秘密の決意

なぜか獄寺君が合流して、カルカッサファミリーのスカルとやらがマフィアランドを襲撃してきて、ツナ君に解決させようとするのかと思ったら、リボーン様は自分のパシリは自分で締めるという美学をお持ちのようで彼が解決してしまった。
そしてやっとリゾート気分を味わえるかと思ったら帰りの船の時間になってしまった。
やっぱりバリエラに休暇はないか……。
帰りの船の甲板上のプールで楽しそうに遊んでいるツナ君やランボ君、イーピンちゃん、ビアンキさんを少し離れたテーブルから見守りながらそんなことを考えていたら、いつの間にかリボーン様がそのテーブルの上に座っていた。

「別に好きに休んで遊べば良いじゃねーか。」

僕の考えていることを読んだのか、そんなことをリボーンさんは宣う。

「リボーン様…」
「ツナが正式にボスになるまで時間があるし、今はオレとの修行のために護衛を禁じてるんだ。今遊ばなくていつ遊ぶんだ?」
「それは……そうですが……」

でも僕は8年前、ボンゴレのボスになることの重みと危険性を知ってしまった。
ツナ君はショックで覚えていないみたいだけれど、僕は覚えている。
今でこそ後継者になり得る人がツナ君しかいないから、後継者争いが起きる心配はないけれど、敵ファミリーからすればツナ君さえ亡くなってしまえばボンゴレは滅びると思っている者もいるだろう。

「お前が何を懸念しているかはわかってるけどな、こんなに幼い内から主人(あるじ)にベッタリなバリエラは歴代の中でもそういないはずだぞ。」
「それは僕が天才だからです。最年少で1人前として認められたから早く護衛の任についただけ。それに昔は本家のバリエラが1人前になるまで分家の補助要員が護衛を勤めていたけど、今は分家で手が空いてるのは叔父さんしかいないし……叔父さんは高齢なお祖父様のバックアップとして手を空けていなければいけない状況ですから……。」
「お前、バリエラであることには誇りを持ってるんだよな?」

リボーン様のその質問に僕は頷いた。
昔は意味をよくわかっていなかったし、ある時期はバリエラであることに反抗したりもしたけれど、今はツナ君を守れることを誇りに思っている。

「ならいい。ま、中学生らしくお前の親父達には反抗してみたらどうだ?」
「反抗期は6歳の時に終わりました。」
「嘘だな。お前、何か企んでるだろ?」
「!」
「深く聞く気はねぇ。お前の人生だ、お前がしっかり考えて選択しろ。」
「…はい、そうします。」

リボーン様はどこまで気付いているんだろうか。
僕がバリエラの一族をどうするつもりなのか。

「手始めにアイツらとプールにでも入ったらどうだ?」

僕は首を横に振った。

「刺青があるから水着を持ってないんです。」
「………バリエラの紋章か?」

リボーン様の声のトーンが低くなった。

「はい」
「……あれは18で受ける試練だと聞いたが。」

なるほど、そこまでご存知なのか。

「僕が天才だから仕方ないです。歴代最強のバリエラですから。」
「いつ受けたんだ?」
「10歳です。それに18っていうのは目安です。叔父さんは18だったらしいですけど、お父様は26歳だったらしいですし。優秀なバリエラならだいたい18だそうですよ。」
「刺青を入れるにはスクーデのコントロールが完璧でなければいけないらしいな。それを10歳でか?」
「はい。僕凄いでしょう?」
「…ああ」

リボーン様の表情が翳る。
確かにそうなってしまうのかも。
刺青はボンゴレの紋章に加え、本家後継者はバリエラの紋章と何代目かの情報も入る。
僕は右足の太ももの上部外側にそれら全てを入れている。
当然それなりの痛みが伴った。
本来スクーデの能力に恵まれたバリエラは痛みを感じれば、スクーデを張ってしまうので刺青が入れられなくなってしまう。
でも僕はスクーデのコントロールが上手いから1回で刺青を入れ切れた。
歴代バリエラでもお祖父様くらいしかそれはできなかったと言うし、お祖父様でさえ18でそれを成している。

きっと趣味で入れる刺青ならリボーン様は何も思わないんだろう。
でも僕はバリエラを継ぐためにはそれを入れなくてはいけなくて、選択肢などなかった。
リボーン様からすれば憐れむ案件なのかもしれない。
でも使命を受け入れることは僕が決めた道だ。
そこに後悔はないし同情されるような悲劇もない。

「きっと僕ほどの天才はこの先産まれません。僕が最初で最後の最強のバリエラです。大舟に乗ったつもりでいてください。」

僕は胸を張って宣言した。
リボーン様は帽子の鍔を持った状態で頷いた。

僕は刺青の入っている場所を右手で触った。
お父様にはボンゴレの紋章しか入っていないそうなので、お祖父様がそこまで期待していなかったのだろうと察しがつく。
叔父さんが昔言っていた。
お祖父様はまるで僕のお父様とお母さんを種馬と繁殖牝馬のように扱っていて、好きになれないと。
僕もそう思う。
だから僕は   バリエラに終焉をもたらす。
僕が最後のバリエラだ。

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