守り守られ
ジメジメとした暑い夏が過ぎて秋になった。
季節が過ぎる間にボクシング部主将の熱血男であり笹川京子ちゃんの兄である笹川了平さんに気に入られたり、風紀委員長である雲雀恭弥さんに半ば強制的に喧嘩を売ってしまったり、香港の殺し屋のイーピンちゃんに抹殺対象 と間違われたり。
ツナ君には色々な出会いがあり、彼の周囲はだんだんと賑やかになっていった。
そんな中また新たな出会いがツナ君のもとに訪れた。
ボンゴレの同盟ファミリーであるキャバッローネファミリーのボス、ディーノさんとの出会いだ。
「お前がツナのバリエラの優希だな。」
まさか僕に話しかけてくるとは思わなかった。
しかもなんでバリエラのことを知ってるんだ。
「あの爺さんにこんな可愛い孫がいたとはな。」
「お祖父様を知っているんですか?」
まさかあのお祖父様を知ってるなんて。
「ああ、ボンゴレ9代目の爺さんとは幼い頃からの付き合いでな、お前の爺さんにも会ったことがあるぜ。」
「そうだったんですね。僕は守屋優希。バリエラの10代目です。宜しくお願いします、キャバッローネのディーノさん。」
「こちらこそ。お前が10代目を継ぐのは確定なのか?」
僕は頷いた。
「9代目と門外顧問である家光様を除いたブラッド・オブ・ボンゴレがツナ君おひとりしかいないように、バリエラも本家で強力な能力を持っている人間は9代目付きのお祖父様と家光様付きのお父様を除けば僕1人です。分家当主であれば叔父がいますが、お祖父様が高齢なのでもしもの時は叔父が9代目付きになるので。」
「なるほどな。だが、お前の父親が10代目を継がない理由はなんだ?」
「随分と深く切り込んでくるんですね。お祖父様が僕を跡取りに指名したのはひとえに僕の持って生まれた能力がお父様の能力を圧倒的に凌駕しているからです。」
ディーノさんはぴくりと眉を動かした。
「バリエラも色々ありそうだな。」
「はい。色々あります。」
お父様が僕を嫌っていたり、叔父様と僕がこの一族を終わらせようと企んでいたりね。
「ところでバリエラのことをそこそこ理解していらっしゃるのに、なぜ僕にわざわざ挨拶を?」
「ああ、今から獄寺と山本を試すために2人の目の前でツナを拉致しようと思っててな、先に断っておこうと思ったんだ。」
「僕が邪魔しないか心配ですか?」
「邪魔はしねーってリボーンから聞いてる。単に知ってた方がお前の精神衛生上良いだろ?」
きっと僕は今鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をしていると思う。
リボーン様はそういう配慮をされないから、髑髏病の時とか凄く焦ったのを覚えてる。
ディーノさんはたかが護衛にそこまで配慮してくれる人らしい。
人格者過ぎる。
「…配慮してくれてありがとうございます。」
心からそう思った。
ディーノさんは良い人だけど部下がいないと運動能力が落ちるという欠点を抱えていた。
そんなディーノさんが部下なしでツナ君達を山に誘った。
案の定というか、巨大化したエンツィオからツナ君達を守ろうとして吊り橋のロープを切ってしまった。
橋は崩れ、ツナ君達は谷底に向かって落ちる。
「くっそ…!」
咄嗟に僕は悪態を吐きながら谷に飛び込んだ。
獄寺君に少しだけ融通してもらったダイナマイトを使って加速してみんなと同じ高度まで落ちる。
そして両手を地面に向けて、木々の中に落ちるその瞬間広範囲にスクーデを張った。
こういう時、物理攻撃を受けないとスクーデを張れないという特性は非常に不便だ。
ツナ君や山本君にバレていないと良いけど。
「ん…いっつ…い…生きてる。」
最初に発言したのはツナ君だった。
「大丈夫すか、10代目!!」
「木の枝がクッションになったみてーだな。」
ツナ君の身を案じる獄寺君に、僕にとって都合の良い誤解をしてくれる山本君。
木の枝がクッションになっていたらもっとみんな擦り傷だらけじゃないと可笑しいんだけど、そんなことは気付いていないみたい。
山本君の天然なところはありがたいような気もするし、どこか僕の能力がバレて欲しかったような気もする。
「天日干しされてエンツィオも縮んだな。」
そうコメントしたリボーン様をこっそり僕は睨んだ。
さすがにエンツィオを何の意味もなく川に投げるのはやり過ぎだ。
「ってか、えっ!?何で優希いるの!?」
「足腰鍛えるために山登りしてたら、みんなを見かけて………それでついて来たらこの通りだよ…。」
獄寺君とディーノさんは一瞬何かを察したような表情を見せた。
「みんな、すまん!手が滑った。」
ディーノさんは僕から注意を逸らすつもりなのか、みんなに謝る。
「テメーー!手が滑ったで済むか!!コラ!!」
獄寺君がマジでキレている。
多分これは注意を引こうとかそういうものではなさそうだ。
助かった理由には間違いなく気付いてそうなんだけどな。
「まー、まー、みんな無事なんだし結果オーライじゃねーか…。な!」
山本君は獄寺君を羽交締めして止める。
さすが山本君、獄寺君をしっかり止めている。
僕には無理な技だ。
「まだ無事かわかんねーぞ。こっから家に帰れるかわかんねーからな。」
リボーン様が不吉なことを言う。
不吉だけれど、実際事実だ。
現在地がわからないし、獄寺君と僕のケータイは圏外だし、ディーノさんの衛星電話は壊れてしまった。
とりあえず洞窟が見つかったので、獄寺君が様子見に入って行った。
獄寺君だから心配ないだろうと思ってたけど、意外にも洞窟から鳴り響いたのは獄寺君の悲鳴だった。
僕らが警戒して構えていると、ビアンキさんが獄寺君を連れて出て来た。
それを見て僕らは悲鳴の原因を察した。
ビアンキさんはリボーン様に会えて嬉しそうだ。
そして彼女は3日前から遭難しているらしい。
本人は自覚してないけれど。
ある意味1番強い人かも、ビアンキさん。
洞窟にはビアンキさんだけでなく、ハルちゃんとランボ君とイーピンちゃんもいた。
どうやらランボ君のヤンチャで迷い込んだらしい。
僕らも遭難してると知ったハルちゃんは軽いパニック状態だ。
とりあえず山本君と僕は木の枝を拾う。
それに気付いたツナ君が尋ねてくる。
「山本と優希、何してんの?」
「木を燃やそーと思ってさ。SOSの狼煙にもなるし、寒さ対策や動物避けにもなんだろ?」
「そーそー。とりあえず水と火の確保でしょ。」
「なるほど、さすが山本と優希!!」
「おまえらばかりにいいかっこはさせねーぜ。」
そう言って獄寺君は両手に火炎瓶を持つ。
「獄寺君!!」
「火炎瓶 を使えばよく燃えます!」
「見直したわ、隼人。」
ビアンキさんが獄寺君の両頬を掴んで目線を合わせる。
わざとやってるのかな、これ。
「ひい!!!がはっ」
獄寺君は悲鳴を上げて後ろに倒れる。
火炎瓶が宙を待った後地面に転がって、瓶が割れて灯油かガソリンかわからない油のような液体が溢れて、別の瓶の炎が引火する。
あ、やばい。
山火事起きる。
実際獄寺君の後ろの木に燃え移った。
「山火事ィィ!!!」
ツナ君が悲鳴を上げる。
「火のまわりが早い!洞窟に避難するぞ!」
ディーノさんがそう指示するけど、ここでランボ君がお詫びと称して洞窟に向かって手榴弾を投げた。
僕らは火に囲まれてしまった。
ツナ君やハルちゃんは完全にパニック状態だ。
僕がスクーデを張って先行すればみんなで助かることはできるけど………。
リボーン様を見るとモグラの格好で何か企んでいる顔をしていた。
「諦めずに消して来い。」
リボーン様はツナ君に向けて死ぬ気弾を撃った。
「復活 !!!死ぬ気で消化ぁー!!!」
まさかのダウジングでツナ君は水脈を見つけて、そこにパンチを打ち込むことで水を降らせて消火した。
ほっとしたけれど、何か大事なことを忘れている気がする。
「やべー!逃げろ!!」
ディーノさんが叫ぶ。
嫌な予感がして後ろを振り返ると巨大なカメがいた。
エンツィオが水を吸ったんだ。
みんなで慌てて逃げた。
「どーするの、これー!?」
ツナ君が叫ぶ。
正直僕もどうしていいかわからない。
あんなに大きくなったエンツィオをスクーデでどうにかすることはできない。
防いで守ることはできるけど、落ち着かせる方法はない。
「とりあえず逃げよ!!」
山道を走っていると後ろで「ぐぴゃっ」という声とズザーという引き摺る音がする。
振り返るとランボ君が地面に突っ伏していた。
「ランボ君!」
僕は慌てて引き返した。
膝を擦りむいて大泣きしているランボ君を抱き抱えると、地面に暗い影ができて上を向けばすぐ目の前にエンツィオの足が迫ってくる。
スクーデを使わざるを得ないかと思ったその時、銃声が響いた。
「復活 !!!死ぬ気で優希とランボを助ける!!!」
ツナ君の声が聞こえた次の瞬間には、強い力で引っ張られ気付けばツナ君にお姫様抱っこをされていた。
死ぬ気モードのツナ君の顔が近い。
ランボ君はぐずぐず泣きながら僕の腕の中にいる。
なぜかこのシチュエーションにドキドキした。
きっと守ることが専門の僕が守られたからだ。
「さすがツナ!」
「やっぱりツナさんはかっこいいです〜!」
山本君とハルちゃんはツナ君を素直に褒める。
リボーン様は満足そうな表情。
獄寺君とディーノさんも笑顔を浮かべている。
わざとそうしているのか、ツナ君の活躍を心から讃えているのかはわからない。
とりあえずみんなが走り続けている内にエンツィオのサイズは小さくなって行った。
乾燥している天気が味方したのかな。
「ありがとう、ツナ君。」
死ぬ気モードが解けたツナ君にまずはお礼を言った。
「うん……良かった、優希が無事で…」
ツナ君は心から安堵している表情を見せる。
巨大マフィアの次期ボスという自分の身分を知っても、小さい頃から本当に変わらない。
でも、うん、だから僕はバリエラの使命を果たそうと思えるのかもしれない。
季節が過ぎる間にボクシング部主将の熱血男であり笹川京子ちゃんの兄である笹川了平さんに気に入られたり、風紀委員長である雲雀恭弥さんに半ば強制的に喧嘩を売ってしまったり、香港の殺し屋のイーピンちゃんに
ツナ君には色々な出会いがあり、彼の周囲はだんだんと賑やかになっていった。
そんな中また新たな出会いがツナ君のもとに訪れた。
ボンゴレの同盟ファミリーであるキャバッローネファミリーのボス、ディーノさんとの出会いだ。
「お前がツナのバリエラの優希だな。」
まさか僕に話しかけてくるとは思わなかった。
しかもなんでバリエラのことを知ってるんだ。
「あの爺さんにこんな可愛い孫がいたとはな。」
「お祖父様を知っているんですか?」
まさかあのお祖父様を知ってるなんて。
「ああ、ボンゴレ9代目の爺さんとは幼い頃からの付き合いでな、お前の爺さんにも会ったことがあるぜ。」
「そうだったんですね。僕は守屋優希。バリエラの10代目です。宜しくお願いします、キャバッローネのディーノさん。」
「こちらこそ。お前が10代目を継ぐのは確定なのか?」
僕は頷いた。
「9代目と門外顧問である家光様を除いたブラッド・オブ・ボンゴレがツナ君おひとりしかいないように、バリエラも本家で強力な能力を持っている人間は9代目付きのお祖父様と家光様付きのお父様を除けば僕1人です。分家当主であれば叔父がいますが、お祖父様が高齢なのでもしもの時は叔父が9代目付きになるので。」
「なるほどな。だが、お前の父親が10代目を継がない理由はなんだ?」
「随分と深く切り込んでくるんですね。お祖父様が僕を跡取りに指名したのはひとえに僕の持って生まれた能力がお父様の能力を圧倒的に凌駕しているからです。」
ディーノさんはぴくりと眉を動かした。
「バリエラも色々ありそうだな。」
「はい。色々あります。」
お父様が僕を嫌っていたり、叔父様と僕がこの一族を終わらせようと企んでいたりね。
「ところでバリエラのことをそこそこ理解していらっしゃるのに、なぜ僕にわざわざ挨拶を?」
「ああ、今から獄寺と山本を試すために2人の目の前でツナを拉致しようと思っててな、先に断っておこうと思ったんだ。」
「僕が邪魔しないか心配ですか?」
「邪魔はしねーってリボーンから聞いてる。単に知ってた方がお前の精神衛生上良いだろ?」
きっと僕は今鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をしていると思う。
リボーン様はそういう配慮をされないから、髑髏病の時とか凄く焦ったのを覚えてる。
ディーノさんはたかが護衛にそこまで配慮してくれる人らしい。
人格者過ぎる。
「…配慮してくれてありがとうございます。」
心からそう思った。
× × × × × × × × × × ×
ディーノさんは良い人だけど部下がいないと運動能力が落ちるという欠点を抱えていた。
そんなディーノさんが部下なしでツナ君達を山に誘った。
案の定というか、巨大化したエンツィオからツナ君達を守ろうとして吊り橋のロープを切ってしまった。
橋は崩れ、ツナ君達は谷底に向かって落ちる。
「くっそ…!」
咄嗟に僕は悪態を吐きながら谷に飛び込んだ。
獄寺君に少しだけ融通してもらったダイナマイトを使って加速してみんなと同じ高度まで落ちる。
そして両手を地面に向けて、木々の中に落ちるその瞬間広範囲にスクーデを張った。
こういう時、物理攻撃を受けないとスクーデを張れないという特性は非常に不便だ。
ツナ君や山本君にバレていないと良いけど。
「ん…いっつ…い…生きてる。」
最初に発言したのはツナ君だった。
「大丈夫すか、10代目!!」
「木の枝がクッションになったみてーだな。」
ツナ君の身を案じる獄寺君に、僕にとって都合の良い誤解をしてくれる山本君。
木の枝がクッションになっていたらもっとみんな擦り傷だらけじゃないと可笑しいんだけど、そんなことは気付いていないみたい。
山本君の天然なところはありがたいような気もするし、どこか僕の能力がバレて欲しかったような気もする。
「天日干しされてエンツィオも縮んだな。」
そうコメントしたリボーン様をこっそり僕は睨んだ。
さすがにエンツィオを何の意味もなく川に投げるのはやり過ぎだ。
「ってか、えっ!?何で優希いるの!?」
「足腰鍛えるために山登りしてたら、みんなを見かけて………それでついて来たらこの通りだよ…。」
獄寺君とディーノさんは一瞬何かを察したような表情を見せた。
「みんな、すまん!手が滑った。」
ディーノさんは僕から注意を逸らすつもりなのか、みんなに謝る。
「テメーー!手が滑ったで済むか!!コラ!!」
獄寺君がマジでキレている。
多分これは注意を引こうとかそういうものではなさそうだ。
助かった理由には間違いなく気付いてそうなんだけどな。
「まー、まー、みんな無事なんだし結果オーライじゃねーか…。な!」
山本君は獄寺君を羽交締めして止める。
さすが山本君、獄寺君をしっかり止めている。
僕には無理な技だ。
「まだ無事かわかんねーぞ。こっから家に帰れるかわかんねーからな。」
リボーン様が不吉なことを言う。
不吉だけれど、実際事実だ。
現在地がわからないし、獄寺君と僕のケータイは圏外だし、ディーノさんの衛星電話は壊れてしまった。
とりあえず洞窟が見つかったので、獄寺君が様子見に入って行った。
獄寺君だから心配ないだろうと思ってたけど、意外にも洞窟から鳴り響いたのは獄寺君の悲鳴だった。
僕らが警戒して構えていると、ビアンキさんが獄寺君を連れて出て来た。
それを見て僕らは悲鳴の原因を察した。
ビアンキさんはリボーン様に会えて嬉しそうだ。
そして彼女は3日前から遭難しているらしい。
本人は自覚してないけれど。
ある意味1番強い人かも、ビアンキさん。
洞窟にはビアンキさんだけでなく、ハルちゃんとランボ君とイーピンちゃんもいた。
どうやらランボ君のヤンチャで迷い込んだらしい。
僕らも遭難してると知ったハルちゃんは軽いパニック状態だ。
とりあえず山本君と僕は木の枝を拾う。
それに気付いたツナ君が尋ねてくる。
「山本と優希、何してんの?」
「木を燃やそーと思ってさ。SOSの狼煙にもなるし、寒さ対策や動物避けにもなんだろ?」
「そーそー。とりあえず水と火の確保でしょ。」
「なるほど、さすが山本と優希!!」
「おまえらばかりにいいかっこはさせねーぜ。」
そう言って獄寺君は両手に火炎瓶を持つ。
「獄寺君!!」
「
「見直したわ、隼人。」
ビアンキさんが獄寺君の両頬を掴んで目線を合わせる。
わざとやってるのかな、これ。
「ひい!!!がはっ」
獄寺君は悲鳴を上げて後ろに倒れる。
火炎瓶が宙を待った後地面に転がって、瓶が割れて灯油かガソリンかわからない油のような液体が溢れて、別の瓶の炎が引火する。
あ、やばい。
山火事起きる。
実際獄寺君の後ろの木に燃え移った。
「山火事ィィ!!!」
ツナ君が悲鳴を上げる。
「火のまわりが早い!洞窟に避難するぞ!」
ディーノさんがそう指示するけど、ここでランボ君がお詫びと称して洞窟に向かって手榴弾を投げた。
僕らは火に囲まれてしまった。
ツナ君やハルちゃんは完全にパニック状態だ。
僕がスクーデを張って先行すればみんなで助かることはできるけど………。
リボーン様を見るとモグラの格好で何か企んでいる顔をしていた。
「諦めずに消して来い。」
リボーン様はツナ君に向けて死ぬ気弾を撃った。
「
まさかのダウジングでツナ君は水脈を見つけて、そこにパンチを打ち込むことで水を降らせて消火した。
ほっとしたけれど、何か大事なことを忘れている気がする。
「やべー!逃げろ!!」
ディーノさんが叫ぶ。
嫌な予感がして後ろを振り返ると巨大なカメがいた。
エンツィオが水を吸ったんだ。
みんなで慌てて逃げた。
「どーするの、これー!?」
ツナ君が叫ぶ。
正直僕もどうしていいかわからない。
あんなに大きくなったエンツィオをスクーデでどうにかすることはできない。
防いで守ることはできるけど、落ち着かせる方法はない。
「とりあえず逃げよ!!」
山道を走っていると後ろで「ぐぴゃっ」という声とズザーという引き摺る音がする。
振り返るとランボ君が地面に突っ伏していた。
「ランボ君!」
僕は慌てて引き返した。
膝を擦りむいて大泣きしているランボ君を抱き抱えると、地面に暗い影ができて上を向けばすぐ目の前にエンツィオの足が迫ってくる。
スクーデを使わざるを得ないかと思ったその時、銃声が響いた。
「
ツナ君の声が聞こえた次の瞬間には、強い力で引っ張られ気付けばツナ君にお姫様抱っこをされていた。
死ぬ気モードのツナ君の顔が近い。
ランボ君はぐずぐず泣きながら僕の腕の中にいる。
なぜかこのシチュエーションにドキドキした。
きっと守ることが専門の僕が守られたからだ。
「さすがツナ!」
「やっぱりツナさんはかっこいいです〜!」
山本君とハルちゃんはツナ君を素直に褒める。
リボーン様は満足そうな表情。
獄寺君とディーノさんも笑顔を浮かべている。
わざとそうしているのか、ツナ君の活躍を心から讃えているのかはわからない。
とりあえずみんなが走り続けている内にエンツィオのサイズは小さくなって行った。
乾燥している天気が味方したのかな。
「ありがとう、ツナ君。」
死ぬ気モードが解けたツナ君にまずはお礼を言った。
「うん……良かった、優希が無事で…」
ツナ君は心から安堵している表情を見せる。
巨大マフィアの次期ボスという自分の身分を知っても、小さい頃から本当に変わらない。
でも、うん、だから僕はバリエラの使命を果たそうと思えるのかもしれない。
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