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あの日どうしてもあの子の心が欲しくて。首から下がるペンダントを見て欲しくなくて。一つの呪いをかけてしまった。
「わたしとずっといっしょにいて!!」
ああ。何てことをしてしまったのだろう。
夏休みが明けてからの幼馴染は変わったペンダントを首から下げていた。先生に注意されてからは服の下に隠すようになったけど、いつも、それこそ体育の時間で体操服に着替えたって肌身離さず付けるようになり、私は変に思っていた。それにペンダントを触っては嬉しそうに笑うから何だか面白くなくて。朝一番に聞いて何でもないとはぐらかされたままの質問を再度かける。そしたら。
「大人になって結婚するときの大事なペンダント」と言って、・・・・・・は??
しつこさに押し負けて渋々白状した答えに私は愕然とした。ピアノの練習ばかりに費やしていた時に遠く離れたところで将来を誓い合っただと・・・?
幼稚園から付き合いで結婚するなら楽と集どっちにしようかな?なんて悩んだりもしてふたりに私は勿体無いかもと選ばない結論になった妄想をふと思い出し、「らくのバカー!!」真っ赤な顔で捨て台詞を吐いてバタバタ駆け出した。途中ユイお姉ちゃんに会って心配されたが穏やかじゃない心中を抱えたままきちんと話すことができなくて適当な別れ方をしてしまったことが少し後悔したけどそれよりも。(今度会ったらあやまろう)
楽は違ったんだ。私と結婚したいほど好きじゃなかったんだ。楽は私とずっといたくなかったんだ。その事実が悲しくてピアノの前でわんわん泣いた。ずっとこのまま一緒だと思ってたのに。私の世界に楽がいないなんて、いやだ。
私じゃない子と結婚なんていやだ。そう思ったら、涙が引いた気がした。
「あさってわたしのたん生日でしょ?」
「あ!そうだった!何かプレゼント考えなきゃな」
「い、いらない!プレゼントいらないから!」
「は・・・?いらない?なんでだよ?」
「その、いらないかわりにわたしのお願いきいてほしいの・・・」
あることを思いつきおはようと朝の挨拶を交わしてから実行に移した。「ムリなお願いはムリだからな〜」何を聞かせれるか分からなくて嫌そうな顔をする楽に「その日になったら言うから」とドキドキしながら言う。
約束に約束を重ねよう。そうしたらきっと楽は私のことを好きなってくれる。結婚したいって言ってくれるはず。
10年前の暑い夏がまだ居座っていた初秋。幼い私は大好きな人に呪いをかけた。
大事な大事な約束を忘れますように。───本当にそうなってしまった。