アルコバレーノ2人の修行
少し肌寒いけれど、桜が開花して暖かさを感じ始める春、僕達は進級した。
去年は違うクラスだったけれど、今年はツナ君と同じクラスみたいだ。
内藤ロンシャンという、トマゾファミリーの8代目まで同じクラスなのは想定外だったけど、かのファミリーは十分弱体化しているし、彼らの特殊弾も直接危害を加えるようなものではないのでとりあえず見守ることにした。
僕は進級してから黒川花ちゃんと笹川京子ちゃんとつるむことが多くなった。
特に何かキッカケがあった訳じゃないけれど、気付いたらそうなってた。
「優希ちゃん、この後遊ばない?」
「ごめん、今日も真っ直ぐ帰らないといけないから。」
今日も今日とて、京子ちゃんの誘いをいつもの調子で断る。
申し訳ないけれど、リボーン様がツナ君の教育を始めた以上暗殺のリスクは高まっているから、リボーン様が一緒にいるとはいえツナ君から目を離す訳にはいかない。
「そっか。優希ちゃん家って厳しいんだね。」
「そうだねぇ、ちょっと厳しいのかな?」
勝手に融通の効かない家族に仕立ててごめん、お母さん、叔父さん。
そう思いつつも2人なら理解してくれるはずだという考えも頭の隅にはある。
ツナ君が出かける予定がないとはっきりしていれば、ウチに上げて遊ぶことはできるのになー。
こっそり護衛していることはツナ君には内緒だし、予定をいちいち聞かれるなんてツナ君嫌だろうし。
なかなか2人と遊ぶ時間は取れそうにないな。
「アンタんとこの親、過保護過ぎない?気のせい?」
「うーん……過保護ではないと思う。」
花ちゃんの質問にはそう答える。
多分過保護なのは僕自身な気がする。
「絶対過保護でしょ。高校生とかになったら遊んだりできるかしら?」
「どうだろうねー」
確か3年後にボンゴレボスの地位を継承するつもりだと聞いている。
ツナ君が正式にボスになった暁には、僕に自由はもうない。
正直今の方がまだ自由だ。
「まあ、チャンスはあると思うからまた今度遊ぼう?」
「絶対よ?」
念押ししてくる花ちゃん。
「楽しみだね♪」
笑顔でそう言う京子ちゃん。
人付き合いの悪い僕にこんな風に接してくれるなんて、本当素敵な友達に恵まれたなと思うし、ツナ君が京子ちゃんに片想いする気持ちが少しわかった。
明日からGWだけど、ツナ君はどう過ごすんだろうか?
少なくとも僕が外で遊ぶことはなさそうだ。
そう、思っていた。
GWの中盤、僕はなぜか船に揺られていた。
なせならツナ君がマフィアランドに遊びに行くからだ。
チケットはリボーン様が手配してくれて、僕は表向きリボーン様の同行者として、実際は護衛としてついて行くことになった。
ツナ君を守る許可は出ていないけれど、マフィアランドは基本ボンゴレの同盟ファミリーやボンゴレとそれなりに親交のあるファミリーが集まるとはいえ、様々なマフィアが集まる危険な場所だからだろう。
と言っても、僕は初めて行くのでどのくらい危ないのかはいまいちわかってないけれど。
そう思いながら着いた先は本当にリゾート地だった。
もしかして、僕もワンチャン遊べる?
「ツナと優希はダメだぞ。」
「「え!?」」
「入島手続きがあるからな。」
「は?何それ」
「受付に行って着いたって報告するんだぞ。ツナを代表者、優希を副代表者にしたからな。」
何か嫌な予感がした。
とりあえず僕達は受付があるという建物に向かい、受付の列に並んだ。
「そういえば優希はリボーンに誘われたんだよね?」
「うん、マフィアランドっていうリゾートがあるからって。」
「えっ…」
「リボーン君のマフィア好きはなかなか飽きが来ないみたいだねぇ。」
勘違いしている風なコメントをすれば、ツナ君はあからさまにホッとした様子を見せた。
「次の方、どうぞ」
「沢田ツナです。ボ…ボ…ボンゴレファミリーの………」
「ご推薦状かご招待状はお持ちでしょうか?」
「い…いえ…」
「招待状なし…と。そうしますとマフィア審査が必要となりますね。」
嫌な予感が強くなる。
ツナ君はまともにマフィアとしての教育を受けたことなどない。
何が審査項目になるのかはわからないけれど、審査に通るとは到底思えない。
僕達は別室に通された。
奥にはダンディーなおじさんがソファにかけている。
「彼は政府にコネクションのある人物です。ここに百万ユーロありますので、彼に正しいやり方で賄賂を渡してください。」
「なんじゃそりゃー!!!」
僕もなんじゃそりゃと思った。
この先ツナ君は賄賂を受け取ることはあっても渡すことなんて基本ないはずなのに。
審査項目の設定ミスってるんじゃなかろうか。
受付のお姉さんは爽やかな笑顔で実技審査に通らなければ連れごと皆殺しだと言う。
ツナ君はしぶしぶ右手をポケットに突っ込み、左手を右手の脇と胴体の間に通して、手に持った札束でおじさんの左腕をつつく。
正しい賄賂の渡し方なんて僕もわからないけれど、これが正解じゃないことは僕にもわかった。
「はい、そこまで。」
「え!?」
「まず『このお金は賄賂です』と言わないと何のお金かわかりませんよ。」
「露骨過ぎない!?」
僕も露骨過ぎだと思った。
でも問題はそこじゃない。
「残念ですが失格です。」
お姉さんがそう言うなり、警備員らしき人達が数人部屋に入って来て僕達を取り囲む。
「え!?ちょっ、なにすんの!?」
僕らは警備員にがっちり両腕を抑えられた。
「あなたは不法侵入と見做されました。」
僕らは運ばれて地下鉄らしきものに放り込まれた。
一瞬抵抗しようかとも思ったけれど、恐らくこれはリボーン様が仕組んだものだと予想して、一旦は様子見に徹することにした。
案の定、リボーン様は地下鉄で合流した。
そして僕らが連れて来られたのは裏マフィアランドと呼ばれる修行を行う場所だった。
責任者のコロネロという人はリボーン様と幼馴染ということだったので、恐らく虹の赤ん坊 なんだろう。
ツナ君はリボーン様とコロネロさんによって海に投げ入れられた。
「ツナ君!!」
泳げないのに渦潮に巻き込まれている。
僕が海に飛び込もうとすると、突然緑色のロープが降ってきて僕の体を拘束し、後ろに引っ張られた。
「リボーン様!」
「優希は別の修行だぞ。」
「リボーン、こいつもお前の生徒か?」
「まあな。もっともこいつには親族にも良い家庭教師 がいるけどな。…優希はツナの護衛役で特殊能力持ちだ。ツナの修行の邪魔をされたくねーから今は護衛しないように頼んでんだ。」
「なるほどな。何の躊躇いも見せずに飛び込もうとしたのはそういう訳か。」
リボーン様はボルサリーノの帽子の鍔に手をかけ、カメレオンのレオンがリボーン様の手の甲にのる。
その手を胸元まで持ってくれば、レオンは銃の形に変化した。
もしかして死ぬ気弾を撃たれる?
その予想は外れて、銃はその口をリボーン様に向ける形で僕に手渡された。
「優希、お前はこれを使ってオレかコロネロに弾を当ててみろ。」
「で、でも…」
「安心しろ、それはペイント弾だ。お前、防御に関しては比類ねぇ能力を持っているみたいだが、攻撃は全然みてーだからな。」
「いや、スクーデを応用した打撃とかできますよ?」
「それだけでいいと思ってんのか?」
ふざけている様子のない殺気混じりのリボーン様の声音に背筋がぞくりと凍りつく。
どうやら、本気らしい。
「わかりました。一応銃の心得もありますからね?」
僕はそう言ってリボーン様に向けて発泡する。
リボーン様は軽々と飛んで避ける。
それをただ立って見ているコロネロさんに今度は銃口を向けたけれど、彼も軽々と避けた。
2人共隙がない。
結局ロンシャン君が現れるまで、ツナ君の水泳と僕の銃撃は続いた。
去年は違うクラスだったけれど、今年はツナ君と同じクラスみたいだ。
内藤ロンシャンという、トマゾファミリーの8代目まで同じクラスなのは想定外だったけど、かのファミリーは十分弱体化しているし、彼らの特殊弾も直接危害を加えるようなものではないのでとりあえず見守ることにした。
僕は進級してから黒川花ちゃんと笹川京子ちゃんとつるむことが多くなった。
特に何かキッカケがあった訳じゃないけれど、気付いたらそうなってた。
「優希ちゃん、この後遊ばない?」
「ごめん、今日も真っ直ぐ帰らないといけないから。」
今日も今日とて、京子ちゃんの誘いをいつもの調子で断る。
申し訳ないけれど、リボーン様がツナ君の教育を始めた以上暗殺のリスクは高まっているから、リボーン様が一緒にいるとはいえツナ君から目を離す訳にはいかない。
「そっか。優希ちゃん家って厳しいんだね。」
「そうだねぇ、ちょっと厳しいのかな?」
勝手に融通の効かない家族に仕立ててごめん、お母さん、叔父さん。
そう思いつつも2人なら理解してくれるはずだという考えも頭の隅にはある。
ツナ君が出かける予定がないとはっきりしていれば、ウチに上げて遊ぶことはできるのになー。
こっそり護衛していることはツナ君には内緒だし、予定をいちいち聞かれるなんてツナ君嫌だろうし。
なかなか2人と遊ぶ時間は取れそうにないな。
「アンタんとこの親、過保護過ぎない?気のせい?」
「うーん……過保護ではないと思う。」
花ちゃんの質問にはそう答える。
多分過保護なのは僕自身な気がする。
「絶対過保護でしょ。高校生とかになったら遊んだりできるかしら?」
「どうだろうねー」
確か3年後にボンゴレボスの地位を継承するつもりだと聞いている。
ツナ君が正式にボスになった暁には、僕に自由はもうない。
正直今の方がまだ自由だ。
「まあ、チャンスはあると思うからまた今度遊ぼう?」
「絶対よ?」
念押ししてくる花ちゃん。
「楽しみだね♪」
笑顔でそう言う京子ちゃん。
人付き合いの悪い僕にこんな風に接してくれるなんて、本当素敵な友達に恵まれたなと思うし、ツナ君が京子ちゃんに片想いする気持ちが少しわかった。
明日からGWだけど、ツナ君はどう過ごすんだろうか?
少なくとも僕が外で遊ぶことはなさそうだ。
そう、思っていた。
× × × × × × × × × × ×
GWの中盤、僕はなぜか船に揺られていた。
なせならツナ君がマフィアランドに遊びに行くからだ。
チケットはリボーン様が手配してくれて、僕は表向きリボーン様の同行者として、実際は護衛としてついて行くことになった。
ツナ君を守る許可は出ていないけれど、マフィアランドは基本ボンゴレの同盟ファミリーやボンゴレとそれなりに親交のあるファミリーが集まるとはいえ、様々なマフィアが集まる危険な場所だからだろう。
と言っても、僕は初めて行くのでどのくらい危ないのかはいまいちわかってないけれど。
そう思いながら着いた先は本当にリゾート地だった。
もしかして、僕もワンチャン遊べる?
「ツナと優希はダメだぞ。」
「「え!?」」
「入島手続きがあるからな。」
「は?何それ」
「受付に行って着いたって報告するんだぞ。ツナを代表者、優希を副代表者にしたからな。」
何か嫌な予感がした。
とりあえず僕達は受付があるという建物に向かい、受付の列に並んだ。
「そういえば優希はリボーンに誘われたんだよね?」
「うん、マフィアランドっていうリゾートがあるからって。」
「えっ…」
「リボーン君のマフィア好きはなかなか飽きが来ないみたいだねぇ。」
勘違いしている風なコメントをすれば、ツナ君はあからさまにホッとした様子を見せた。
「次の方、どうぞ」
「沢田ツナです。ボ…ボ…ボンゴレファミリーの………」
「ご推薦状かご招待状はお持ちでしょうか?」
「い…いえ…」
「招待状なし…と。そうしますとマフィア審査が必要となりますね。」
嫌な予感が強くなる。
ツナ君はまともにマフィアとしての教育を受けたことなどない。
何が審査項目になるのかはわからないけれど、審査に通るとは到底思えない。
僕達は別室に通された。
奥にはダンディーなおじさんがソファにかけている。
「彼は政府にコネクションのある人物です。ここに百万ユーロありますので、彼に正しいやり方で賄賂を渡してください。」
「なんじゃそりゃー!!!」
僕もなんじゃそりゃと思った。
この先ツナ君は賄賂を受け取ることはあっても渡すことなんて基本ないはずなのに。
審査項目の設定ミスってるんじゃなかろうか。
受付のお姉さんは爽やかな笑顔で実技審査に通らなければ連れごと皆殺しだと言う。
ツナ君はしぶしぶ右手をポケットに突っ込み、左手を右手の脇と胴体の間に通して、手に持った札束でおじさんの左腕をつつく。
正しい賄賂の渡し方なんて僕もわからないけれど、これが正解じゃないことは僕にもわかった。
「はい、そこまで。」
「え!?」
「まず『このお金は賄賂です』と言わないと何のお金かわかりませんよ。」
「露骨過ぎない!?」
僕も露骨過ぎだと思った。
でも問題はそこじゃない。
「残念ですが失格です。」
お姉さんがそう言うなり、警備員らしき人達が数人部屋に入って来て僕達を取り囲む。
「え!?ちょっ、なにすんの!?」
僕らは警備員にがっちり両腕を抑えられた。
「あなたは不法侵入と見做されました。」
僕らは運ばれて地下鉄らしきものに放り込まれた。
一瞬抵抗しようかとも思ったけれど、恐らくこれはリボーン様が仕組んだものだと予想して、一旦は様子見に徹することにした。
案の定、リボーン様は地下鉄で合流した。
そして僕らが連れて来られたのは裏マフィアランドと呼ばれる修行を行う場所だった。
責任者のコロネロという人はリボーン様と幼馴染ということだったので、恐らく
ツナ君はリボーン様とコロネロさんによって海に投げ入れられた。
「ツナ君!!」
泳げないのに渦潮に巻き込まれている。
僕が海に飛び込もうとすると、突然緑色のロープが降ってきて僕の体を拘束し、後ろに引っ張られた。
「リボーン様!」
「優希は別の修行だぞ。」
「リボーン、こいつもお前の生徒か?」
「まあな。もっともこいつには親族にも良い
「なるほどな。何の躊躇いも見せずに飛び込もうとしたのはそういう訳か。」
リボーン様はボルサリーノの帽子の鍔に手をかけ、カメレオンのレオンがリボーン様の手の甲にのる。
その手を胸元まで持ってくれば、レオンは銃の形に変化した。
もしかして死ぬ気弾を撃たれる?
その予想は外れて、銃はその口をリボーン様に向ける形で僕に手渡された。
「優希、お前はこれを使ってオレかコロネロに弾を当ててみろ。」
「で、でも…」
「安心しろ、それはペイント弾だ。お前、防御に関しては比類ねぇ能力を持っているみたいだが、攻撃は全然みてーだからな。」
「いや、スクーデを応用した打撃とかできますよ?」
「それだけでいいと思ってんのか?」
ふざけている様子のない殺気混じりのリボーン様の声音に背筋がぞくりと凍りつく。
どうやら、本気らしい。
「わかりました。一応銃の心得もありますからね?」
僕はそう言ってリボーン様に向けて発泡する。
リボーン様は軽々と飛んで避ける。
それをただ立って見ているコロネロさんに今度は銃口を向けたけれど、彼も軽々と避けた。
2人共隙がない。
結局ロンシャン君が現れるまで、ツナ君の水泳と僕の銃撃は続いた。
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