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日誌を取りに向かっていたあづきの知らない出来事は望まない現状を生み出し、やがて今後に影響されるのだが探し物をさがしている楽はここにもないかとため息を吐いた。「手伝ってあげてるこっちがため息つきたいっつーの」聞こえた文句にぐぐぐと歯噛みする。誰のせいでこんなことになってると思ってんだ!何とか言葉を飲み込んでいると携帯電話の振動に気付いた。届いた短いメッセージと一緒に時間を確認する。大分没頭していたらしいと時間経過に少し驚く楽は今日はもう帰ろうと心残りを隅に追いやって下駄箱で待っていると返信した。そばにいる転校生――桐崎千棘に今日の捜索は断念の旨を伝えると解放感に盛大なため息を吐いていた。
「はぁ〜やっと帰れるわ〜ってあんた帰んないの?」
疲れたと肩を揉んでいると帰る方向とは逆の道へ行こうとする楽に思わず疑問をぶつけた。お互いに荷物を抱えて真っすぐ家に帰れる状態でどうして校舎へ行くのだろうといつもの忌々しい気持ちを忘れて純粋な疑問がこうして楽に投げられたのだが受け取った側は「いいだろべつに」とにべもない対応である。やっぱりこいつ嫌い。苛立つ千棘は強くそう思った。
「さっきの子と何してたの?」
職員室に行く途中で楽と千棘を見かけたらしくそう尋ねてきたのだが、やましいことは何もないはずなのにどうしてかドキドキと焦りながらイチから説明をする。たぶんセリフと口調で変に緊張したんだとふうんと打たれた相槌にまたドキッとした心拍にひとりで納得することにした。
「見つかるといいね」
「あづきは手伝ってくんねーのかよ」
「そしたら一緒に帰れないね」
「だから手伝ってくれよ」
「・・・・・・・・・」
「手伝ってくださいお願いします」
もーしょうがないなー。渋々とした了承をもらえた楽は嬉しそうに笑った。