そうして7組の教室に辿り着いてみると予想していた光景がそこにはあった。入っているお客さんのほとんどが女の子で埋まっていて圧倒されそうになる。目的はもしかしなくても私と同じ・・・だろう。いきなり現実を見せられた気分になって今すぐ引き返したい、がそれをさせないエリーの手が私の二の腕を千切れんばかりに握っていた。痛い痛いっ!

「あ! 飴谷ちゃん!」
「あ・・・えと、手を振ってくれた・・・」

そこに来てくれたのは多くの人がいる中で叫ぶように声をかけてくれたさっきの人。「来てくれたんだ」と嬉しそうに笑う彼は三好学と自己紹介をしてくれた。

「へぇーここは浴衣なんだね」
「あっコレ? ウチ甘味処だからさ和風っぽくしたんだ」
「ふーん・・・・・・」
「っどうせ身長低い俺には似合わないのわかってるし!」
「まだなにも言ってないけど?」
「エリーってば・・・。ごめんね三好くん」

にやーっと意地悪く笑うエリーと口を尖らせる三好くん。ふたりのやり取りに苦笑いしながら周りを見渡してみた。浴衣姿の人がちらほらいる中で、近くにいた浴衣女子と目が合うと手を振られて一瞬だれ?と首を傾げそうになったが友達のキノちゃんだと思い出して、あぁっとびっくりしたまま振り返す。「わ・す・れ・て・た・な」動いた口がそう言ったあとクスクスと笑われた。
浴衣着てるだけで何だか変わるものだな。あっちの右の奥でお客さんと話してる浴衣姿の男子は、たしか三好くんと一ノ瀬くんとよくいる人だったような。うーん? どうだっけ?

(あれ? そういえば一ノ瀬くんはどこだろう?)

教室を見渡してみたらすぐわかるような気がしてたけど彼らしい姿は見当たらない。ここにいる女の子の視線もバラバラみたいだし、いないのかな。
もう一回探してみたけどやっぱりいないようだった。
浴衣姿の一ノ瀬くん、見てみたかったけどいないならしょうがないか。ああでもこんなことで落ち込みそう。またすれ違い。

「一ノ瀬は?」
「蓮? あー・・・それなら、」

エリーの問いかけに視線を戻せば三好くんはあたりを気にする様子で小声で答えた。

「おかめのお面つけてカンバン持って外営業中。今はこの階でうろうろしてるみたい」

耳をそばだてて聞けば驚きの答えが返ってきて声が出そうになる口を手で覆った。しーっと口に当ててた人差し指をあっちの方と黒板がある方向に小さく向けた。
私たちは教室の後ろから、三好くんが言う黒板がある方向とは逆から来たからわからなかったけど、いわゆる対策?なのかなやっぱ。

「やっぱり考えてるのね」
「いっぱい来てくれるのはいいんだけど、蓮が困るからね」
「・・・いいの? そんなこと教えてくれて?」
「んー? だってはるちゃんたちは蓮を困らせないっしょ?」

だからだよ。そう言った三好くんは手を後ろ頭で組んでニカッと笑った。