夕方



目を覚ますと、目の前に小さな頭と見慣れた撫で肩を見つけて、ああ、した後だったかと思い出す。
欠伸を噛み殺して、起き上がって、ケータイで時間を確認すると、親が帰ってくるまで、
まだ時間はある。

このままもうひと眠りしても、問題はない。

「…くろお、くん…さむい」

ふと聞こえた掠れた声に、彼女を起こしてしまったことに気付く。
俺が起き上がった所為で、捲れしまった布団を直してやると、彼女はもぞもぞと布団の中へと潜っていく。

俺も寒さを感じて、布団の中に戻って、彼女を抱きしめる。
後ろから腕を回すと、唸られた。

「なに、やなの」
「じゃまじゃん」
「そんな寂しいこと言うなって」

彼女の希望を沿うように、腕枕にすれば文句はないご様子。
だが、彼女は腕枕は硬いから嫌だとあまり好きではない。

空いた手で彼女の胸をやんわり撫で上げて、揉んでみる。
やっぱり、いいな。
この重みと温かさと柔らかさ…独特で癖になる。

「…ちょっと」
「なに、感じちゃう?」
「うっとうしい」

寝起きの彼女は非常にノリが悪い。
彼女の中で、睡眠欲求かなり優先的なようで、俺のことが大好きな彼女も、
睡眠のこととなると、俺が後回しになる。誠に遺憾である。

「なぁーもう一回やらねぇ?」
「ねる」

即答。なんてわかりやすい答え。

「…じゃあ、勝手に触ってていい?」
「ねるってば、うるさい」

布団を引き上げて不満を示す彼女はぎろり、と俺を睨んで、距離を取ると布団に顔を埋めて、ご満悦。
腕枕も動かして、彼女のことを後ろからまた抱きしめる。
やっぱり、彼女は唸るけど気にしない。

「なあ、俺より布団がいいの」
「…黒尾くんの匂いがする上に静かだから」
「…」

何と言う事でしょう。
彼氏より、彼氏の匂いがする物体の方がいいだと。
俺可哀想すぎる。

「本物の方がいいだろ」
「…匂いきつめだと、だめ」
「なんで」
「…そーいう気分になる、から」

ちらり、と髪から覗く耳が若干赤い。

ほらね、本当にこの子は隙だらけ。
頭の回転遅いし、弱いし、危なっかしい。

そういう隙を見せられたら、するでしょ、ムラッて。

胸を触れながら、太ももを撫で上げると、彼女がもぞもぞと身体を揺らして、
苦しそうな息遣いになる。
その姿にすら、興奮するからもうダメ。我慢できない。
布団にくっ付く彼女から、布団を取り上げて、ベッドの下に落とした。

急な事に彼女は驚いて、声を上げる。
未だに裸を見られることが嫌らしい。

「やだ」
「無理…黒尾くんのてつろうくん、こんなんだもん」
「もう、親父くさい」
「…すみませんね」

太ももに元気になったものを擦り付けると、彼女は眉を顰める。
睡眠を妨害されて怒っているのだ。
そして、太ももを汚されたことも不快なんだろう。

ゴムを付けて、まだ微かにしか濡れていない彼女のあそこを指先で、
優しく撫で上げる。

「…んっ…くろおくん」
「はいはい」

両手を伸ばされておねだりされれば、俺だって悪い気はしない。
軽く開いた唇に舌を入れれば、彼女の舌が絡みついてきて、
首にも彼女の体温の高い腕が回される。

彼女はキスが好きらしく、好き勝手に俺が動けば動くほど、
俺に引っ付いて、彼女の胸に俺の胸板が密着する形になった。
こうすると、彼女を俺の体重で圧迫することになるのだが、きつくない?と以前聞いてみると、
それすら気持ちいいと、彼女は顔を真っ赤にしながらも教えてくれた。

やっべ、今思い出すんじゃなかった。

キスが気持ちいいのか、密着したからなのか、は分からない。
でも、俺の指が滑るほど、濡れて来た彼女のあそこの変化に、俺のもの、も限界だ。

「は、…入れて、いい?」
「…う、ん…んう」
「ん」

一応尋ねるために、一旦唇を離す。
彼女はじれったいように即答すると、俺の唇を追うように唇を押し付けて来た。
離れたくないらしい。

キスをしながら、彼女の中に入っていくと、彼女のくぐもった声をが聞こえて来た。
もっと、聞きたい。



夕暮れの住宅街。
近所の人と出くわしませんように。

「…う」
「……すまん」
「うん、足開き過ぎだと思うの」
「いや、だって」
「痛い」
「すみません」

つい、暴走して彼女のことを求めてしまった日は彼女を背負って、
彼女の家まで送るのが一つの流れだったりする。
足腰をへなへなにした彼女は生まれたての小鹿のようで、見ていられない。

こんな時ばかりは彼女も大人しく背負われている。

「いや、だって、…名前サンが可愛かったから」
「可愛いで全て許される甘い世の中ではない…明日長距離走あるんだからぁ」

普段なら、顔を赤くして嬉しそうに、はにかむ彼女なのに、
長距離走には敵わないらしい。ちょっと、空しい。

「…だったら、抵抗しろよなぁ。
 俺だって、無理しようと思わないし」
「……いや、だって…黒尾くんに求められるの嫌いじゃないです、し」

俺の口調をマネして、彼女は恥ずかしそうに俺のうなじに顔を埋めた。

「まって、超顔見たい」
「やだ」


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