ぐずる妹


「たい、たいがあー!」

びえええん!
赤ちゃんのような泣き声で目が覚める。

平日の夜今日はいつもより暑い日だったから、いつもより疲れたのか名前が昼寝していた。
俺も見ていたら眠くなったので一緒に横になって寝ていた。

「な、なんだよ」
「もうやだー!やだー!」

全身でくずる名前を抱っこすると、べたりと短い足と手で俺に貼りついてくる。
何かあったんだろうか…

名前は生理前になると情緒不安定になるし、元々外で過ごすこと自体にストレスを感じる精神的に弱い部分があったりする。
その分何かあると、泣くしぐずるし体調を崩す。

小さい頃はぐちぐち言う名前にイライラしたし、面倒な奴だと思っていたけど
少しずつそういうところを直そうと努力しようとしているので…(たぶん)、見守ろうと思う。

「何が嫌なんだよ」
「席がね!いやなの!席がえなんてしなくていいのに!」
「…席がえ」
「右は降旗君、前は綾で理想なのに!やだやだ!男の子に囲まれたの!女の子もいるけど、ほぼ男子!最悪!」

あ、そうそう。
名前は女子より男子の方が苦手らしい。
基本自分より大きい生き物が苦手だという大部分の問題がある。
優しそうで穏やかな人柄の人は例外らしい。

席がえなんてイベント正直あんまり気にしたことない。
俺のクラスはまだやっていないし。

「あー、そりゃあドンマイだな」
「ううう」

人の肩を容赦なく涙で濡らしながら、男子なんてあーだのこーだのと文句を言っている。
正直ほとんど聞き流している。
こういうときの、名前はだいたい言いたいだけなんだろう。
言ってすっきりさせれば、次の日もぐちぐち言ってるが少しずつ減っていくはずだ。

言うだけただだ。

あ、そう言えば宿題あったけ…基本宿題は学校でさっさと最低限済ますタイプだが、最近黒子がノートを写させてくれる確立が減ってきた気がする。

「もー…う、……」

しばらくしてうるさかった耳元が静かになった。
名前を抱き直して見てみれば、真っ赤な目元のまま寝てしまっていた。

「…赤ちゃんか、お前は…」

泣き疲れて寝てしまうとは…ため息をつく。
こんな十六歳で大丈夫だろうか。
いつか名前も俺もそれぞれ自立しないといけないときが来るのに…ああ、心配だ。

名前の彼氏になる奴は面倒見のいい寛大な奴がいい…いや、コイツずぼらだし…うーんうーん。

兄の悩みも知る由もない妹は安心できる兄の腕の中でのんきに二回目のお昼寝中なのであった。

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