてくる。
僕はつい古里君のズボンに目が行ってしまった。
ちゃんと履き切れてなくてパンツが見えているし、そもそもズボンの裾が変なところに縫い付けられている。

「…とりあえず古里君はそのズボン脱いだら?僕とそんなに身長変わらなさそうだし、僕のズボン貸してあげるよ。」

体操服の長ズボンをバッグから取り出してそう言うと、古里君はゆっくり頷いて、岸へ上がるとズボンを受け取った。
着替えを見られるのも嫌だろうから僕は反対を向いておいた。

「……ありがとう」
「どういたしまして」

振り返ると上は制服に下は体操服というアンバランスなファッションの古里君がいて、なんかちょっと可笑しくて心の中でくすりと笑った。
ツナ君も同じことを思ったのか、笑いを少しだけ堪えているような顔をしていた。

「僕は守屋優希。クラスメイト同士、宜しくね。」
「…いや……オレと仲良くするとイジメられるから構わなくていいよ。」
「そうなんだ。でも僕イジメっ子に対抗できるだけの腕っぷしあるんだ。だから関係ないよ。僕は僕が仲良くしたい人と友達になる。」

実際さっきの先輩達はきっちりボコボコにしてパンツ一丁で土下座してる写真を撮った上で脅しておいたから、もうツナ君にも古里君にも手を出せないはずだ。
まあ、暴力的解決なんてツナ君は嫌いだろうけど。
好きな人が虐められてるのをそのままにするのもね…?

「……変な人。」

初めてばっちり古里君と目が合った。
彼は少し呆けた顔で僕を見ていた。

「そうかもね。でも、これが僕だから。」

えっへんと言わんばかりに胸を張ると、古里君はプッと笑った。

「守屋さんってしとぴっちゃんと少し似てる。自分に強い自信を持っているところが。」
「…だからしとぴっちゃんは僕と話してくれたのかな?先生たちとは話してなかったけど。」
「しとぴっちゃんはいつもあんな感じだから。」
「そうなんだ。とりあえず2人共びしょ濡れだから早く帰った方が良いよ。」

そう言うと僕らのやりとりをニコニコ見守ってたツナ君が口を開いた。

「ならウチに来ると良いよ。ここから遠くないし、母さんがズボン直してくれると思う。」
「いいの?」
「うん、おいでよ。」

かくして僕らは3人でツナ君ん家まで帰り、家の前で僕らはバイバイした。
今日はちょっとだけ濃い1日だった。

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