結論から言おう。あまり良くないことに、マニッシュ・ボーイは現れてしまった。
朝食とミーティングを終えたわたしたちが飛行場に行くと、原作通り売る売らないで揉め、赤ん坊を連れていってくれないかと頼まれた。ここで熱を下げてもいいのだが、根本的解決になるわけもなく、そして反論できる事柄もなく、苦々しい思いを抱えながらも赤ん坊と共にセスナに乗り込んだ。
「なんか飛行機にのるとねむくなってくるな」
「ポルナレフ、寝るんならチャリオッツを出してからの方がいいよ」
「ナマエ、さっきも言ったけどよぉ、セスナに追い付いて来れるスタンドがいるかァ? ジョースターさん、すまねーが30分ぐらいねむらしてもらうぜ」
ここに乗ってるんだよ、大馬鹿野郎! いつの間にか花京院は寝てしまってるけど、ポルナレフと違ってしっかり足元にハイエロを出している。一度出会っていると言うのも大きいかもしれない。それにしても赤ん坊なだけあって、マニッシュ・ボーイ自体は可愛い。しかも外国の赤ちゃんだよ? 可愛くないわけがない。だ、騙されないんだからね! だけど本当に熱はある。これは自分で発熱してんのかなあ、どちらにせよ赤ん坊の身体には辛いということは事実だ。
「ナマエちゃん、悪いんだがおしめを変えてやってくれないか?」
「あ、わかりました。はい、ちょっとごめんねー、おしめ変えるからねー」
マニッシュ・ボーイ相手だと言うのにでれでれしてしまうのは何故だろうか、あれか、ジョジョキャラには美形も多いからきっとマニッシュ・ボーイもイケメンでそんな感じのオーラが出てるに違いない。両足を持ち上げて布タオルを手早く外し、ビニール袋の中に放り込む。それからお尻を清潔なウェットティッシュで拭いて、新しい布を巻き付けて安全ピンで止めてやる。汚物入りの袋に使用済みのウェットティッシュと自分の手を拭いたウェットティッシュを入れて、臭いが漏れないようにきゅっと縛っておしめ交換は終了である。
「ナマエちゃん、手慣れとるのか?」
「え? ああ、弟がいたので」
「なるほどな、」
「う…っ…う、うわああああッ、や、やめろ!!」
途端、ポルナレフが暴れだした。やっべ、ポルナレフのこと忘れてた。花京院は静かに眠っていることから、スタンドを出していたために、お呼ばれしなかったようだ。暴れだしたせいでジョセフが操縦桿を離してしまった。操作されないセスナはものすごい動きで旋回しているようだった。お、おえええ、吐きそう……!!
花京院はその揺れで目を覚ます。わたしはマニッシュ・ボーイを庇うように抱えながら吐き気を何とかこらえ、右手をぐっと握り、ポルナレフの顔面に向かって振り下ろす。
「いってぇええ! ……え? あ? は? え、ちょ、どういうことだよこれ! 墜落すんのかよ!?」
「おめーが暴れたんだろうが! じじい、早く立て直せ!」
「おれェ!?」
「ジョ、ジョースターさんこれは!?」
「落ち着けッ! さわぐなッ! わしはパニックを知らん男、今やっとるだろーがッ!! おおおおおおおお〜〜!! “隠者の紫”で操作するッ!」
ぐいいい、と機体がぎりぎりのところで地面と衝突するのを防ぎ、皆でほっと一息をつく。もちろんのことながらわたしの腕の中にいたマニッシュ・ボーイもだ。しかしジョセフは安心と自慢から半身で振り返る。
「みんな見たかーッ! どーんなもんですかいィィィ──ッ、わしの操作はよぉ──!!」
「おい!」
「ジョースターさん、前! 前っ!」
「あっ──っ」
あーっ! じゃないよ、ジョセフー!
ヤシの木に衝突したセスナは、ものの見事に大破して地面へと叩き付けられた。対ショック姿勢を取ったものの、身体は当然痛む。ドリフのコントか何かかこれ!!
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